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  作者: みほし
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6月2日

6月2日


今年の1月1日。

お年玉だよ、ってお母さんがこの部屋をくれた。

多分僕が、1人部屋が欲しいって言ったからだと思う。

壁も天井も真っ白なこの部屋がその日から僕の部屋になった。

入って正面には缶詰とか非常食とか、

とりあえず食料品がこれでもかってくらい山積みにされていた。

正面の壁には時計とカレンダーが貼ってあって、

入って右側にはベッド、左側には壁一面の本棚と、そして扉が1つ。

僕の2倍の高さはある本棚には、本がぎっしり入っていた。

本棚の近くにはたくさんの紙と、クレヨンと鉛筆、

それから消しゴムと鉛筆削りが置いてある。

本棚の横にある扉の奥には、トイレと洗面所があった。



お母さんは

「今日から1年間、外に出るのは禁止。

食べ物は、缶詰と非常食と水を1年分用意してあるから、

それを食べなさい。

時計の鐘が鳴ったら、カレンダーにばってんをつけるのよ。

わかった?」

って僕の目を見ながら言った。

とても怖い目だった。

お母さんはたまにこういう目をする。

でも、その日はいつもと少し違った。

今でも何が違ったのかよく分からない。



分かった、って僕が頷くと、

「1年後、迎えに来るからね。」

って僕の頭を撫でてから部屋を出て行った。

最初は1人部屋が嬉しくてはしゃいでいたけど、

しばらくしたら寂しくなったのを覚えている。

お母さんに会いたくて部屋を出ようとしたけど、

鍵がかかっていた。


今もその鍵はかかったまま。


誰かに会いたいな。

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