~ヒルデの任務④~
ポルタが田畑に皆を呼び何かをしようとしていた。訪ねても「見ててけろ。」だけで何が起こるのかを誰もわからない。田畑には魔物に荒らされたムギムギが踏み倒されている。
「んじゃ、いくどー。」
ポルタは自身の手を合わせて念じた格好をした。
すると、倒れていたムギムギはゆっくりと起きあがり空に向かってムクムクと立ち上がっていった。
「「な なんじゃこりゃー!」」
村長や村人たちが目を丸くして驚愕した。
「ポルタいったいどうやったんだ?」
「へへへっ、おいらは植物操作できるんだ。」
「植物操作??」
そういやポルタの能力確認していなかったな。ついでにしてみるか。
「ポルタ能力確認していいか?」
「いいだよー。」
俺は《見極の窓》をポルタに唱えた。
名前 ポルタ
種族 森妖精族
性別 男
年齢 90歳
武器 ー
体力 100
魔力 1800
武攻 50
魔攻 120
守備 150
素早 1000
技能 植物操作
職種 ー
詳細 コロポックルの少し抜けているが勇敢な若者。コロポックルは人族の5倍の寿命がある為、人族でいうと18才である。戦闘には向かない為、魔力と素早さ以外は平民の値と遜色無い。
「私と初めて会ったときに蔓を操って攻撃されましたしね。」
「んだ。コロポックルの中で、おいら以外にも使える者もいるだよ。操作できるのは根付いた植物だけだども芽が出ればすぐに大きく育てることは出来るだ。」
「なるほどな。これなら、村の者達が耕し種を蒔いて芽が出たら収穫まで時間はかからずに済むな。」
「だども、欠点もあるだよ。」
「欠点?」
「早く収穫するには、水や栄養が多く必要なんですだ。」
「水不足の解消か…。」
「ジル様、その事でひとつ提案があるのですが。」
「いい案があるのかヒルデ?」
「ジル様の魔法の力を少しお借りしたいのです。」
「どういった魔法だ?」
「川から水を引っ張ってくるための水路を整備するためにジル様に魔法をぶっ放ってもらいたいのです」
「はぁ~??」
(こいつは、いきなり何を無茶なこと言ってるんだ!)
「お前ねぇ。その方向に人がいたらどうすんのよ?」
「大丈夫ですよ。人払いはすませましたし。南東方向には村なんかも無いことは調査済みなんでやっちゃってください。」
「……あっそう。何かあっても知らんぞ。」
「はい。大丈夫ですって。」
「……わかったよ。方向はこっちでいいのか?」
「その向きでお願いします。」
「んじゃ行くぞ。《鉄砲水》」
「えっ!ちょっ ちょっと…ジル様ー!」
ゴゴゴゴゴゴー
俺が放った方向に大きな唸りを上げ強烈な激流が回りの木々を押し倒し地表面をえぐりながら押し流していった。
「なにやってんですかジル様!」
「お前がやれって言ったんだろうが!!」
「だれが水氷系第四位階魔法を使うと思いますかー!御自身の魔力忘れたのですかー!!」
「えっ?水不足だから水氷系だろ?」
「あんな大量の水放てば津波となって返ってくるでしょーが!!」
「あっ!!」
「あっ、じゃありませんよー!村なんて丸飲みですよ!」
ゴゴゴゴゴゴー
「返ってきたぁーーー。ジル様のバカーーーー!!」
(バカとはなんだー!!)
「うぉー《爆炎》!!!」
とっさに火炎系魔法を津波に向け唱えた。
巨大な爆炎が津波目掛けて飛んでいき、津波と爆炎が相殺され交差した場所には大きな穴ができ、そこに川からの水が貯まり湖が出来てしまった。
これが後に、『爆炎の湖事件』と言われることになった。
地図に湖が表示されたのはこの時期からだ。
「はぁ はぁ はぁ。死ぬかと思った。」
ヒルデが腰を抜かし半泣きで座り込みながらぽつりと言葉を発した。村長や村人たちは爆発の余波であちこちに飛ばされながらも生きている事に驚愕し、ポルタはヒルデの胸の中で失神していた。
「あぶなー。けど、成功成功。」
俺はとっさの判断で爆炎魔法の爆発で湖を作ったことを一人で喜んでいたが、後でこっぴどくヒルデに叱られた。
(あいつの指示なのに、なんで俺が怒られなきゃならんのだ……。)
叱られたことに不満があるにせよ、これで水不足は解消されたのだから良しとしよう。
水氷系第四位階魔法
《鉄砲水》
・全体攻撃魔法。縦に大量の水を複数の攻撃対象に向け流す。
火炎系最終魔法
《爆炎》
・全体攻撃魔法。攻撃対象周囲直径約1㎞の大爆発




