~神威~
ルゥが連れてきた100匹の魔物をほったらかしにしておくわけにはいかないので、魔法《岩壁》で村の端に小屋を建造することにした。
もちろんルゥの言っていた、魔法《付加》で永続化の付与をし、ついでに保護する魔物達に、結界移動許可も付与しておいた
見た目は四角く、コンクリートで出来た壁と天井って感じで味気ないが丈夫にはできている。小屋の中に干し草を敷いておけば寝床もできるし、一応明かり取り用に一部壁をくり貫いてある。
種類ごとに小屋を分けて作ったのだが岩鶏は、50羽もいるから広い場所で餌となる岩石屑が多い場所が好ましい。となるとアース火山の麓の石取場が良いのだが、まだ山賊や野盗の討伐も終わってはいない。
岩鶏の魔物小屋は仮で村に作っておいてブライの討伐任務完了後あらためて石取場に建造することにして、先に魔物達の運用方法を考えることにした。
毛長馬は荷運びに、羊毛河馬は毛刈りと耕作に、岩鶏は放牧しながら卵採取と糞の採取。牙象は開拓に利用。森の木を伐採して選別した果樹や野菜を育てる田畑を作る為だ。木を伐採し丸太の運搬、切り株の撤去なんかも牙象なら向いている。ポルタの植物操作で土の栄養に必要で効果的な草食魔物の糞尿が利用できるから一石二鳥だな。
後は山狼と飛竜だな。
「ルゥ、こいつらも保護を求めてと言っていたな?」
「そうですー。わかりませんが隣の国の者達を憎んでましたよー。」
「そうか。いまから話したいんだが通訳頼めるか?」
「いいですよー。」
俺とルゥは、まず山狼のところに行き話を聞く事にした。
山狼は群れで行動する為、群れにはボスがいるのが通常なのだが、この群れのボスはまだ小さい子狼だった。
「いったい何があって保護を求めたのかと聞いてくれ。」
「了解ですー。」
ルゥは狼に向けて話をしていた。ルゥが話している間、俺は後ろに立っていると群れのボスである子狼が俺に寄ってきた。
『この度は我が一族を助けていただき感謝いたします。』
「ん?誰だろ?」
『我ですよ。』
「んん?誰なんだ??」
『我ですって!』
「んんん?だから誰なんだよ!」
『だから我ですって!!』
「えっ??お前、しゃべれるのかよ!!!」
『普通は話せないですが、なぜかあなた様とは話せますね。』
「俺、魔獣語のスキルないんだけどな。」
『我は魔獣ではないので。それだからじゃないですか?』
「魔獣じゃないの?」
『はい。我は幻獣フェンリルですから。』
「幻獣?精霊と同じか??」
『そうです。』
「そう言うことね。だから話は通じるんだな。」
『どういう事でしょう?』
「スキルで精霊使役っての持ってんのよ。使い方もわからんから、ほっといたんだけどこういう使い方があったんだな。」
『そんなスキル聞いた事もありませんでした。まだまだ世界は広いですね。』
「それで、いったい何があって保護を求めてきたんだ?」
その子狼は、これまでの経緯を話してくれた。隣国のインザスの兵士が山狼だけでなく多くの魔物を大量に捕獲しているらしい。何故かは分からないが自分の群れも捕まる恐れがあったためミーアに逃げ込んできたのだ。ここに保護を求めた魔物達は隣国から逃げてきた魔物たちばかりで、移動しているときに偶然ルゥと出会い保護を求めたということだ。田畑を荒らしたのもこちらに逃げてきたインザスの魔物の可能性が高いとの事だ。
『田畑を荒らしたのが我らの一族の者かもしれません。申し訳ありません。』
「謝らなくていいぞ。もう田畑は直ってるし事情はわかったから、もう安心してここに住めばいいぞ。ただし仕事はしてもらうからな。」
『はい。ありがとうございます。他の者には私から伝えておきます。』
「頼んだぞ。」
そういって子狼の頭を撫でた。その瞬間、フェンリルが光った。光はやがてゆっくりと小さくなり俺の体に入ってきた。頭の中で新たに能力獲得をした瞬間だった。
「能力獲得?」
『これは一体??』
訳が分からないので、俺は自分の能力鑑定をしてみる事にした。
名前 ジル=ヴァンクリフ
種族 人族(半神半人)
性別 男
年齢 18歳
体力 850
魔力 36660
武攻 810
魔攻 21800
守備 870
素早 890
技能 全属性魔法 身体強化特大 魔力特大 精霊使役
固有 創造魔法
天性 鍛冶細工
使役 幻狼フェンリル
職種 領主代理
加護 クロトーネ 運命を司りし女神の加護
ヴァルカン 炎と鍛冶の神の加護
精霊使役によって能力値が上がったんだな。しかも使役欄が増えちゃてるし。簡単に言えばレベルアップしたんだな。精霊使役とは精霊や幻獣が使従の意思を確認できた場合に使役できるらしい。
『おぉ。あなた様は二柱の加護をお持ちでしたか。我が、お仕えするにふさわしい方です。どうぞお側に置いてもらえませんか?』
「側に来るのは構わないけど、お前、この群れのボスだろ?」
『それは問題ありませんよ。一族間では魔力伝達でいつでも会話は可能ですから。』
「へぇー便利なもんだな。少し気になったんだが他のやつは山狼なのにお前だけがなんでフェンリルなんだ?」
『フェンリルは血統ですので、生まれたときから山狼が仕える仕組みになってるからですよ。』
「なるほどねー。そういやお前の名前は??」
『名前はありませんのでお好きに呼んでください。』
「名前つけていいんだ。んーじゃあ『カムイ』ってどうだ?」
『おぉ、ありがとうございます。ではこれからはカムイと名乗らせていただきます。』
「よろしくな、カムイ。」
『ご主人、宜しくお願い致します。』
こうして偶然にも初めて使役をする事となった幻獣狼フェンリルのカムイと新しく仲間になったのだった
牙象は、草食だが巨躯で力が強く踏圧もあり長い牙を有しているため戦象として戦争にも運用される。
山狼は、肉食で自分で獲物を見つけては狩りをして生きている。人族や亜人も襲われる事もある為、森や山で遭遇したら戦闘になるだろう。自尊心が高く群れで行動する。
飛竜は、竜種の中では小さい部類だが、その名の通り空を飛べる事に長けている。獰猛で肉食。人族や亜人も襲う。群れで行動し獲物を襲う。
飛翔竜は、飛竜の上位種にあたり、飛竜よりも大きく速い。子作り以外は単体で行動するため巣立ちが早いが飛竜が共に行動するため結局は群れになる。優雅に羽ばたき、飛竜が飛翔竜を敬う姿から『飛竜の王』と呼ばれている。




