~海ノ悪魔①~
ミリアリア=アジールの口から出てきた言葉は小説にも登場する名だった。
「《海ノ悪魔》?」
「そう。巨大な烏賊の魔物よ。」
「最近、そいつがいる事がわかったのか?」
「そうよ。兆候があったのは3年前からだけど、その頃のミーアは、戦争の事で頭が一杯だった。私たち水の民族もクラーケンがいるなんて思っていなかったし。戦争に敗れた後、私たちは漁村の復興を最優先にしてきたけど船は何度も壊され不思議に思った私たちは海中に何かあるのか調べるために潜ってみたらそこに奴がいたのよ。」
「漁村が壊滅されたのは知っていたがまさか魔物にやられていたとは。だがクラーケンとはな……。」
「お願い領主さん。クラーケンを倒すのに力を貸して。」
「わかった。いま手が空いているのは、俺とグレイとルゥだな。」
グレイに聞いてみた。
「ええ。他の者は任務が控えていますし、動けるのは3人だけですね。」
俺からグレイにクラーケンを倒す方法を提示してみたら、グレイも同じことを考えてたらしくすんなり決まった。
「まさかなんだけど、3人だけで退治するつもり?」
「もちろん、お前達、水の民族にも手伝ってもらうぞ。」
「私たちの事だし一族総出でお手伝いするけど………。退治できるの?」
「まぁ大丈夫だろ。なぁグレイ?」
「居場所が湾内なら大丈夫でしょ。」
「えっ?なんで大丈夫なの?」
「海だからですよ。」
「はぁ??」
「後は海上に上がってくれれば簡単にカタがつくよな?」
「そうですね。後はルゥ次第ですね。」
ミリアリアは混乱している。ジルとグレイは何故簡単なように話しているのかわからない。水の民族が退治を試みたが失敗だったのに。
この時、ミリアリアは忘れていた。
ジルの魔力が膨大すぎる事を………。
二人は勝つ算段がすでにできていた。
湾内ならば居場所がある程度絞れるのは大きい。
後は決行するだけだ。
「グレイ、話の続きは後でいいか?」
「わかりました。」
「んじゃ今からいきますか?」
「ジル様、烏賊退治が終わってからでよろしいので一緒に行って欲しい場所かあるのですが。」
「どこなんだ?」
「海岸の近くの洞窟です。これが採掘出来る場所がありますので解析お願いしたいのです。」
グレイは懐からいろんな色の結晶を取り出した。
「わかった。烏賊の事が終わったら行くとしようか。」
ミリアリアは驚いた。この人たちは散歩しながらついでにクラーケンを倒すつもりなのか。簡単なことではないのにふざけているのかと思ったが口には出さなかった。なぜなら水の民族も例外無く戦争によって貧困に陥っていたからだ。早く退治してくれるならそれにこしたことはない。失敗するかもしれないが領主と元代表が自信があるみたいだしそれに賭けるしかなかったのだ。
「今から行くの?」
「あぁ。後の者達は任務の続きをしておけよ。
何かあったら思念伝達ナイフで知らせるように。」
ブライ、ネロ、オーガスト、シェリー、ヒルデ、村長、グレイ、ミリアリアに1本づつ思念伝達ナイフを渡しておいた。ポルタには大きいので小さいやつをまた作ってやろう。それとオーガストとシェリーに5本づつ簡易結界ナイフも渡しておく。野営するときに必要だろうしな。
皆にナイフの使い方も説明したし、早速ミリアリアの案内で俺とグレイとルゥは烏賊退治に向かう事になった。
街のすぐそばの海岸だから行くのに時間もかからない。
街の港として利用すれば良いのに漁村として活用していたのが不思議だった。
「ミリアリア、君たちの一族はどこにいるんだ?」
「この海岸の端に村があるからそこに皆いるわよ。何人かは海で素潜りでの漁をしているかもしれないけど。」
「じゃあ、村に戻って全員いるか確認してきてくれ。海にいる者は海から出ていて欲しいんだ。それから村の者たち全員に籠と網を持参してここにきてくれ。」
「何するのかわからないけど。用意したらいいのね。」
「ああ。楽しみにしておいてくれ。」
ミリアリアはジルから言われた事をするために漁村へと帰って行った。
水の民族が来るまでに、ルゥに役割を教えておいた。
「ふぇ??僕が一人でクラーケンを誘い出すのですか?」
「そうだよ。お前なら大丈夫だろ。俺たち二人はやることあるし。」
「クラーケンに水中で勝てるわけないじゃないですかー。」
「水中なら勝てないけど水上なら勝てるって。」
「いやいや。無理ですって!!」
「安心しろ。おまえに体力強化と素早さ強化の付加魔法かけてやるから。」
「あっ、そういう事ですかー。」
「そういうことだ。んじゃ付与するぞ。《付加》。」
ミリアリアが水の民族を引き連れ戻ってきた。言ったとおり皆が籠や網を持って来ている。
「それでは、作戦開始!!」




