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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第一章 統治開始編 ~
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~ジルの任務②~

街全体に結界を張り巡らせ治安維持対策を終わらせ次の行動に移すことにした。グレイに鍛治場に、連れていってもらい作業に掛かろうと思う。他の者たちは各自の担当する任務の準備に向かっていったのだが、彼らは何故か生き生きしている。

グレイに聞いてみたら「ジル様が一日でご自分の役割を終わらせたので負けてられないと思っているんでしょう。」だってさ。

そう思ってくれたら儲けものだな。

俺は、グレイに用意してもらった鍛治場へ向かう。

鍛治場は職人街にあると言うことだ。


この街はアース火山を背にして、グランベル城が中心にあり四方に別れて街が別れている。城を囲むように兵舎や訓練所等の施設があり、城の北側には鍛治師、細工師、大工、石工等の作業場兼住居がある職人街。南側が販売を目的とする商いがメインの商業街。東側は酒場や食事処、宿泊施設に賭博場そして色街がある歓楽街。治安悪化防止のために冒険者組合(ギルド)もそこにある。西側は貴族や兵士、民の住居や教会などかある住民街がある。街を囲むように城壁が立っていて高さは10m程ある城門は南側に位置してある1ヶ所だけだ。


鍛治場に向かう中グレイが何をするのか聞いてきた。


「ジル様、一体鍛治場で何をお作りになるのです?」


「あぁ、そういや、言ってなかったな。グレイが言っていた連絡手段を作ろうかなって。」


「なるほど。先程見せていただいた魔法《付加》(エンチャント)による付与ですね。」


グレイには驚いた。一度見せただけでここまで理解するとは。軍師スキルがあるのは知っていたが……。

『先読みの灰』の二つ名は伊達じゃないな。


「ならば、わざわざ作らなくてもいいのでは?職人たちが作ったものを用意しますよ。」


「それでも良かったんだけど、天性に鍛治細工があるから試したくてね。」


「そういえばありましたね。私も天性持ちの方と会うのは初めてですし、どの様になるか興味がありますよ。」


「失敗しても笑わないでくれよ。」


「あはは。誰でも最初は上手くいきませんよ。」


グレイと話ながら歩いているうちに職人街についた。

職人街は、静寂につつまれている。時折、鉄を打つ音が聞こえているが賑やかな程でない。


「以前は、騒がしいくらいだったのですが。鉄や銀は採れなくなってからは、廃墟が目立ってるんですよ。職人街だけじゃなく商業街も歓楽街も住民街もです。一部はスラム街にもなりました。」


「そうか。街の改革も進めなくてはいけないな。」


「はい。ですが今はジル様に与えられた任務が急務です。街の改編は後回しにするしか……」


「わかった。頭にいれておくよ。」


「お願いします。」


職人街の中を通りながら今の状態を目に焼き付けておこう。他の街も確認しに行く機会をグレイと話ながら鍛治場に着いた。


「ここです。」


古びた木製の扉を開け中を見渡すと一人の男が背中を向け鍛治をしていた。上背は低く毛むくじゃらの髭を生やしている筋骨粒々でひたすらに鉄を打っていた。


「ドボルさん。」


グレイは毛むくじゃらのおっさんに声を掛けた。


「あぁん?」


おっさんが振り向いた。

火の民族(ドワーフ)だ。


(鍛治の得意な顔つきだわ。

現世では良くゲームとかでも出てきたしなー。)


「おぉ。グレイ様。このようなところへ珍しい。今日はどうしたんでさ?」


「ジル様、こちらはこの街の鍛治師組合(スミス)の会長ドルフ=ベインさんです。」


グレイがドルフを紹介してくれた。グレイは続けて

ドルフに俺を紹介した。


「昨日話した通り鍛治場を貸してもらえるかい?」


「あの話、冗談じゃなかったのか??」


「本当の話だが?」


「貸すのは構わないがすぐに打てるようなものじゃないぜ。経験と修行しないと無理だな。」


グレイとドルフは話しているところに俺が割って入った。


「天性持ちでもかい?」


俺がそういうとドルフは目を丸くした。


「あんた、もしかしてヴァルカン様の加護があるのか?」


(ヴァルカンって?炎と鍛治の神だっけ)


「加護あるよ。」


「ほんとうか??」


《見極の窓》で俺の能力を顕現させ、ドルフに見せた。


「こりゃスゲー!」


ドルフは俺の能力を見て喜んでいる。


「鍛治師にとってヴァルカン様は特別なんだ。加護はあるし天性もある、しかも二柱持ち。こいつぁ、すごい人が領主様になってくれたもんだ。」


「どう?鍛治してもいいかい?」


「領主さん、なんでも使ってくれ。駄目だなんて言ったらヴァルカン様にそっぽ向かれちまうぜ。」


「ありがとう。んじゃ使わせてね。」


「そんで領主さん一体何作るんだ??」


「ナイフを30本作りたいんだ。」


「ナイフかい?」


「そう。戦う用じゃないよ。地面や木に突き刺したりできるようなやつでいいかな。」


「それなんでいいのか?じゃあ小型の折り畳みナイフってのはどうだ?」


「いいんじゃないかな。折り畳みなら持ち運びも便利だし。」


「ナイフ30本分の鉄ならここにあるから使ってくれ。」


ドルフは鉄の地金(インゴッド)を取りだし渡してくれた。


「これがうちにある最後の鉄だ。」


「こんな大事なものいいのか?」


「領主さんが鉱山を開放してくれるんだろ?」


「あぁ。」


「俺は、それに賭けたんだ。あんたにはヴァルカン様がついてるなら俺もそれを信じる。」


ドルフはジルの前に座って頭を下げた。


「領主さん、この街を救ってくれ。」


「大丈夫。任せてくれ。」


俺はドルフの前にしゃがみ肩を優しく叩いた。


鍛治場を借りて作業に取りかかった。その姿を見たドルフは「こいつぁすげぇ。初めてとは思えねぇ。」そう言って舌を巻いていた。

天性鍛治細工は頭に浮かべた物を作るように体が動き自動操縦みたいだった。

そしてあっという間に完成した。


ドルフに鑑定してもらうことにした。ドルフは技能に武器防具鑑定を持っていた。


「このナイフの等級は上物級ってとこだな。」


「等級?」


ドルフに等級の事を教えてもらった。


一般級……一般的な安価な武器。

上物級……中級~上級冒険者が良く使う。

希少級……上位魔物の部位を使用している武器の為希少。

遺物級……特殊な作成方法の為、再現が困難な逸品。

英雄級……英雄が使用する武器や防具。

伝説級……伝説の武器や防具。

神話級……神々が使用する武器や防具。


「等級はあくまで基準だからな。内容はあてにならん。」


「ドルフ会長が作る武器は、どれくらいなんだ?」


「ワシでも精々希少級だな。たが、英雄級まで作る奴を知ってるぜ。」


「それは、すごいな。会ってみたいもんだ。」


「また、領主さんとこに連れていくわ。」


「楽しみにしているよ。」


30本のナイフの10本に結界魔法を付与して、残りのナイフに付加魔法、思念伝達を付与した。

グレイは分かっていたようだった。

ナイフにした意味は結界を張るときに地面や木に刺しやすいという事と思念伝達時、地面や木を通る方が念話は相手伝わりやすい事を前もって《見極の窓》(アッサーテイン)で調べていたからだ。その内映像化もしてみたいとおもう。

魔法付与を終えた途端、ドルフが俺に飛び込んできた。


「もう一回鑑定して見せてくれい。」


「いいよ。」


ドルフが鑑定した結果を見て驚愕した。


「希少級に上がっている。」


「そんな簡単にあがるのか?」


「魔法武器なんて物は今まで無かったからな。」


俺とグレイとドルフは同時に閃いた。


「これって、特産品になるんじゃない??」


「それ、私もいま思いましたよ。」


「ワシもだ。」


そういうと3人がニヤリと不気味に笑った。

悪巧みが始まる。


「ドルフ会長、鉱山はなんとかする。魔法武器の研究任せてもいいか?」


「了解だ、領主さん。鉄は無いが銀ならまだある。それで何か出来るか試してみよう。だが、俺は付加魔法使えないぞ」


「それなら、付与するための魔方陣をジル様に書いてもらっておけばドルフさん一人で研究できるのでは?」


「おお。そいつはいい。領主さんお願いできるか?」


「任せておけ。いますぐ書いておくよ。」


机の上に魔法をかけておいた。


「机の上に武器や防具を置いて付与って唱えたらいいよ。ちなみに付与する魔法は攻撃力増加と防御力増加と魔力増加だから最初に選んでね。」


「ワッハッハッ楽しくなってきたもんだ。」


「フフフ、ドルフ会長、このことは内密にな。あとこのナイフを渡しておくよ。思念伝達付与してるから何かあったら連絡してくれ。グレイにも渡しておくよ。話すときはナイフをどっかに刺して呼び掛けてくれ。呼ばれた相手がナイフを刺せば会話ができるようになるから。」


「なるほどそういう仕組みでしたか。」


「それじゃあドルフ会長よろしくね。」


「了解じゃ。」


新しい商業ができる可能性を胸にいだきつつ俺とグレイは

鍛治場を後にした。


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