~救出~
俺達は、猫妖精族の案内により野盗が根城にしている洞窟まで到達し、入口付近を見ることができる森の茂みに体を隠し偵察をしていた。
野盗の洞窟前には5人の人族と3人の小鬼族が昼間から酒盛りをしているようだ。
洞窟の中に、あと何人潜んでいるかわからないが黙ってみていても仕方がない。
「こちらから仕掛けてみるか……。」
「わからました。では、主よ陽動を仕掛けます。」
ブライは二本の剣を握り酒盛りをしている奴等のところ何食わぬ顔をしてへ平然と向う。
野盗共が気づくや否や、そいつ等に向かって静かにブライが叫ぶ。
「貴様等が野盗だな。」
「なんだ、てめぇーー」
「すまんが、主の命により死んでもらう。」
「ブァッハハハ!たかだか人馬一匹で俺等をヤるってか?笑わすんじゃねぇぞボケぇーー」
野盗は全員剣を取りブライを囲むように陣取り切っ先をブライに向けた
そのうちの奴等の一人が洞窟の中へ仲間を呼びに行くのが見えた。
それを、ブライは見逃さない。
「ふん。まだ仲間はいるようだな。さっさと連れてこい。いっしょに葬ってやる。」
「うるせぇー!!てめぇーは死んどけやー!!」
「口だけは達者だな。弱き者ほどよく吠えるとは言ったものだ。」
ブライは奴等を煽りつづけた。
外にいた野盗は頭に血が完璧にのぼり、洞窟の中からは残りの仲間が来て野盗は15人程になった。
「雑魚らしく群れるのが好きなようだ……。一応聞いておくが、これだけか??」
「この人数を見て、まだ勝つ気でいやがる!!こいつ早死に希望らしいぜ。全員でヤッちまおうや!」
「そうか……。なら、俺は救出に向かうとするか。」
「はぁーーー!こいつアホか?!どうやって助けるってんだ!てめぇは今から死ぬってのによーー!!」
「フッ……。心配するな。お前らの相手はあの方がする。」
ブライが俺を指差し、俺はゆっくりとブライの横に歩きだす。後ろには猫妖精族が覚悟を決めた表情でついてきた。
ブライは隙をみて人質を救出のため洞窟内にゆっくりとあるきだしていた。
俺と猫妖精族はその場に残り、奴等の相手をする。
「やぁやぁ、はじめまして。ここの頭は誰かな?」
「なんだーこのガキは??」
「おれ??俺はジル。よろしくな。で、頭と話がしたいんだけど??あんた??」
「俺らには、頭なんていねーよ!ガキが舐めた真似しやがって後悔は死んでからしろや!!」
「あっそう。頭はいないんだ。なんだよ……。まぁいいか。じゃあさ、全員に話すよ。ゴホン。君たちにチャンスをあげようと思うんだけど。どう??」
「はぁ??」
「二者択一ね。 生か死。 どっちがいい??」
「うわはははははっ!!こいつ、何言ってやがる。」
「頭狂ってんのかガキ!!」
「まぁ待てお前ら。俺が答えてやるよ!お前を切り刻んでそれで終わりだ。俺たちが選ぶのはお前の死だ。」
「そうか死を選ぶのか。」
俺はそういうと、すぐさま魔法を唱えた。
「《岩壁》。」
すると、野盗の周りを丸く囲むような壁が出来た。
俺がイメージした通りに出来た。
(でっかいドーナツイメージしたんだけどね。)
その壁の中心の穴には野盗全員が慌てているが壁を厚目にしたから何も聞こえない。高さも5メートル程ある。
俺は更に《岩壁》で、その壁に上に登れるように階段を作り、壁の上に立った。猫妖精族は、驚きながら俺の後ろにいる。
魔法が凄すぎてビックリしている様子だ。
壁の上に立ち、穴の中にいる奴等を見下ろした。
奴等は上にいる俺に向かって、ゴチャゴチャ喚きちらしている。
が、そんなもん気にしない。
「さて、君たちに再度チャンスをあげようかな。俺って優しいー。」
「出せ、糞ガキ!!!出したら殺さないでいてやる!!」
「アハハハ。残念ながら出す気はないよ。可哀想だし、君たちには死に方を選ばせてあげるよ。そうだなー。窒息死か焼死か好きな方を選べるようにしてあげる。窒息死ならこの上に蓋をしてあげるし焼死なら火を放つ。さぁどうする?」
「うるせー糞ガキ!!てめぇは必ずブッ殺してやらぁー!!」
俺はだんだん腹が立ってきた。
「わかった。どんな悪党でも一度は助かる道をと思っていたんだけどな……。優しくしている内に聞いとけば良かったと思いながら逝け…………《火》。」
おれは奴等に向けて唱えた。
やつらが立っている地面がみるみる赤くなり、火柱となった。中心の穴いっぱいに炎が広がり行き場を無くした炎が空をめがけて勢いよくが立っている様だった。
叫び声すら聞こえないほどだ。
「はい。終了っと。」
そう言ったら、猫妖精族は大きな口を開け、あんぐりしている。
「どしたの??」
「あのーなぜ初期魔法がこんな威力になるのですかー…?」
「こんなもんだよ。」
「ぜったいちがいますぅ。」
「そう?魔法今日はじめて使ったから加減できないからじゃない。」
「今日はじめて魔法を使った??」
「そうそう。」
「もう、わけがわからないニャ………。」
「いいじゃん。いいじゃん。それよりも仲間助けにいこうか。」
「そうですねー。野盗全員消炭になってますし。いきましょうか…。」
穴の中心には、人の形すらなく黒くなった跡だけが残った。
そうこうしているうちに、ブライが人質を救出し洞窟から出てきたが、囚われていた者達は女子供ばかりだった。
「主、只今戻りました。男はいなく、女性や子供ばかりなので、多分奴隷商に売られる前だったのでしょう。」
ブライはそう言った。
人族5人子供1人 猫妖精族5人子供2人 亜人が4人
そして森の民族が1人いた。
助けたものたちは、一様に来ている服がボロボロで怪我もしているし腹も空かせていた。
「さすがに、このままでは街につれていけないな。」
おれは、自分のマジックボックスにある服を全て出した。
「サイズが合わないかもしれないけど、これに着替えて。」
女達は皆申し訳なさそうにしてるが、俺の目のやり場に困るので、その事を猫妖精族から伝えてもらった。子供には少しサイズが大きいから上着だけ着ていた。
ブライは、なにか食べられる様な物を探しに森に行き、俺は怪我をしているものを順番に治療していく。全ての人達の治療が終わると同時にブライが猪の魔物を狩ってきた。
薪を拾い集めた後、火を起こそうと魔法を唱えようとしたとき、ブライと猫妖精族に火打ち石があるからと止められ、更にはこんな人の近くで魔法を使うなと怒られた。
(そんなに怒らなくても……。)
その間に、ブライが猪を近くの川で捌き、猫妖精族が起こした火でこんがり焼いた肉を皆に食べさせた。
食べながら事情を聞いていると、人拐いが横行していることを聞いた。村を焼き男衆は皆殺しにされ金品などは奪われ女子供は奴隷商に売られる。こんな事は珍しくないらしい。ここにいるものたちのほとんどはグランベルの者達で家族を殺されてはいなく、まだ帰る場所があるらしい。
だがその中のエルフだけは仲間は殺され孤独になったことを話した。
もともと旅をしていたところ野盗に襲われ仲間を殺され自分だけが捕まったらしく仲間の仇をとってくれた俺に深々と礼をしてきた。
夜になると魔物も多くなり危険なので、この場に留まっていてもしょうがない。グランベルまで護衛しながら共に行くことにする。
街までは後2時間程で到着するらしく、運良く野盗の根城に馬が一頭いたので死んだ奴等には必要ないから遠慮無く拝借する。
馬に荷馬車を取り付け、御者は猫妖精族が出来るらしく頼むことにし子供達を荷馬車に乗せ出発。
野盗が溜め込んだ武器や金品もマジックボックスに全て入れて、この場を後にし一路グランベルへ向かうとする。




