~一年後②~
~グランベル城 執務室~
先だって対策をしなければいけない5項目を俺、グレイ、シェリーの三人で考えていく事にした。他の幹部たちは何をしているかというと、ブライ、オーガスト、ネロの三人は街の治安維持、ヒルデは農村へ作物管理、ミリアリアは漁村へ水産物の水揚げ、ルゥは狩猟と飛竜や魔獣の世話、ラゴールは鉱山へ行き、ゼネガー、ガーネットは国境周辺の警戒、ラベンダーは多岐にわたり情報収集をするよう命じておいたのだ。
(幹部に脳筋や戦闘狂が多いのも問題だな……。)
重要5項目
1、人手不足の解消と人口増加
2、医療従事者の育成と環境対策
3、料理の充実
4、新たなる観光地としての宣伝や充実
5、商売による外貨獲得
「俺が考える最初に解決しなければいけない問題点だと思うんだが、どう?」
「1と2は早期に取り掛かるべきでしょうけど、残りは後でもいいのでは?」
「そうね。グレイの言う通りその方が良いと思うわ。」
「俺は同時進行が望ましいと思ってる。1と2だけなら戦後処理みたいに人の目に写るだろ?街の発展を考えたら、いっぺんにやった方がいいんじゃないかな?」
「確かに…。けど人口を増やさなきゃ、どれも難しいんじゃない?」
「シェリーの言う通り、まずは人なんだ。それで、人集めに周辺諸国を回ろうかなって思ってる。仕事を欲しい人達がいるかも知れないだろ?」
「そんな簡単に見つるかしら?」
「オズワルド王国の他国に無い強みって何か分かるかシェリー?」
「強みですか?なんでしょう?」
「それは、多種族共存国家だよ。他国じゃ虐げられている種族も多いだろ?そういう人達を集めようかと思ってね。」
「なるほどね…。それならば人を集めれるかも知れないわね。」
それを聞いたグレイが俺の考えに対して反論をした。
「駄目です。そんなことをすれば住人を拉致したと因縁を付けられ他国に戦争の口実を与えてしまう。そうなれば街の発展などと言ってられませんよ。」
それもそうだな。他国に出向き俺の街の住人にならないかと言って連れて帰ったら、その国は良い気はしないだろうな。話が拗れたら戦争だってありえる。俺の考えが浅はかだったのは否めないな。
「ですが…目の付け所は間違ってないと思いますよ。」
「どういう事??」
「ジル様が出向いて連れて帰らなきゃいいんですよ。」
「ん??」
「ようは、移住したいと思わせたらいいんです。自らの意思で移住を希望してこの街に来るのなら他国も手を出せないでしょう?それにはまず実績を作るのが一番ですね。例えば領内の貧しい村や飢饉や疫病で困ってる村とかを助け、国境都市ミーアに住まわせ回復したら仕事を与えるとか。領内の者達ならば誰にも文句も言われませんから。」
「なるほどな…。大々的に種族に関係なく色んな人達を受け入れ、仕事も与え普通の生活ができると噂が自然に流れるようになれば街の評判も上がり訪れる人が増えるようになるって事だな。」
「そういうことです。」
「よし!それ、採用。今からでも出発して探してみるわ。」
「いまから?!ジル様お一人でですか?」
「えっ?ダメ?」
「駄目ではないですけど……。人族とは違う種族の者を連れていく方が村の者達も心を開くと思いますから、ネロをお供に連れていってはいかがです?地理にも詳しいので案内役には打ってつけですし。」
「見た目的にもネロが一番いいな。ブライやラゴールなんかだと見た途端、村人がビビりそうだしな。そんじゃ、ネロとカムイ連れて行ってくるわ。その間グレイとシェリーに街を任せるから。頼むぞ。」
「わかりました。何かあれば連絡してください。それと、元々バルバロッサが治めていた新たな領地も見に行くと良いのでは?新しい発見があるかも知れませんよ。」
「そうだな。ついでに見に行くか。」
巡回警備中だったネロを伝達ナイフで呼び出し、旅支度をして執務室まで来るように命じた。村人が萎縮しないように、鎧の着用は禁じ旅人のような服装でと注文もしておいた。もちろん俺もローブを着用し宝杖ヴァルクと魔法小鞄だけの軽装だ。
こうして、まずは人を集める為の領地内にある貧しい村々を訪ね歩く旅が俺とネロとカムイの二人と一匹で始まった。




