恋(仮題)
ぼくはもうだめだった
とにかくだめだった
いままでもこれからもだめだった
だからせめていちどだけ
ひとをすきになろうとおもった
きれいなものになりたかった
いっかいかぎりでいい
きれいなものになりたかった
まちかどであなたをみた
はじめてひとをすきになった
わけもわからずひとりでないた
こわくてうれしくてせつなくて
だからどうってわけじゃない
なにがしたいわけでもない
きたいなんてしていない
きそくただしいあなたのリズムが
いつまでもつづいてほしいとおもうだけ
それだけなのに
なんだろうな
くやしいよ
いちどだけきれいなあなたがふりむいた
ぼくにむかってふりむいた
たったいっしゅんだけの
ぼくのいっしょう
もういちどだけ
きれいなあなたに
よごれたぼくをみてほしい
みにくいぼくをみてほしい
そうしてぼくがきたなくわらって
あなたがぼくからはなれるとき
あなたはもっときれいになる
うしろすがたにぼくはいのる
よごれたぼくのさいごのきぼう