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臆病者の弓使い  作者: 菅原
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貿易都市スウェルマーニ

 旅の一行が王国を出て六日目。彼等は無事貿易都市『スウェルマーニ』に到着した。

道中は魔物とも遭遇せず、これといった問題も起こらない非常に順調な旅だった。

商人はこういった旅は非常に珍しいと語る。

 護衛依頼は王国に戻るまでの往復で依頼されていて、スウェルマーニで品を置き、一晩泊まったら新たな品をもって王国へ引き返すことになっていた。

 六日間に及ぶ禁欲の旅をしていた彼等は、王国とさほど変わらない活気を持つ街に気分が高揚する。

更にネイノートのみならず、今回護衛依頼を受けた冒険者全員がスウェルマーニを初見だという。

以上の理由により、翌日の集合時間までそれぞれ自由に過ごすことになった。

 夕闇に染まる空の下、風の翼一行は出店が立ち並ぶ商店街へ、スリズの星一行は賑やかになる居酒屋へと足を運ぶのだった。


 スウェルマーニは王国と違い、平坦な土地に作られた都市で、大陸で行う貿易の中心を担っている。

都市のすぐ近くには、大陸を分断する巨大な川『ケリアル川』が流れていて、海沿いではないのだが港町のような形式をとっていた。

その為川で取れた魚類が多く店に並ぶ。

 魚というのは管理が難しく、すぐに腐るため運搬に七日かかる王国では滅多に見ることはできない。よくてかぴかぴに干した物くらいだが、それでも希少価値から結構な値段が付く。

 商店街を歩くネイノートとカノンカは、出店で音を立てながら焼かれる魚に目が釘付けとなった。


 宿は特に変わった設備もなく、王国とさほど変わらない。厠も風呂も共同ではあるがついていたし、夕食もつく。位としては中くらいの宿屋だろうか。建物は新しく小奇麗だった。

冒険者らは本来、数人で寝泊まりする共同部屋に泊まる予定だったのだが、上気分な商人が追加料金を支払ってくれたおかげで、個室で寝ることが出来た。

 彼等がこの町で一番驚いたのはその宿で出た夕食だ。

何と、生の魚を切っただけの物が料理として出されたのだ。『さしみ』と呼ばれるその料理は、勇者が見つけた料理の一つらしい。

「勇者様のおかげで、新しい料理に飲み物、さらには調理方法まで手が加えられて、昔では考えられない程美味しいものが食べられるようになったんですよ」

とは宿の女将の言葉だ。

王国では味わえない不思議な料理に舌鼓を打ち、その日は終わった。


 翌日の昼頃、スウェルマーニの門に皆集合する。

商人が品の最終確認をしている間、冒険者は旅の総リーダーと役割を決める。

 冒険者は縦社会になっていて、実力が全てを決める傾向があり、年を気にするものは少ない。

旅する冒険者の中で一番等級が高いのはカノンカのD級になるから、自ずと総リーダーは、カノンカの組するパーティーのリーダーであるネイノートとなる。

 彼等は話し合いの結果、スウェルマーニに来た時と同様で、ネイノートとカノンカが馬車前方を、スリズの星が馬車の左右と後ろを手分けして護衛することになった。

全ての確認を終えた商人とその護衛一行は、貿易都市スウェルマーニを後にする。

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