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Magic of OZ~天性持ちの転生者~  作者: 赤間 そあ
~第三章 国境都市編~
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~お引っ越し①~

~次の日~


朝から心地よい風が流れ木漏れ日は優しく穏やかな日で、季節が秋に移り変わるのを肌で感じれる、引っ越しにはもってこいの良い日だった。身支度を整えたら小犬族の村に集合と声をかけておいた。


「ジル様、おはようございます。」


引っ越しの為、ミーアからの援軍として、前もって小犬族の村に地点登録を済ませ転移石によりヒルデとオーガストが若い兵を連れて転移してきた。


「オーガスト、急に呼び立ててすまないな。」


「兵士見習いの勉強には良い機会ですからな。戦うことだけが兵の仕事ではありませんからバリバリ働かせますよ。わははは。」


オーガストの後ろにいる兵士達の生き生きとした表情をみて頼もしく思えた。だがその中で一人だけ虚ろな顔をした者がいた。ヒルデだ。


「ヒルデもありがとさん。」


「いえ、私の村も関わってる事なので……。」


「そういや、親父さんも会いたがってたぞ。」


「うっ……。 あとから会いますから………。」


「んん?会いたくないのか?」


「許可もなく村を出たので、会い辛いというか……。」


「山賊にも捕まって、奴隷にされる一歩手前だったもんな。そういやその時、天涯孤独って言ってなかったか?」


「あれは嘘ですよ。家出同然でしたし。この事が知られると、何を言われるか………。」


ゴホン。


ヒルデの後方で聞き覚えのある咳払いが聞こえ、ヒルデは恐る恐る振り返って見ると、鬼の形相をした者と、困った顔をした者がいた。


「ほう…その話……。詳しく聞こうか……。」


いつの間にか森の民族(エルフ)族長でヒルデの父親のハルラス=アディスンと兄のファウンロド=アディスンが立っていたのだ。その父の顔を見たヒルデは青ざめ悲痛な表情をしていた。


「ひぃ………ち 父上……。 お久しぶりです…。」


「やかましい!ちょっとこっち来い!!」


その場で、正座をさせられたヒルデは今にも泣きそうな、いや泣いている顔でひたすら父ハルラスの説教を受けていた。


「すいません。朝から変なものをお見せしてしまって……。」


そう言ったのは、ヒルデの兄ファウンロドだ。


「気にすんなって。あそこまで叱るってことは、親父さんヒルデの事がだいぶ心配だったんだろうな。」


「まわりに迷惑かけるくらいのお転婆だったもので。手が掛かる子供ほど可愛いのでしょう。ミーアでも迷惑かけているのではないですか?」


「あはははは。」

(言えねぇ……。普段なら、俺のほうがヒルデに怒られてるなんて絶対言えねぇ……。)


ハルラスに叱られているヒルデをよそに、オーガストと兵士達にある物を渡して、頼み事をした。森の引っ越しに関することで、オーガストは久しぶりの大仕事に意気揚々と兵士を連れ森の中に進んでいった。


続々と身支度を済ませた小鬼族、猿人族、蜘蛛人族が集合場所である小犬族(コボル)の集落までやって来た。衣料品や貴重品を詰め込んだ背負鞄を持った人たちが村に溢れ、人だかりができていた。


森の民族(エルフ) 男30女50子供5 計85名

小犬族(コボル) 男20女20子供5 計45名

蜘蛛人族(アラクネ) 男10女50子供10 計70名

小鬼族(ゴブリン) 男80女20子供10 計110名

猿人族(エイプ) 男50女30子供10 計90名


全員で400人。住民集めも上々だな。

さてさて、これだけの人数を転移石でいきなり連れて帰るわけもいかない。ついさっきグレイに連絡し連れて帰る人数を言ったばかりだし、住むところの準備も夕刻までかかるらしい。

(急に連絡したし、しょうがないよな……。)

ブツブツと考え事をしているとき、顔を覗きながら、猿人族族長のダグラスが話してきた。


「辺境伯、少しよろしいか?」


「ん?どしたの?」


「いや、森ごと引っ越すと言っていた事なのだが…。一体どうするのかと…。」


「あぁ、その事ね。オーガストが帰って来るまでちょっと待ってて。」


噂をすれば、オーガストが若い兵30名と一緒に休憩がてら村に帰ってきた。久しぶりの探索に少し嬉しそうに見える。


「お疲れさん、何本くらいできた?」


「そうですね、約1000本は張り終わりましたよ。この森の3割ぐらいですね。」


「そんなにあったんだ。」


「今日含めて3日もあれば全て終わりますね。この森、中々広いので兵の鍛練にもなりますからちょうどいいですよ。」


「そっか。んじゃ後も任せるし休憩しながらでいいから進めといてくれ。」


「了解です。」


横で聞いているダグラスは何の事を言っているのか、さっぱり分からないでいる。大切にしている森だし、そろそろ説明して欲しそうにこっちに視線を当てていた。


「ウチの兵達にさせてることが気になってるみたいだし説明するよ。」


「よろしく頼む。」


「深翠の森の木々の幹に、これを貼ってもらってんだ。」


ジルはダグラスの手にある物を渡した。それは、小さな紙で裏側には粘着性のある液体が塗られていた。


「なんだこれは??」


「紙自体はどこにでもあるものだが、紙の真ん中に何か印みたいなものがあるだろ?」


「確かに、何か書かれているな。」


「この判子、樹人霊長印(トレントシンボル)って言って、この判子を押した紙に魔力を通して樹木に貼ると、その者の言うことを聞く樹人になるってわけ。紙じゃなくて他の物に捺印しても樹人(トレント)になれる。だが、植物にしか使えないし、水に弱く、紙が外れたり破れたりすると効果を失う欠点もあるけどな。」


「辺境伯、頭がおかしくなったのか?木が人に?そんな馬鹿げた話、聞いたこともない。」


「ふふふ……。そう思うなら一回やってみるか??」

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