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第十一話「7/2-(7+1)-ナナワルニヒクナナタスイチ-」

12番目を名乗る男に「休憩室(インターバルルーム)」へと飛ばされた、と思われた3人だったが・・・

 深い闇。ずっと、奥の奥まで黒。

何も見えない。・・・・・・訳じゃなさそうだ。

自分の手はしっかりと見える。

暗闇じゃなくて、周りが黒いだけか?

・・・・・・確か、休憩時間(インターバル)に放り込まれたはず。

ケータイは電源が落ちている。入れようとしても、反応が無い。

そうだ、セヴンは、どこに居る?いつもなら放り込まれた時、その辺に居るはずだ。

頭にも話しかけてこない、という事は居ないのか?



「うわっ・・・・・・」



足元を滑らせるが、俺の体は空中で一回転をする。

足は地面に付かず、浮いているようだ。だとすると、宇宙空間か?

信じたくはないが、「死んだ」という可能性もあるかもしれない。

あの「12番目」とやらに騙されて。

色々考えていると、辺りが明るくなる。

俺はかなりの勢いで地面に叩きつけられ、空を見ている。

・・・・・・どこか、見た事がある。



「あぁ、そうだ。俺は・・・・・・飛び降りたんだっけ。」



・・・・・・俺が飛び降りた場所だ。

恐らく、落下地点。

周囲には人だかり、地面に叩きつけられた俺は立ち上がれない。



「大丈夫ですか!?」

「・・・・・・別に・・・・・・」

「ダメだ、意識が無い。」

「聞こえてないのか?」

「救急車!救急車だ!」



俺の声は聞こえていない。

何が起きているんだ?

俺は、どうなった?殺し合い(ゲーム)に参加していたんじゃ?それともゲームは終わったのか?



「・・・・・・ダメです。」

「そうか。そういう事か。」



なるほど。

意識としての存在、俺は俺の体には居るが、霊体的何か、という訳か。

納得がいかない。

せめて戻すなら、時間をもう少し前へ。

戻さないならば、殺伐としたゲームでもう一度やり直させろ。

・・・・・・そう思った瞬間だ。 

 辺りは町並みから、真っ白へと変わる

あの「殺し合い(ゲーム)が始まった」場所だ。



『君は何を望んでいるの?』

「・・・・・・セヴンか!?」



頭に響く聞きなれてしまった声。

・・・違う。

これは彼女じゃない。

ここまで淡々と、冷静に語りかけるようなヤツじゃなかったはずだ。いつもの彼女ならば、俺を小馬鹿にしながらも、楽しそうに何でも話す、はず。

だけど、この子は、どこか、哀しそうな声をしている。



『・・・私はセヴン。違いはないよ。ずっと一緒に居たはず。』

「つまらねえ嘘はやめろよ。」



彼女の一人称からして、彼女は俺の知っている彼女ではない。いつもなら一人称は「僕」、そして明るい性格。コイツは誰なんだ?

俺は、横たわったまま言葉を発そうとするが、段々と世界がまた、黒く塗りつぶされていく。次は何を見せる気だ?



『私がセヴンである理由、分からない・・・かな。』

「・・・分からないし、それに知る必要も無い。お前は、セヴンじゃない。」

『今、ここに来る前に聞いた事を思い出せる?』



・・・そうだ、4番目が言っていた。

「出来損ない」「味方殺し」「番奪い」「彼女はセヴンではない」。

確か、アイツには姉が居た。そしてその姉を手に掛けた。

まさか、とは思うけれど・・・もしも、彼女が本当にそうならば。

俺は考えを纏めて立ち上がる。



『・・・分かって頂けましたか?』

「・・・ああ。分かった。お前は「7番目」、確かにセヴンだ。だけど、決定的な違和感がある。喋り方も、性格もそうだ。それに、君はもう死んだ。」

『ええ、だから武装人格、主催格として・・・』

「だろうな。」

『武装人格というものは、一度死してから成るモノです。よって私は・・・』

「ああ。武装人格だ。「元」、な。」



唇を噛みながら、片手に「サーベラス」を出す。

数秒経ったか経たないか、そのレベルで具現化される。拳銃「サーベラス」「オルトス」、この二丁は彼女達武装人格姉妹の拳銃で、サーベラスは今俺が話している、姉のセヴン、オルトスは俺と一緒に居たはずの妹のセヴンの物だ。

簡単にサーベラスが出てくる。それはつまり。

彼女は「姉のセヴンである」という事を意味している。



「3度目か。」

『・・・何故、私に銃を向けるのですか?』



暗闇の中、目の前に現れる「セヴンによく似た少女」、もといセヴンの姉。

彼女に銃口を突きつける。

よく知っている顔に銃を向けるのは精神上とてもよろしい物ではない。しかし殺らなければ、いけない。そんな衝動が俺に走る。



「自分に聞いてみろ。」

『・・・私は・・・私は主催格ですよ?私と組んで、再開すれば・・・』

「必要が無い。」



強い反動が肩に伝わると同時に、銃声が轟く。

目の前の「彼女」は右目から血を流し、その右目を抑えながらも口を開く。



『何・・・で・・・』

「・・・俺に必要なのは、アンタじゃない。アンタによく似た、いいや。アンタを2度殺した、アンタの血縁者だ。」

『・・・そう・・・ですか』

「物分りが良くて助かるな。」



更に一発、轟かせる。

さっきよりも反動が強い。

決して彼女の物分りが良い、という訳ではないようだ。それが、銃の反動となって現われている、それはすぐに分かった。



「大体、アンタより強けりゃ、妹に7番目を譲ったっていいんじゃねえの?」

『・・・それもそうですね。』

「・・・アンタは、負け犬の亡霊だ。死んで、また死んで、それでどこにも行けず、妹に取り憑いてまで存在を主張しようとして。」

『亡霊・・・・・・相応しい名かもしれませんね。』



手元に有ったはずのサーベラスが消える。

手に何も無くなった感覚を覚えたと同時に目の前の彼女を見る。彼女の体は、半透明になっていた。



「安心して眠ってろ。アンタの無念も、アンタの妹の面倒とその後も、俺の目的も、全部果たしてやる。」

『・・・・・・お願いしますね。』

「・・・任せろ。」



 彼女が消えると同時に、俺は膝から崩れ落ちる。

何故だろうか、胸が痛い。相手を撃つ事には慣れてきていたはずなのに。

とても痛い。視界が、白く、霞んでいく・・・



「起きてください。」



聞きなれた声。

何故だろうか、とても安心する。



「さっさと起きないと休憩時間なくなっちゃいますよー?」



そう。

これが俺の知っている彼女(セヴン)の本来の姿だ。



「・・・悪ィ。」

「全く、ご主人は何時まで寝てるつもりだったんですか?僕は何度も起こしたんですよ?」

「・・・ん、ああ・・・悪ィな。」

「・・・・・・らしくないですねー。別に分かってますから。」



はい?

何か今仰られたような気がする。

何を分かっているんだ?



「別に僕は姉さんを殺した後悔は無い・・・といえば嘘になりますが、ほぼありません。あれでいいんです。大体武装人格(ウェポン)同士で半強制契約とか気持ち悪かったんですよー。」

「・・・」

「う、うわっ!?ご、ご主人!?」



無意識に、俺はセヴンを抱きしめていた。

何故だか、目が熱い。



「・・・・・・ごめん、ごめんな・・・」

「・・・だから、別に大丈夫ですって!僕的には逆に殺ってくれたからやっと僕が僕である事が・・・」

「それでも・・・俺は・・・」

「亡霊を殺しても、法律には問われません。そうでしょ?」

「・・・・・・」

「らしくないですねぇ、ご主人も。前には逆だったのに。」



優しく、俺を抱き返し、頭を撫でてくれるセヴン。

身長も低ければ、胸も無い彼女だが、心は広・・・痛い、何だろう次は胸じゃない。頭が痛かった。一瞬だったけれど。

ただ、その痛さも心地が良い。

 そんなやり取りから数十分が経った



「それで、さっきの宣言は本当なんですよねぇ?ご主人?」

「ああ。」

「軽く告ってましたけど?遠隔的に。というか告られましたね僕。」

「・・・うるせえ。」



今思い返すととんでもなく恥ずかしい。

勢いで思ってた事を全部ぶちまけていた事に今気づく。

今更だ。



「まぁ僕的にはOKですよ。」

「・・・そういうのは終わってから言え、終わってから!」

「ツンデレさんですねぇ。」

「ツンギレになるぞ。」

「はいはい・・・それで・・・対策は?」



たい、さく?

何かあったっけな・・・?



「12番目です。」

「あぁ!12番目!!12・・・番目?」



そういえば、そうだった。

12番目が言っていた事。

「下拵え(したごしらえ)」、恐らく何か特別なゲームを企んでいる。

一体どんな手で参加者を減らそうとしてくるのだろうか。



「・・・ご主人、ちょっとキツい話があるんだけど・・・?」

「・・・はい、言ってみて。」

「かなりの数の参加者が狩られてます。」



その一言で反射的にケータイを手に取り、確認をする。

まず真っ先に掲示板とランキングだ。

掲示板にスレッドの更新は無い。

何日も、だ。

ランキングは何故か開けない。



「・・・片方はそろそろ人数が減ってることを悟らせない為の手なんじゃないかなぁって思うんですよねー。」

「・・・で、掲示板は人数が純粋に減って、使っていた人間はもう居ない、と。」



首をゆっくりと縦に振るセヴン。

もし、一気に減らされているとするならば。

4番目と12番目の仕業か、それとも他の参加者か。



「僕の推測は「1番目」か「9番目」の主催格武装人格を持っている参加者が怪しいですね。」

「1番目・・・」



1番目は恐らく、風澄のエアレスだろう。あの場に居て1番目と呼ばれていて、武装人格同士の対話が行われていたのは俺と風澄だけだったようだ。

冥王院さんの武装人格は「聞き取れない」みたいなことを4番目が言っていたな。

そして9番目・・・



「9番目は・・・インビンシブル。」

「ッ・・・!」



聞き覚えのある単語だ。

そう、あの男が使っていた反則(チート)レベルの武装人格。

ジャック・アリオク。あの男だ。

確か戦闘系等のほぼ全て能力の使用を、それに見合う「対価」を支払う事によって可能にする、だったか?どちらにせよ、加速したり武器を無効化したりとやる事が滅茶苦茶な武装人格と、野放しにしておけば確実に参加者を虐殺するような使用者。アイツが殺しまわっている可能性はゼロじゃない。というか、ゼロはまず有り得ない。



「ビビってるんですか?ご主人。」

「・・・正直、怖い。最後に戦う約束までしておいて、何だけど、勝てる気がしないんだ。」

「・・・大丈夫ですよ。ご主人ならやれます。」



どういう根拠だ。

俺には勝算が見出せない。



「・・・根拠なんかありません、ご主人は僕を信じているんですよね?」

「・・・当たり前だ。風澄も冥王院さんもどうなったか分からないし、八島も居ない、頼れるのはセヴンだけだ・・・」

「・・・なら、僕も頼りますよ。僕を一番上手く扱える、最高の参加者、ううん、相棒(バディ)を。」



信じて、信じられて勝てるなんて事は有り得ない。

だけど、セヴン(コイツ)とならやれる気がする。

・・・それに「勝たなきゃ」ならないしな。

約束したから。



「まぁ、まずは・・・」

「・・・12番目が何を仕掛けてくるか、だよな。」

「はい。そこで生き残らなければ、後はありませんからね。ご主人は・・・もしかすれば、これだけの成績を叩き出している実績から、武装人格(ウェポン)としてここで「やり直す」事は出来るかもしれませんが、僕は・・・」

「それ以上は言うな。」



仮に武装人格としてやり直しても、またこの戦いに投げ込まれる。

それに、どうしても残らなきゃいけない理由が出来た。

だから、死ぬ事は許されない。

仮に死んでからセヴンが許しても、武装人格(ウェポン)として再構築された俺が、自分自身の記憶をセヴンのように取り戻した時、絶対に自分を許さないだろう。

 戻るんだ。俺も、セヴンも。

そして「もう1回」、何も、変えず、向こうで悲観的になっていた俺自身をそのまま、戻してもらうんだ。

やり直しなんて必要が無いから。

いや、「戻ればまだ何度でも、やり直せるから」。



「さて、準備するぞ。」

「はい!」



12番目、あの巨漢はどんなゲームを仕掛ける。

一見、力任せのような見た目だが会話を通して分かった丁寧な言葉遣いからすると、知能派かもしれない。

だが、どんな内容だろうと乗り越える以外の選択肢は遺されていない。

一緒に居た二人がどうなったか、それも気になる。

そしてアリオクが生きているならば、参加するだろう。そこで決着が付けられる状況ならば・・・

決着をつけてやろうじゃないか。

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