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第十二話「最終戦闘(ラストゲーム)」

告げられた特殊戦闘の告知、しかし、その特殊戦闘は13番目によって、「最終戦闘(ラストゲーム)」へと変わる。

どんな手を使ってでも、12人が生き残る為の、最後のゲーム。

この最後の殺し合いの後に、幕が下りる・・・

 『さぁ、賽は投げられた・・・あと10分準備時間を与える。』



突然頭に響く、不愉快な声。アイツだ。12番目、確かチェイン、とか呼ばれてた奴。二刀流の剣と、斧槍、鎖鎌、色々合体した妙な武器を使いやがる野郎。

此方はまだ色々と整理中だというのに。



「・・・で、何分後に開始なんだろうな。」

「さぁ、僕にも分かりませんよ。ただ、僕の記憶に残ってる断片から拾える情報は正面切ってやり合えばかなりヤバいって事ですね。」

「そりゃそうだろ。近距離と中距離だったら勝てるはずが・・・いや待て。」



もし、もしも、今回の特殊戦がチェインとの真っ向勝負だったら。

勝機はある。

此方は遠距離武装、奴が持っているのは中距離から至近距離に掛けてはとても強い武装、しかし遠距離とまではいかないだろう。鎖鎌で半径50mを薙ぎ払うような武装なら最初から勝てるはずの無い設定だろう。腐っても「主催格」だ。反則(チート)やバランスブレイカーを仕込んでくるようなマネはしないはず。



「すると思いますねぇ、僕。」

「いやいや、性根が腐っても・・・」

「・・・チェインは、12番目は・・・素性が掴めなくて、しかも、13番目を除けば一番強いです。過去、12番目と参加者数十人が戦うゲームを彼は主催しましたが、目の前の参加者は「訳も分からない」殺され方をしました。」

「訳も・・・分からない?」

「ええ、僕の記憶が正しければ、ですよ?確か・・・」

「確か?」

「・・・・・・」

「・・・おい?」



額に汗を流しながら、此方を笑顔で見つめるセヴン。

作り笑顔だというのはすぐに分かる。

・・・それと、大体今の状況の理由も。



「・・・まぁ、それは覚えてなくても仕方ない。もし、覚えてて俺に教えたら、完封で勝っちゃうしな。」

「そ、そうですよ!ご主人が対策を知ったら余裕ですよ!」

「まぁ、同じルールじゃないことを祈ろうか。」

「・・・それはそうと、ご主人、買い物はしないんです?武器とか一応、調達しておいたほうが・・・」

「いや、いい。」



武器ならば拳銃で十分だ。サーベラスが無くとも、彼女(セヴン)のオルトスがある。それに無限に拳銃系等を作り出し続け、使い捨てていけば弾の心配もいらない。近接武装が無ければ、前の時のように臨機応変というか死体漁りというか、とにかく、現地で調達すればいいんだ。



「・・・俺とお前なら、それで余裕だろ?」

「ふふふっ、ですね。しっかり使いこなしてくれる事を信じてますよ。」

「任せておけ、セヴンこそ、出す武器間違えるんじゃないぞ。」

『・・・緊急報告(エマージェンシー)です。次の特殊戦は最終戦闘(ラストゲーム)とします』

「・・・最終(ラスト)・・・?」

「・・・どういう事ですかね・・・?」



頭に響く、12番目ではない、最初に、この殺し合い(ゲーム)に参加させられる前に話しかけてきた女性の声。

そして、最終戦闘(ラストゲーム)という単語。

・・・どういう事だ?



『現在の参加者の人数は20名、その20名の内、外部で戦闘を行っていた数名を一斉に休憩室(インターバルルーム)へと転送しました。10分の準備時間を休憩室に居た者、外に居た者問わず、全員に与えます。抜かりの無いように。20名の内、最初の説明通り12名が権利(チケット)を得られます、変更はありません。人数が8人以上減った時点で、最終戦闘は終了します。それでは、再度、抜かりの無いよう。ご健闘をお祈りします。』



これが、最後の戦いという事か。・・・何にせよ、変わりは無い。

鬼が出るか、蛇が出るか。結局そういう事だ。



「・・・ご主人、やっぱり何か買ったほうが・・・」

「いや、武器は要らないさ。」



冷蔵庫から缶コーヒーとコーラを取り出す。

そして、コーラを投げ渡す。

勿論KPが持っていかれる事は覚えてる。



「・・・投げ渡すなんて酷いですねぇ、噴き出たらどうするんですか。」

「何ならもう一本手渡しでやろうか?」

「随分余裕ですねぇ。まぁ、僕も余裕ですけど。」

「・・・そりゃ、余裕だろ?」



互いに持った缶をぶつけてから、タブを開け、一気に喉に流し込む。

心に余裕がある、なんて事は無い。自信ならばある。

俺達ならやれる。「余裕で最終戦闘(ラストゲーム)を抜けられる」なんて思っちゃいない。



「13番目じゃないといいんですけどねぇ。」

「13?」

「13番目、13th-MOTHER-、このゲームの創始者にして、一番上の存在。主催とかそんなレベルじゃないです。マザーの名が冠する通り「殺し合い(ゲーム)を生んだ母」、つまり自由自在、この世界を歪ませるも、正すも彼女次第。・・・・・・っていう話を断片的に覚えてます。」



断片的、か。

そういえば、つい何時間か前まで、コイツには二人分の記憶があったんだっけ。姉と、自分と。その姉の記憶が断片的に残っているって事か。



「・・・創始者(ゲームマスター)ならズルはしないだろ、多分。」

「・・・・・・まぁ、顔すら見た事ないんですけどね。顔を見れるのは権利(チケット)を手に入れた人だけでしょう。」

「・・・・・・ツラ見てブン殴ってから戻ろうぜ。」

「・・・ふふふ、そうですねぇ。僕を、僕とご主人をこんな目に遭わせた奴ですからね。」



元は俺が死ぬ前に「もう一度人生を強くてニューゲームできたら」なんて考えたのが原因だ、それでこんな目に遭ってる訳で。まぁ・・・自業自得な訳だ。

しかし死後、いや、生と死の境目で殺し合いをさせるのは納得いかない。

その点では、ツラを殴ってやる。



「13th-MOTHER-って名前的に女の人ですよね、ご主人が殴ったら色々と問題に・・・」

「13番目が美人だろうが何だろうが構わず殴ってやる。・・・それで戻さない、なんてゴネたらもう一発か、鉛弾だ。」

「ご主人も最初に比べて言うようになりましたねぇ、僕的には今のご主人のが明るくて好意が持てますね。」

「・・・ちなみに鉛弾ぶち込むのはセヴンだからな。」

「・・・僕?」

「・・・ああ、俺とお前だ。」

「なるほど、僕が銃でご主人が引き金を引くと。」



くだらない殺し合い(ゲーム)と創始者(ゲームマスター)や、今まで戦った相手、関わってきた相手、そんな事について、ずっと話していると、時間は過ぎていった。

頭の中に声が響くと思った・・・が、今回は違う。



 「・・・一体どういう了見・・・ッ!?」



周囲が白い。

・・・そうだ。この殺し合い(ゲーム)が始まった部屋だ。

周りには19人、俺を含め20人。キッチリ居る。

ビビって震えてる奴も居れば、銃を構えたり、剣を振り回してる奴も居る。

見た事のあるツラも3人。風澄鈴、冥王院紫苑、そして、ジャック・アリオク。全員生きててなにより、だ。



『ご主人、気をつけてください。目の前をよく、よーく、見るんですよ。』

「・・・何が起き・・・る?」



俺は信じられない光景を目の当たりにする。

何もない、壁。

その壁から12番目が4番目の首根っこを掴みながら、歩いて出てくる。

その4番目の顔は、恐怖感を覚えているのか、真っ青。

その4番目を見た瞬間、俺の身体は動かなくなる。

周囲の19人もそのようだ。

剣を振り回していた男は剣を地に落とし、銃を構えていた男は銃を構える、ではなく抱えている。



「待たせたな。では、余興だ。」

「や、やめてください、チェイン!ボクは・・・・・・」



問答無用で地面に叩きつけられる4番目。

その倒れている4番目を踏みつける12番目、チェイン。



「・・・君達参加者も疑問には思っているだろう、この行為。しかし、これは当然だ。裏切りには、死。」

「クククッ!その通りだなぁ!」



ジャック・アリオクが笑いながらそう言葉を発する。

どこに居るか、わからないが、この声は奴だとすぐに確信は持てた。

・・・その通り、って、奴に何があった?



「この4番目、4th-Mindhackerはある二人の参加者・・・一人は先ほど声を挙げた者だ。もう一人は伏せよう。彼等の脳内、そして武装人格に休憩時間(インターバル)であるにも関わらず、干渉、そして武装人格と参加者を剥離させようと試みた。直接的に手を下し、ゲームの進行に問題を起こそうとする権利者は、必要が無い。」



踏みつけた4番目に対し、槍・・・いや、剣だ。中央で二つに分け、柄を縮め剣として扱えるようにした武装を突き立てる。

剣の峰から妙な棒が出て来ているのが見えるな・・・

柄の部分でも余った・・・いや、違う。

あの柄と同じサイズだけど峰に生えた棒、あれの先端には穴がある。

まさか、な・・・



「裏切り者を引き裂け、ピスケス!」



予想通りだった。

棒の先端から、「発言」と共に放たれる鉛弾・・・いや、蒼い弾。

それは、4番目の身体を貫くと、泡のように破裂し、4番目の身体をズタズタにしていく。それを何発、何十発と両手の剣を突き刺し、至近距離で撃ち込む12番目。

その表情は、とても「固く」、規約(ルール)を破った者に罰を与える、死刑執行者、そんな感じだった。



「4番目は消滅だ。マザー。」



そう小声で呟くと、足元に「あった」肉塊は消滅している。

峰の棒を引っ込め、峰同士を合わせ、柄を伸ばし、槍の形態へと変化させ、石突から鎖を垂らす。

その槍を片手で一回転させ、構え直すと、刃が石突側にも付いている、上下両刃の槍へと変形し、そして更に一回転させると元に戻る。

一体・・・どういう武装だ?ピスケス、とか言ってたよな。



『可変型の武器でしょう。恐らく特殊系の。』

「特殊系?」

「生きてたか、神無月采!ククッ!そうでなくちゃなぁ!」

「・・・そりゃそうだ、約束は約束だしな。・・・で、特殊系って。」

「俺が説明してやる。俺がお前と最後に別れた後殺したクソッタレの奴が居るだろう?」

「あぁ。」



そういえば、約束をしたのもその時だったな。

「俺はコイツと最後の最後に戦わなければいけない」なんて。



「ソイツが特殊型だった。周りを眠らせたり、麻薬の症状のような幻覚を周りに見せるバイオリン、そんな武器を出す武装人格だったぜ。」

「・・・なるほどな、特殊は本当に「特殊」か。」

『理解してます?』

「まぁ大体ね。」



鎖を引き摺る音が鳴り響く。

ゆっくりと中央に立つ12番目、チェイン。

その移動と同時に、俺達は、チェインを囲むように、円形に立っていた。

その間隔は恐らく100mあるか、無いか。



「君達の中の12人が生き残ればこのゲームは終了。逆に全滅すれば、全員無限地獄行き、運が良くて武装人格化だろう。では・・・遊戯開始(ゲームスタート)だ。来い。」



ゲームスタート、と言ったものの、全く動かない。チェイン。

俺も流石に唖然としていて、動けない。



『ご主人、おーい?ご主人?大丈夫です?』

「あ、ああ!いくぞ、セヴン・・・・・・オルトスッ!」



右手にオルトスを構え、左手にはコルト・ガバメントを出す。

俺も奴に照準を定め、引き金を引こうとした、が。

その行動を中断させる出来事が前で起きていた。

ライフルやマシンガンを持った3人の参加者だ。



「撃て!とにかく撃ちまくって蜂の巣だ!」

「・・・ふぅむ。」

「ちょっと待てよ!コイツ全部・・・ッ!」

「いいから撃て!いつか武器も壊れっ・・・」



何が起きている。

とんでもない速さで銃弾を全発払い落としている、それは理解が出来た。

・・・だが、一人の参加者の上半身と下半身が真っ二つに別けられる。

・・・アイツは弾いているだけだ。



「な、何だってんだよォォォ!」

「ちったぁ頭使えよ、ダァボ。」



発言と行動、今のは完全に見えていた。

ジャックだ。何を考えているか分からない、コイツは・・・

ライフルとマシンガンの男を一発ずつ撃ちこみ、的確に「殺した」。



「あ、アンタ!何してんのよ!」

「・・・あ?ちったぁ頭使えって言ってんだよ。お前も撃ち殺し・・・」

「やめておいたほうがいいんじゃないか?ジャックさんよ。」



風澄を怒鳴りつけるジャック。ジャックは銃を風澄へと突きつける。

後ろからジャックにガバメントを向ける。

振り向き、銃を此方に向けてくるジャック。

威圧感がハンパ無い。



「・・・采、テメェ、どういう事だ?」

「・・・悪いけど、協定は多い。そこの風澄鈴、そして、その奥で刀で間合いを計ってる冥王院紫苑。彼女達二人は一応協定だからさ。」

「・・・女好きか?」

「・・・どちらかというと、武装人格好きか。」

「ケッ、変態が。理解はしてやった。あとは好きにやらせろ。・・・いや。待て。」



どうも。

バカみたいに礼を言ってる場合ではない。

3人退場。残りは17人、あと5人減れば終了だ。



「集まりやがれ、ちょっと会議するぞ。」



一応、「協定」という真柄になるであろう二人を集め、ジャック主催の会議だ。前線じゃビビってる奴等が時間を稼いでいる。・・・もとい時間稼ぎ用にジャックに脅されビビってる訳だが。



「・・・確認するよ、まず12人しか残れない。そしてあと俺達含め17人・・・おっと、今1人・・・16人だ。」

「タイムリーすぎるでしょ!どうするのよ!」

「・・・・・・殺人鬼さんの考えは分かりました。」



刀を抜く冥王院。

大体俺も理解は出来た。

だが、流石にこのやり方は、本当に正しいのか?



「そうだ、メスガキ、テメェさんの考えてる通り、適当にビビったり張ったりしてる四人をブッ殺す。」

「おい!ジャック!」

「何だよ、采、今戦いたいってのか?」

「・・・そうじゃねえよ、だけど、それがゲームの攻略法なのか?」

「・・・違ェってのか?それ以外俺には考えられないな。」



まさか、とは思うが。

あの圧倒的すぎる力に勝つ方法が無いとすれば、これが攻略法なのか?

・・・だけど、最初の説明とジャックの考え、この二つを同時に考えると、これが正しいようにも思える。

要は「生き残ればいい」んだ。

・・・納得いかない。

とても、納得がいかない。

そんな俺は、走り出していた。



「そんなのが正攻法なんて、認めるか!」

「・・・ふむ・・・7番目、いや、君か。」



まだ殺されてはいない、倒れている参加者の使っていたであろう剣を手に持つ。そして、踏み込む。

今の俺には、どうにも正常な判断が出来そうにない。



「ふっ!」

「・・・何だってんだ・・・」



一発だ、一発で剣を粉々に砕かれる。

後ろに下がりながらオルトスを撃ち続けるが、全く当たる気配が無い。

全て、弾かれ、地面へと弾が叩き落される。

一時的に弾切れを起こした時、意識はしっかりとする。



『ご主人、少し考えてください!いいですか、あと4人・・・4人です。』

「それでいいのか?」

『えっ。』

「・・・これに納得したら、俺自身がゲームに完全に納得したような気になって、嫌でさ・・・」

「バカなプライドとカッコつけは捨てろ!」



一発の銃声、それと共に一人倒れる。

ジャックだ、一人ずつ始末しようと掛かっている。



「・・・だけど待てよ!ゲームを終わらせちまったら、俺とお前の戦いは・・・」



聞こえていないのか?

・・・これでは心理戦もクソも無い。



「・・・使え。」



鎖を自力で千切り、ピスケス、と呼ばれた武器の片割れを俺に渡す12番目。

そして近づいてきた参加者を斬り捨てる12番目。

何を考えている、どいつもこいつも・・・



「・・・一撃で決めるとしよう。」

「・・・・・・そうか、アンタも主催なのに、納得いかないか。」

「・・・フッ・・・気づかれてしまったからな、最高速攻略法に。」



俺は片手でピスケスを持ち、剣として扱う。

勿論相手も、だ。

鋭い金属音が鳴り響く。



「速いな。」

「・・・生憎だけど、さっさと倒れてもらいたいんだけどな。」

「・・・それは適わん。」



突きを防がれ、袈裟斬りが襲い掛かる。

それを防ぎ、此方が斬りかかる。

無限ループだ。

しかし、俺はこのループを終わらせる方法を思いついた。



『・・・ご主人頑固ですね。』



当然だ。

俺達の「次の生」が掛かった戦いで、負けることは許されない。

当然、コイツに勝つことがゲームの勝敗ではない。

・・・・・・ただ、コイツを生かしておくと、後で障害になるだろう。



「それは正しい。」

「うわっ!?」



剣を弾き飛ばされ、振り上げられるピスケスの片割れ。

完全に、俺は死んだ。

片手に持ったオルトスを持つ手さえ、緩くなる。

・・・すまない、セヴン。



「バカが!死のうとしてんじゃねえ・・・ッ!」

「・・・は?・・・な、何してんだよ・・・お前。」



俺の目の前ではピスケスの斬撃を受けるジャック。

思い切り、刃が食い込んでいる。



「・・・テメェは約束を果たすまで、死ぬんじゃねえ!」

「お前こそ・・・」

「・・・ハッ、余裕だ。策があるからな、早くソイツをブチ殺せ!」

「・・・・・・分かった。」



オルトスを真っ直ぐに構え、引き金を引く。

これが、最後の「射撃」。



『・・・やりましたね。』

「・・・この距離でぶっ放されたら死ぬだろ。」

『ですね。』

「・・・・・・ジャック、悪い・・・」

「誰が死ぬかよォ!インビンシブル!」



傷を無効化した・・・?

・・・しかし何を代償にしたのだろうか。

・・・・・・気付けば、ジャックは手に銃を持っていない。

まさか。



「・・・ククッ、あばよ、9番目。」

「・・・これで、終わりね。」

「そうですね。」



風澄と冥王院が近づいてくる。

どうやらこれで12人が残った、ようだ。

その場で倒れている12番目、チェインを囲い、目を瞑る。

段々と姿が消えていくチェイン。

完全にチェインが消滅した時、その場に、白い霊体のような女性が現われる。



 「アンタがマザーか?」

「ええ、私が・・・マザー。貴方達はついに、権利(チケット)を手に入れましたね。」

「・・・オイ、マザー。」

「何でしょうか?」

「俺の頼みをまず聞け。」

「・・・せっかちですね、良いでしょう。」



祝辞やら能書きも何にもまだ始まっていないのにマザーへと語りかけるジャック。大体の事は分かる。



「・・・俺の望みは、そこに居る神無月采と1VS1の決闘をさせろ。そして、その後その場に立っていたら俺を武装人格、11番目にしてくれ。」

「・・・分かりました。では、神無月采。」



手元からオルトスが消え、周囲に居た10人も居なくなる。

そして代わりに現われたのは、シングルアクションリボルバー。



「ケッ、古風な決闘だぜ。」

「・・・だな。」

「・・・ルールは3歩、それでいいな?」

「ああ」

「1」

「2」



さ・・・・・・ん・・・・・・?

鋭い痛みが俺の腹部を襲う。

どうやら、撃たれたようだ。



「・・・同時・・・だと・・・・・・ククッ・・・いや、勝敗はついたな。」

「・・・・・・」



視界が戻っていく。

腹から血を流すジャック、俺に当たったはずの弾は無かった事にされ、腹部に傷も無ければ、血も無い。



「・・・お前の勝ちだ、采。最後の最後、ジミなルールだったが、楽しかったぜ・・・」

「・・・・・・なんでだ、同時じゃ・・・」

「・・・最後に立ってたのは、お前だ。」



そう一言残し、半分消えかけるジャック。

これじゃあ、11人になってしまう。



「オイ、マザー!聞こえてんだろ!?」

「・・・まだ何か?」

「・・・俺が居なくなれば11人だ、このヤロウ、いや・・・神無月采の武装人格を、人間として呼び出してくれ。」

「・・・・・・・・・分かりました。」

「おい!?ジャック!?」

「・・・まぁ、ヤキだろうな。八島に会って来るさ。」



完全に消滅するジャック。

それと同時に、目の前に現われる、セヴン。

・・・腹が痛い。

別の意味で、セヴンに飛びつかれて。



「・・・・・・で、周囲に俺と、鈴以外居ない訳だが、どういう・・・」

「僕も居ますよ。」

「・・・訂正、俺とセヴンと鈴、そしてマザー以外居ない訳だが。」

「・・・みんな、戻ったわよ。金やら力やら好きなもん貰って。」

「・・・・・・次は貴方達の番です。ではまず、風澄鈴。」



・・・風澄、か。

鈴と呼べ、とは言われたけど、最後まで呼び方、風澄だったな。

・・・・・・申し訳ないような、これで良かったような。



「・・・まぁ欲しい物は、ちょっとだけ、ちょっとだけ頑張れる力。頑張る為の原動力。それを足した状態で、戻してくれるかな?」

「・・・本当に、それで良いのですね?」

「・・・当然!」



・・・変わった、って事は分かった。

・・・原動力・・・か。

まぁ、何にも貰わずに帰るより、少し何か貰ったほうが、お得なんだろうな。



「・・・神無月!」

「・・・何だよ、ったく。」

「向こうで会ったら・・・一発殴るから!」

「はぁ!?」

「生徒会長、っていうか人の考え、曲げさせて!ただじゃおかないん・・・」



消えた。

死とは別の消滅。まるで、祝うような蒼い粒子。

・・・このゲームをクリアして祝われたくはない。

だけど、このゲームを通して、彼女のように、変われたなら。

それでいいんじゃないか。



「では、神無月采とセヴン・・・・・・貴方達は何を求めますか。」

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