~集合~
執務室には、ブライ、グレイ、オーガスト、ヒルデ、ルゥの他に、皆が連れてきた者たちが集まっていた。
話を始める前に、ブライが俺を皆がいる前でも、かまわずに叱った。
俺、一応領主代行なんだけど………。
まぁいいか。んじゃ、気を取り直して。
「騒がせて申し訳ない。集まったところで話とはなんだ?」
ブライにがまだ怒っているみたいなので、グレイに聞いてみた。
「副官となる者をジル様への、お目通しを兼ねて任務の現状報告と相談。後ジル様の魔法をお貸しいただきたく思い馳せ参じた次第です。」
「もう副官見つけて来たの?」
「ええ。ブライとオーガストだけではありますが。」
「じゃあ、紹介してくれる。」
ブライと若い兵士が一歩前に出た。
「自分から報告いたします。」
「頼む。」
「では、山賊や野盗の討伐の任ですが。足の早い兵士20人を選別し明日朝より、討伐任務にかかりたいと思います。
副官はこの者にしたく存じます。」
「城内兵士のネロ=シュバイツァーです。宜しくお願い致します。」
「ネロ君よろしくな。」
「この者は、俺と模擬戦しましたが中々のものでしたよ。」
「へぇ。すごいじゃないか。」
「まだまだブライ様の、足元にも及びません。」
謙虚な姿勢は好感が持てるな。見た目も好青年って感じでイケメンだが、どちらかというと可愛い顔をしている。
こいつらは討伐部隊だが通称イケメン部隊だな。
「つきましてはジル様にネロの能力鑑定をお願いしたいのです。他の部隊員も後ほど頼みます。」
「わかった。部隊員は後から鑑定するから兵舎に集めておいてくれ。」
「了解です。」
イケメン部隊はこんなもんかな。
「では、次はオーガストね。」
「はい。魔物の間引き任務及び兵士見習いたちの経験を積ませる部隊ですが。兵士見習いが20名いますので、この者達を連れて行こうと思います。それでですね……副官といいますか、協力者といいますか………。」
「あら、私は副官でもいいわよ。」
「そういう訳には、いくまいよ。」
「どういうことだ?」
「実は、協力をかって出てくれたこの者ですが、すでに役職がありまして。」
「お初に御目にかかります。兵士教養機関所長のシェリー=ルスタインと申します。」
「ジル=ヴァンクリフです。よろしく。」
「宜しくお願い致します。」
「で。オーガスト、何か問題あるのか?」
「1ヶ月野営での訓練になりますので所長不在はあまり好ましくないのではと思いまして……。」
「シェリー所長はどう思う?」
「兵士見習いを監督する責任も所長の私には御座いますので気遣いは無用です。女性の兵士見習いもおりますので、わたくしが適任かと。」
「それもそうだな。では、所長に同行してもらうとしよう。だが、副官としてでは無くオーガストのパートナーとしてお願いしたい。」
「はい。喜んでその任、承りました。」
シェリーが喜んでいる横でオーガストは、してやられた感じで渋い顔をしている。
まるで、美女と野獣だな。
じゃあ、こいつらは美女と野獣部隊と命名しよ。呼ぶときは育成部隊なんだけどな。
んで次はヒルデだな。
「農作物の生産と確保を任務とする部隊ですが、私は農村の方に行ってきて現状の確認をしてきました。私よりも村の者から話をしてもらったほうがと思い、村長と村の者数名を呼んでおります。」
ヒルデがそう言うと村長たちが俺の前に出て今の村の現状を語った。
「山賊や魔物によって田畑が荒らされるって事なんだが、それについては策があるんだ。」
俺は村長たちに街と同じ結界魔法を付与した木杭を30本用意し効果と使用方法を伝えて、他言無用と釘を刺しておいた。木杭を結界自動発動にしておいたので運搬しながら道に設置し村に帰れば襲われる心配もないだろう。村人たちの名前も来るときに用意しておいた名簿に記載されていたので付加魔法で結界出入り許可を出しておいた。後は水不足と家畜不足、農業指導は後日村に行く時に対処すると伝えておいた。
「それとジル様に会わせたい者がいるのですが。」
「いいぞ。連れてきてくれ。」
「いえ。もうこの場におります。」
「どこにいるんだ?」
辺りを見ても誰もいないのだが。ヒルデの服がゴソゴソ動いているとピョコンと何かが飛び出した。
「どうも、はじめまして領主サマ。おいらは森妖精族のポルタですだ。」
着物みたいな服に鉢巻きを巻いた小さな小人が目の前にいる。現世で見たアニメに出ているコロポックルと一緒だった。
「おぉ。コロポックルか。可愛いな。よろしくな。」
ヒルデは森妖精族とのいきさつをそこにいる全員に話してくれた。もちろん、村長たちも聞いている。
「そんなことがあったのか。大変だったな。」
「んだ。ヒルデがおいら達のとこに来てくれたからよかっただ。」
「これから、どうするんだ?」
「あの森で暮らしていたいんだども、どうすればいいだか?」
それを聞いた村長が提案をしてきた。
「もし良ければ村に住みなされ。先程いただいた結界杭もありますし安全じゃろう。」
「いいだか?」
「もちろん構わんよ。空家もあるし小人なら三棟あれば当分は大丈夫じゃろ?」
村長の言葉にポルタは嬉しくて泣いていた。
「よかったなポルタ。村長よろしく頼む。」
「困ったときは助ける事を領主様に教えていただいたからですよ。我らも、可愛い隣人が増えて嬉しく思います。」
「ありがとうですだ。村の事も手伝うからなんでも言ってけろ。」
「ワハハハ。これは頼もしいの。」
村人と森妖精族は仲良くなったみたいだし、後は村の繁栄をしていけば良さそうだな。
こいつらは、農村部隊と命名しとくか。
最後にグレイだ。
「主要特産物の復活と交易なのですが、鉱山の解放と鍛冶や銀細工の復活は他の者達の任務後になりますので、後日報告になります。特産品はジル様もご存じなので省かせていただきますが、新しい特産物の方ですが後ほど鑑定をしていただきたい物があります。それとは別にジル様にお目通ししたい者がおりますので連れて参りました。」
水色の髪の女性が前に出てきた。
「はじめまして領主さん。わたしは、水の民族族長のミリアリア=アジール。今日はグレイさんに無理を言って連れてきてもらったの。」
「はじめまして。それで、俺に何用があってきたんだ?」
「領主さんは何故、この街は海岸がすぐそばにあるのに港がないのか知ってる?」
「それは、俺も気になっていたんだ。漁業や交易に向いている立地なのに港や漁船、漁師もいないのがな。」
「昔は漁村があって、水の民族もそこで暮らしてたんだけど、戦争の3年くらい前から海中に厄介な奴等が現れたのさ。」
「何が現れたんだ?」
「…………《海ノ悪魔 クラーケン》。」




