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すいません、それ妄想です。

作者: KB

「休日、それはだれにでも平等にあるべきものなんですよね」


「休日返上で働いてやるって、よく言う人。いるじゃないですか?」


「ああいうのって僕、ナンセンスだと思うんですよ。」


「でも、仕事側はそういうのおかまいなしなんですよね。はは」


そっとはにかみながらこの男はそういった。


いまや、日本の音楽業界では知らぬ者のいないこの男の


貴重な休日を覗くことにした。



6月某日


スタッフはこの日、朝から男の密着を行った。


あえて休日まで密着してくれという


いかにもこの男らしいこだわりであった。


ピンポーン


「はーい」


ドアを開けると、そこには普段のこの男からは想像もできぬほどのラフな格好で


我々を迎え入れてくれた。


「いやぁ~、休日を取材してもらうってのもなんか恥ずかしいですけどね」


案外殺風景で、必要なもの以外はないように見えるこの男の部屋。


一体、こんな部屋からどうやってあんなドラマチックな音楽が作られるというのだろうか。


「休日の朝は、基本コーヒー片手にネットでニュースとか見てますね」


「やっぱり流行りとか、世間の流れに敏感でないと」


そういって、しばらくパソコンの画面を見つめこんだ。


ピロリロリン


「ちょっと、失礼」


男の携帯が鳴った。おそらくメールかなにか


「すいませんね、休日はできれば相手したくないんですが」


「やっぱり女の子と連絡取るのはたのしいですよね」


「ポップな音楽作るには大切なことです。」


そういって、男はSNSやメールの返信をしていた


I子ちゃん。T子ちゃん。など、おそらく女性であろう名前が多く連なっていた。


「こういうことしてると、品がない人とか、チャラい人とかって思われるかもしれないですよね」


「でも、やっぱりこんなに身近にいる未知の存在って気になるじゃないですか」


「これだけ探って交流しても女の子は謎でいっぱいです」


「そういうのって音楽にも影響してくるんですよね」



・・・お昼を回った頃であった


「昼ごはん、食べますよね?僕作りますよ」


そういって男は慣れた手つきで料理を始めた。


「売れなかった頃は飲食店でバイトして繋いでたんですよ」


「正社員にならないか?って誘われたころに丁度音楽の方が評価され始めて・・・」


「コンロじゃなくて、音楽に火が付いたのでやめますって言ってやめたんですよ、はは」


そういって少し笑みを浮かべた。


我々の前にも豪華な料理が運ばれてきた


「お口に合うかわかりませんが・・・」


「でも、不味くはないとは思いますよ」


しかし、男の言葉とは反してスタッフ全員がおいしいと舌鼓を打った。



・・・午後になると、散歩に出かけるというので我々も同行した。


「やっぱり外気を浴びたり、外の音とか聞くと曲がふっと降りてきたりするんですよね」


「そういうときでも、焦らずに家までじっくりその曲を頭の中で構成して行って」


「家についたころには完成しかけてるなんてこともざらにありますよ」


そういって男は河原を散歩していた。


「子供のころはよくここで友達と遊びましたねー」


「どっちが多く水切りできるかって石投げまくって」


「今思うとどうしてあんなくだらないことに夢中になれたのか不思議なくらいですよ」


「でも、くだらないことに夢中になれるってのは子供の特権だとも思うんですよ」


「大人になっちゃうと、試さなくても結論がわかっちゃうことって山ほどあるじゃないですか」


「だからこれはこうだって決めつけて、試そうともせず夢中になる前にやめちゃうんですよね」


「子供のころはそれがわからないからこそ、そこらじゅうに未知があふれているんですよね」


「まさに未知あふれているんですよ」


「だからその未知を知ろうとして夢中になる。すいませんね、なんか自論並べちゃって」


男はすこしはにかんだ。かと、思うとすぐに真剣な顔に戻った


「だから僕も頑張って未知をいっぱい探しているんですよ」


「それが曲のアイデアにもなりうるし」


「こういうこと考えてると、歳ってとりたくないな~って思うんですよね」


「おこがましいですね」


すこし悲しげな顔をして、男は家へと戻った。



「夕飯の具材買いたいんでちょっとスーパーよりますね」


と男は地元のスーパーへと足を運んだ。


「こんな仕事やってて言うのもなんなんですが、なるべく普通の人と似た生活をしたいんですよね」


「イレギュラーな生活リズムで暮らしてると、自分がさも特別な感じに思えてきて」


「でも、それってたぶん危ないんですよね。」


「いつでも自分はごく普通の人なんだって意識をしていないと、足元すくわれそうで」


男は夕飯の材料を買いながらこんなことを漏らしていた


ネガティブな面も意外と多いのかもしれない




「さて、やっぱり晩御飯はみんなで食べないとね」


そういって、スタッフの分も用意してくれた


「この仕事はじめてから、一人で食べる機会が極端に多くなって」


「はじめて家族とご飯食べるってことが幸せなことだったんだなって気づかされたんですよ」


「しゃべってくれるのがテレビくらいしかないですからね」


~エンディングテーマが流れ始める~


「やっぱり、この芸人面白いと思うんですけどね~」


「なかなか出ないですよね、テレビ」

「あはっはっは やっぱりこのネタ最高!」



こうして男の休日が終わり、また明日からは一流音楽プロデューサーとしての一週間がはじまる


その前に、なにか貴重な休日にやり残したことはないか聞いてみた


「やり残したことですか?」


「うーん、特にないですかね」


「まぁ、もしもやり残したたことがあったとしても」


「自分が今日それを優先させなかったってことは、たぶん次の休日でも大丈夫だってことですよ」


この余裕が、一流の「あかし」なのかもしれない            =END=





さて、ここまできたところで時計の針は午前11時


妄想しながら寝ていたら、妄想がいつのまにか夢に変わり・・・


そして目覚めた。


無駄に長い茶番だ!とか、前ふり長いんだよ!!っていう人はちゃんとタイトルを見直してほしい


ちゃんと忠告したはずだ「すいません、それ妄想です。」って。



現実の男は毎日が休日。就活に失敗してバイトさえもやめ


絶賛働かない日本の歯車。見事に社会の無駄なパーツ。


いや、消費者という意味では歯車になっているのか・・・?


そんなことはどうでもいいが、ニート生活をしているのである。


ここまでは暇に暇がたたってついに発症した男の妄想癖のたまもの。


ヘロドトスもびっくりだ。こんなしょうもないものにも「たまもの」なんて言葉を使うのだから。


さっきも言った通り現実の男は毎日が休日。むしろ外出するのが貴重なくらい


なにが「休日返上で働いてやるって、よく言う人。いるじゃないですか?」

「ああいうのって僕、ナンセンスだと思うんですよ。」だ。


毎日堕落しまくりで働かず、平日返上してまでだらけてるやつの言うセリフではない。


お前の日々が無意味という意味でのナンセンス。

そのくさいセリフ、インセンスでもたいてどうにかしろ。


しかし、少しだけ弁明すると音楽を作っているというのは本当だ


でもドラマチックだとかポップだとか一流だとかいうのは全部大嘘。真っ赤な嘘。


正直センスのかけらもない音楽。投稿したところで「1」ってコメント打たれて終わりってなもんで


なにがドラマチックだ。

地球ドラマチックと''野球するクマ''のバンドと、アラスカのバンドに謝ってこい。


となるともちろんSNSとかメールというのも嘘で


来たかと思えば迷惑メールか携帯ショップからのお知らせ。


I子ちゃんというのはKDDI子ちゃんのことだし、T子ちゃんもNTT子ちゃんのことだ


なんだ全部電波じゃねーか



あ、でも女の子が未知の存在っていうのは本当。


だって日常世界で合わないし。


母親?どこが女の子だ。


かろうじて生物学的に判断してギリギリ女性くらいのもんだろ。







こうやって動員0人の

「自虐ネタ一人芝居公演 in 自宅」をしているうちに昼ごはんができた。


もちろん豪華なごはんではなくカップラーメン。


(カップラーメンの味の種類によって)お口に合うかはわかりませんんが

(全部インスタントなんで)不味くはないと思いますよ


なんという「括弧」の力。

「括弧」さえあれば、なんとでもなりそうだ。



あ、そうそう。飲食店でバイトをしていたというのは本当だ。


まぁ、フロアの方だが


「コンロじゃなくて、音楽に火が付いたのでやめますって言ってやめたんですよ、はは」だってさ


火がついたのはお前が働かないせいで、食費とかがふえてる家計の方だろ。






午後になっても朝と変わらないメニュー


コーヒー片手に(2chの)ニュースをチェック。


正直、やることがないのだ。


はじめ一カ月は天国だった。


なんでもできる。まるで土から出たセミのように。


自由になんでもできる。


セミの寿命は土から出てから一週間、俺の場合は一カ月だっただけで


そこからは暇につぐ暇


暇、暇


暇×暇


暇そして暇


暇on暇


暇and暇


暇andルイージ


暇 feat. 若旦那


暇 with ナオミキャンベル


暇 brought to you by マクドナルド


暇を高温でカラッと揚げてみました


暇の休暇のせバカンス風 ~季節の暇人をのせて~


暇 across from the 暇


暇andトモ




なつかしい。




過労がたたって倒れるのも重症だが、暇がたたって倒れるのもなかなかの重症もので。


こないだなんか気が付いたら和室の畳の目を数えていた。


いぐさだけに193まで数えました。


自分で考えついて自分に少し寒気がした。


本来畳の目を数えるというのは、痛みや辛いことの気を紛らわすことのたとえだったような気がするが


うーん。自由の身になったというのに皮肉なものだ。


そしていよいよやばくなってきて発症したのがこの妄想癖というわけで、


SFなんかが妄想できればライトノベルでもかけそうなものだが


残念なことに大抵思いつくのは、自分についての妄想で


しかも、さっきの情熱大陸チックなしょうもないインタビュー妄想とかそういうやつである。


こんな情熱のないやつに何をインタビューしようというのか。


冷淡大陸とかあれば、おそらく一番にオファーが来るのではないかと妄想してみたが


途中で、どんな番組なんだよとセルフつっこみが入りやめた。


始める前に気づけよ




さて、こんなことをしているうちに時間は過ぎて午後3時。


妄想ばっかりしているから逆に頭使ってるんじゃないかと思うくらいである。


世の小中学生または高校生は今からお家に帰るか部活か何かに行くか


それとも、習い事か。先におやつを食べるのだろうか・・・・あぁJCのパンツ食べたい


ろくに働きも動きもしないくせにおやつとかはしっかり時間通りにとる俺は


テーブルの上のチョコレートに手を伸ばした。


普段仕事もしないくせに、ボーナスだけもらってるような感じだ。




なんだそいつ、はやくやめさせろ




ネットニュース(2ch)を見るのに飽きたりすると

ニートのくせして無駄にプライドだけ高い俺はネットでよく政治批判や社会批判をする。


まるでベンチのメンバーがレギュラーメンバーにプレーの文句を言ってるみたいで滑稽である。


まずはレギュラーになるところからだろ。スタートラインに立てよ、そこまだ君の家だよ



いよいよ日も傾いてきた。


河原に行くというくだりは現実世界にはなく、せいぜい水回り的な意味でトイレに行ったくらいだ。


ちなみに、水切りの話は本当。


こんな社会の不燃ごみ、しかもゴミの日じゃない日にステーションにおかれてるゴミのようなやつにも


少年時代はあった。


正直、いじめやら子供のころのトラウマが原因でニート・引きこもりになったやつは


百歩譲って、理解ができるかもしれないが


俺の場合はそうでもないわけで。


河原で石ころを投げていた日々がなつかしく、今では自ら社会の泥沼へと飛び込んだわけで。


もちろん水切りできるはずもなくそのまま川底で過ごす日々。


でも、部屋は泥沼とはいえないほどきれいにしていて、3日に一回は掃除機をかけ


換気も欠かさない。


こういうところで本人は若干汚いヒキニートと差をつけているつもりらしいが


いざ、客観的に見ると正直言って五十歩百歩どころか・・・


五十歩五十一歩レベルである。


無駄にプライドが高いというのはこういうところに出るわけで


どうせ逃げるなら百歩逃げた方が潔い気もするが・・・・






夜になったら家族と一緒に晩御飯を食べる





わけもなく、幸せ(上の妄想参照)を感じることなく部屋で引きこもって食べる。


録画したアニメを見たりしながら食べるわけで、


ろくな日常過ごしてないくせに日常系アニメ大好きなアニメオタクでもあるのだ。


いや、ろくな日常を過ごしていないからこそ日常系にあこがれるのかもしれないな。



妄想ではこの辺でエンディングテーマが流れ出していた。


現実はアニメのエンディングが流れているが・・・


やりのこしたことなど、無論明日でもできるわけで。


そういう意味ではニートは最強。


ただし、「やり残したこと」どころか「やったこと」すら何もみあたらないのである。


↑これニートの辛いとこね。 とでも書いとけばちょっとはネタになるだろうか。


いや、見る奴もニートが多いのでただのあるあるネタにしかならないな。


そこからふと何を思いついたか、ネトゲに次ぐネトゲを嗜み始めた。


正直、一カ月もやっていると面白かったゲームもつまらなくなってくる。もはや作業である。


現実の経験値はたまらないが、手と目と腰の疲労とバーチャル世界の経験値がたまっていく。


サロンパスもまさか一日中運動しないやつの体に張られるなんて夢にも思っていないだろう。


深夜も12時を超えたころ


「では、明日も仕事なのでそろそろ落ちます^^」

 「お疲れ様~」

 「おつー」


無駄にプライドが高いとこういうところがいやに細かい。


いかにも自分は働いている正常な人間ですよアピールがでたあああああ!


判定は・・・・!?



そもそも判定員なんていなかった。友達居ないしね。






夜中の2時を回った頃


無駄にプライドが高く運動しないくせして自称健康志向な粗大ごみも就寝の時間である。



(ネトゲで)よく働いたなぁ・・・



明日もまたこんな一日になるのかなあ・・・






さて、妄想しながら寝るかな・・・・








今日はなんの妄想をしようかな












情熱大陸のインタビュー受ける妄想でもして寝ようかな・・・








つづく


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