~屋上~
9名の貴族らに一時的な謹慎処分にする事を告げた後、信用できる3名には仕事を頼んだ。マウワー公にはインザスの情報収集をシンドルフ侯、ウィンストン伯には、9名の身辺調査。何かあれば思念伝達ナイフで報告がくる手筈だ。
それまでは少し時間があるし、他の幹部たちは自分の任務に従事しているし、暇なルゥの為に城の屋上に出て魔法訓練をすることにした。
いちおう外だし魔法の練習しても問題ないよな。
「ルゥは闇暗魔法使えるんだよな?」
「使えますけど、第三位階魔法《不死者行進》までしか使えませんよ。」
「ちょっと、やってみてくれ。」
第三まで使えるのか。実はこいつ、結構優秀だな?
第三位階魔法《不死者行進》
・自らの戦力として無数の不死者を呼び出す。グールやスケルトン等の意思の無い者に限る。
《見極の窓》で攻撃系統の魔法はすべて頭に入れてあって内容はわかるんだが見たこともないからな。
「じゃあ、いきますよ《不死者行進》。」
ルゥの周囲から黒い霧が漂い始め地面から多数のスケルトンが…
「出てこないぞ?」
「あれっ?おっかしいなー?気を取り直してもう一度《不死者行進》。」
ルゥの周囲から黒い霧が漂い始め地面から多数のスケルトンが…
「出てきたがスケルトン1体って……」
「いつもなら2体は出るんですよー。」
「お前ねぇ。2体しか出ないんだったら不死者行進じゃなくて、不死者散歩じゃねーか………。」
「ジル様、上手いことおしゃいますねー。」
「笑い事じゃねーよ。ちょっと俺が見本を見せるから、ちゃんと勉教しろよ。」
「はい!お願いしまーす。」
「ったく。《不死者行進》」
ジルが唱えた途端、昼間だと言うのに辺りが暗くなり大量の黒い霧が漂い始め、剣を携えた骸骨兵や霊鎧、死神、屍喰果ては死竜まで出てきた。
まだまだ出そうなんだが、どうしよ…………。
屋上が不死者でいっぱいになっていく。
「ジル様、もういいですって!」
「あっ、そう。んじゃこれくらいにしとくか。」
「ジル様、行進レベルじゃありませんよ。軍隊になっちゃいますよ。」
すると、城の外から大勢の足跡が聞こえてきた。
「なんだ?何かあったのか?」
「なんでしょうね?」
その足音は俺たちの方に近づいてきた。
ブライやグレイにオーガスト、それにヒルデまでいる。その後ろには兵士たちが大勢やってきた。
これは何かあったな。ただ事ではなさそうだ。
ブライがこちらに向かって大声で叫んだ。
他の者たちも臨戦態勢をとっている。
「主っ!ご無事ですか?」
「どうした?なにがあった?」
「はっ??何があったって、後ろに魔物が多数押し寄せてるではないですか。」
「なんだって?! どこだ!!」
ルゥも、あたりを見回すがどこにもいない。
「ブライさん、どこにもいませんよー。」
《不死者行進》で出てきたスケルトンたちもキョロキョロ辺りを見ているがどこにもいないという顔をした。
「あんたら二人何言ってるんですか??そこにいるでしょうが!!」
「だからどこだよ!」
「ドラゴンゾンビとかがそこらにいるでしょうが!」
「えっ?こいつらのことか?」
「当たり前でしょ!!急に暗くなったと思ったら城からドラゴンゾンビが見えたんですよ!」
スケルトンやドラゴンゾンビは敵じゃないとジェスチャーしているが誰もわかってはいない。
「ブライ……。皆に剣を納めてくれるように言ってくれる?」
「はぁ??魔物がいるのに納めるわけないでしょう。」
「いや、あのね。えっと、こいつら敵じゃないんだ。」
「はい??」
「《不死者行進》で呼び出した奴等なんだ。だから敵じゃないのよ。」
ルゥも続けて。
「ほんと、なんですよ。ジル様と闇暗魔法の練習してただけなんですよー。」
「もしかして主……。また加減せずに魔法使ったんじゃないですよね?」
「あははは。使っちゃった。」
「使っちゃったじゃないでしょう!!あんた魔法使うとき加減しろって言ったじゃないですか!!」
ブライは、相当怒っている。
グレイとオーガストそれに兵士たちは、俺の魔法に驚愕していた。あとで、グレイに聞いたら兵士たちは逆にすごい魔法を使う俺を尊敬しはじめたらしい。結果オーライだった。
ドラゴンゾンビやスケルトンたちは意思はあるが言葉を発することは出来ないので、また呼ぶからと言って帰ってもらった。悲しそうに地中に消えていった。
また呼んでやるからな。
兵士たちも、不死者たちが敵でないとわかり安堵の表情で自分の持ち場に帰っていったが、ブライだけはまだ怒っていた。怒るというより呆れに近いんだがな。
幹部たちの方には初めて見る顔が数人いたのを確認すると俺に伝えなければいけないことがあるようなので、残った者達を執務室に招き入れ話を聞くことにした。




