鉱石の星空の下でお弁当を食べること
ノームさんたちに囲まれて、どんどん坂道をおりていきます。
そうしたら、ちっちゃい家がたくさんあるところにやって来ました。
あたしの背丈くらいしかない、可愛い建物ばかりです!
「なんか、ピカピカしててかわいいねえ」
あたしが背伸びして、可愛いおうちをなでると、窓があいてノームのおばさんが顔を出しました。
「人間のお嬢ちゃん、どうもねえ」
「こんにちは!」
屋根の色は、緑色だったり黄色だったり、赤かったり青かったり。
ノームさんたちの町は、とってもカラフルでした。
「思ってたより明るいなあ。お日様ないのに」
お兄ちゃんが空を見上げました。
上に見えるのは、たぶん地面なんだけど、とんがった石がたくさん突き出していて、それが光っているんです。
そうだなあ。
夕方くらいの明るさかな。
「わしらの村は大したもんじゃろう!」
あたしたちを案内してきたノームさんは、自慢げに胸を張りました。
「すごいすごい!」
あたしが手をたたくと、ノームさんも、他のノームさんも、うれしそうな顔になってわーっと喜びました。
「おどろいたものだ。このようなものが地のそこにあったとはな」
「ぶいぶい」
グレちゃんにまたがって、ぽてぽてとボーリスさんがやって来ます。
ボーリスさんもびっくりしているみたい。
「元々、昔からこの辺りはノームの鉱山だったんじゃよ。わしらはここで光る石ころを掘り、加工して村を作っておった。石ころはわしらの建材であり、灯りであり、これを商人に渡してお菓子なんぞを手に入れておったのじゃ」
けっこう大きな町だと思ったんだけど、村なのかな?
あたしたちは、ノームさんに連れられて、村の中心にやって来ました。
そこには広場があって、ここならあたしたちもゆっくり座れそう。
「皆の衆! 久しぶりの客人じゃ! 人間の子どもたちは、あの魔女めの生け贄になるところだったらしい!」
ノームさんが言うと、まわりから、「おお」「ひどい」「可哀想に」とか声が聞こえます。
ノームさんたちはすごく優しいみたいです。
「苦労をしたんだねえ。これ、お食べよ」
「あっ、お弁当!」
ノームのおばさんたちが、あたしたちにお弁当をくれました!
ノームさんからすると、お風呂くらいの大きな入れ物に、ちっちゃなパンがいっぱいと甘く煮たお野菜が入っています。
「やったあ! 木の実だけだと、食べた気しないもんな!」
お兄ちゃんは大喜びで、お弁当を食べ始めました。
あっ、ボーリスさんが咳払いしてます。
「ごめんねボーリスさん。お兄ちゃん、わるぎはないのよ」
「うむ、わかっておる。こどものいうことでござるからな」
でも、ちょっと気にしてるみたいなボーリスさんでした。
彼のところには、ノームの子どもたちや若い人たちが集まってきてます。
「リスが喋ってる……」
「うりぼうに乗ってる! 可愛いー」
「いかにも。せっしゃはリスのきし。こちらはわがあいばのグレ」
「うりぼうなのに馬なんだ!」
やっぱり、ノームさんたちにも、ボーリスさんは珍しいみたいです。
あたしたちがお弁当を食べている間、ボーリスさんは質問攻めにあっていました。
もぐもぐしながら、あたしに聞こえたのは、ボーリスさんの昔の話。
ボーリスさんは、もともと人間の騎士で、魔王と戦っていたんだそうです。
そして、ケイさんという仲間の騎士と、二人で魔王の軍勢を食い止めていたら、気がつくと動物になっていたんだとか。
魔王は、ボーリスさんのいとこのピョンスロットさんという人がやっつけたんだって。
ピョンスロットさんって、可愛い名前。
どんなどうぶつなんだろう?
「ピョンって言ったら、決まってるだろ! カエルだよ!」
「ええー。かわいくない」
「なんだよー。カエルかわいいだろ!」
お兄ちゃんの提案はだめだめです。
カエルの騎士様なんて、なんかあたしのイメージじゃありません。
「ピョンっていうなら、カエルじゃなければ……ウサギかなあ」
「ええー。ウサギなんて弱っちいよー! どうやって戦うんだよ!」
「むー! ウサギさんだって強いかもしんないじゃん! ほら、ニンジンさんで魔物をぽこぽこ叩くとか!」
「ニンジンで魔物をやっつけられるわけないだろ!」
むむむー!
お兄ちゃんはわからず屋です。
しばらく口を利いてあげないことにします!
「へっくしょい!」
「あれ? ピョンスロット卿、風邪ですの? というか、ウサギも風邪を引きますの?」
「いや、だれかが私のうわさをしていたのであろう、もぐもぐ」
「ピョンスロット卿、そのニンジンって食べられるんですね……」




