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第三:宝具授与

今回で残りの三人を出しています。自己紹介に三シーンも費やすのは本意ではなかったのですが、一シーンに集めすぎると「説明くさくなりすぎる」と判断してあえて分けてみました。次回からいよいよ魔物討伐のためにダンジョンに挑みます。

 六人で謁見の間に戻るとすでに国王の姿はなく、全身鎧に青いマントをつけた軍師と六人の侍従だけが待ち構えていた。

「顔合わせを終えてまいりました、軍師様」

 ナジャフの礼に他の五人が合わせた。

「急な決定で皆も戸惑っているだろうが、職責はしっかりとまっとうしてもらいたい」

 皆の顔が引き締まる。

「少数精鋭で魔物の残党を討伐する『勇者隊』にはこれから多くの困難な闘いが待ち受けているだろう。そこで皆に適したマジックアイテムを授けておこう」

 侍従に魔具を持ってこさせる。

 まずは双剣が軍師の手に渡った。

「これはレフォアに。『風鳴り』という銘を付けた魔剣だ」

 男性の正装を着た金髪の女性が進み出て軍師から双剣を受け取る。

「風を切ることで切断突貫能力が上がる魔法を付与してある。剣舞の達人であるそなたに向いている剣だろう」

 レフォアを下がらせると、次の侍従が腕輪を持ってきた。

「『渾身の腕輪』はグラーフに」

 身の丈は二メートルほどもあり筋骨隆々の男が歩み出る。

「右手に付けると集中力が増し、左手に付けると疲れが癒される魔法がかけてある。高い集中力を必要とする秘技『一刀両断』を用いるそなたの助けになるはずだ」

 次に神官服を着た女性が呼ばれた。

「エイシャには『神の聖印』を授けよう。神界の金属であるオリハルコン金を使ったもので、奇跡の効果を数倍に高めてくれるだろう」

「『マナの首飾り』はカセリアに。万物の根源たるマナの泉に通じており、魔術を数多く唱えることができるだろう」

 黒いローブをまとった青年然とした男性が受け取ると、ナジャフの名がかかる。

「『収納の指輪』はナジャフに。異空間につながっており、さまざまな物をそこに置いておくことができて、いつでもそこから取り出せる。巻物や薬、冒険で手に入れたアイテムなどを保管しておくのに役立つだろう。無論大きさに限度はあるがな」

 最後に長剣を手にとる。

「この長剣には『封魔の剣』という銘を付けた。片方の刃にはミスリル銀に魔法を施し、もう一方は鋼の刃にしてある。この剣はトルーズに」

 トルーズはその長剣を受け取り、その場で鞘からわずかに抜いてみると片刃だけがほのかに青白く輝いていた。軍師は光っていないほうの刃を指して、

「こちらにある鋼の刃には魔法を吸収する性質がある。敵が放つ魔法をよけずに剣を振るうことができるだろう」

「魔法を吸収……ですか?」

「そして、吸収した魔法を上乗せして相手に叩きつけることもできる」

 不思議そうな顔をしたトルーズは剣を鞘から抜き放って両手で握り、左右に振ってみた。大きな剣の割に軽く扱える。しかも今まで使っていた剣よりも意のままに振るうことができた。

「他にもさまざまな使い方ができる剣だ。そなたの成長とともにこの剣の真価を発揮してもらえればよかろう」

 軍師は六人を見渡すと、

「これで皆にアイテムが行きわたったと思う」

 と言い、皆がそれにうなずく。

「さっそくで悪いが任務がある。今すぐ発って魔物を壊滅してもらいたい」

「軍師様、敵はわかっているのですか?」

 ナジャフが問った。

「首領はシグリズだ。この地図に従って目的地へたどり着けばよかろう」

「シグリズというと中級のアンデッド・モンスターでございますね。中級といえど通常の魔物では上級に相当する。用心してかからねばなりません――」

 ナジャフは自慢の知識を披露する。知識がありすぎて説明が止まりそうもなかった。

 トルーズはその状況に気づいてただちに軍師から地図を受け取り、

「任務、承りました」

 と述べる。

 トルーズに合わせて一同は軍師に向かって深々と一礼し、足早に謁見の間を去った。冒険の準備は手早く済ませなければならない。




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