雲外蒼天のパラダイム
右か。左か。
くそっ、集中しろ。視界をこらせ。高々と飛び、振り抜かれる為に掲げられた腕に意識を集める。一瞬景色がスローモーションのように感じて、思わず歯を食いしばった。
──右だ。思うより先に、左足が蹴り出された。柔らかい感触を上手い具合に押し出す為に力を入れすぎず、抜きすぎずに。必死で伸ばした右腕から、勢いそのままに身体ごと倒れていく。
間違っていたらどうしようなんて考えない。責任?そんなもん終わったら考えて回避するのがモットーだ。とか何とか考えてるうちに腕にドンッ、と衝撃が走った。
よし。その感触具合に一安心……とはいかずに身体は突っ込んでゆく。灼熱の柔らかさが全身を包み、反射的に目を閉じてそのまま倒れこんだ。
「とめたぁぁああ‼︎
渾身のスパイクに横っ飛び一つ、見事に止めましたぁぁ‼︎」
興奮気味の大きな声が耳に襲いかかる。
「ナイス、トシ! 」
「オッケーです」
続けて、前方から進一の声。更に向井の声に続き、ボールのトス音が聞こえた。かと思えば、清々しい程強烈なインパクトが辺りに響いた。
「ゲームセットぉ! 」
低めのその声を耳にして、俺はようやく身体を起こした。目を開くと、取り囲む歓声と共に目も眩むような光が飛び込んできた。……あぁ、身体がざらつく。
「最後は鋭いスパイクが決まりっ、勝利したのはチーム「今は亡きマッケンジー」‼︎15-11という灼熱の戦いを制した彼らに大きな拍手を‼︎素晴らしい戦いでしたぁ‼︎ 」
アフロヘアーに真っ黒に焼けた肌が特徴的な男が高らかに叫んでいる。アロハシャツを振り乱し、テンションを上げている彼につられて周りの観客も活気付いている。このくそ暑いのに元気なことだ。
身体の砂を払っていると、軽く肩が叩かれた。
「トシ、ナイスレシーブだ、助かった」
「あそこで点取られても、すぐにお前らが取り返すだろ」
「俊也!チームスポーツを舐めちゃいかんぞ、1点がどれほどの重みを忘れちゃあならん」
「あぁ、流れってのは1点で変わるからな」
「先輩の人生は奈落へ真っしぐらだから気持ちは分からんでもないですけどね」
……何でピンチを救ったのにここまで怒られないとならないの?スポーツって怖いね☆
不慮の事故でバーベキュー用の肉を喪失した我々男子は、紆余曲折を辿りビーチバレー大会なるイベントに参加していた。コート二面展開の催しで、出場チームはまさかの16チーム。予想外の多さに当初は辟易したが、それでも俺たちは何とか勝ち進み、準決勝の切符をたった今手に入れた所だ。炎天下、熱砂上という自然の恐ろしさを肌で感じながらも、跳び、走り、守り、打ち込んでいた。
何がここまで俺たちを掻き立てるのか。優勝への執念だ。俺たちは優勝を目指していた。優勝しなくてはならない理由があった。責任逃れを──いや彼女達の笑顔を守る為に……勝ち続けなければならなかったのだ。
「さて、では準準決勝第四試合!チーム「フォーエバーゴマだれ」対チーム「パラダイスロスト」です!準備の方お願いしまーすっ‼︎ 」
俺たちを含め、既に3チームが決まっている。最後の枠をめぐり、また砂上では総勢な戦いが繰り広げられようとしている。
ルールはビーチバレーというよりバレーに近いものだった。ボールはバレーボール用のもので、赤と緑のラインが入っている。コートの広さも普通のバレーコートよりも狭いもので、五人のローテーションで競いあってゆく。リベロのポジションがない配置だ。
もうビーチバレーじゃないじゃんと思うかもしれないが、司会者のエリック(住所不定)曰く「ビーチでバレーボールやってりゃそいつはビーチバレーさHAHAHA」ということらしい。正直どうでもいい。
得点は15点のワンセットマッチ。チームの数の都合上、この形式になっている。故に相手チームの特徴や攻め方をじっくりと確認している暇はない。素早い対応と修正が求められる。一点一点が重たいこの形式では悠長に様子見などしてはいられないのだ。相手のパターンを迅速に予測しながら、相手には簡単に対応を許さないような試合運びが求められる。
幸い、こちらには進一という化け物を筆頭に田中、向井、弦という運動神経の高い人間が並ぶ。飽くまで進一を基準に高いといっているので、この三人も男子高校生の標準よりも相当高い運動神経を有しているのだ。故に楽勝だろうとタカをくくっていたが、どうもそう簡単にことは運ばないらしかった。たった1セットという誰にでもチャンスがある試合展開だ、チームの輪が乱れたり、パニックをおこせば一気にもっていかれる。運動神経だけでは乗り越えられない壁がいくつも立ちはだかるのだ。1回戦からそれを痛感させられた俺たちは、それでも何とか勝ち進んできた。そしてベスト4……本当の戦いはこれからである。因みにチーム名は弦が付けた。
「決まったぁぁああ!勝利したのはパラダイスロスト!これで4チーム全てが出揃いました!さて、ついに始まる準決勝!2コート展開で開始は15分後になります! 」
司会しているお兄さんはただの一般人。別に大会主催の関係者でも無いし、ただの客だ。頼んでもいないのに、このちっぽけなイベントを盛り上げ始めた。ま、海だしね☆
という訳で次の対戦相手への作戦会議を開く事にした。
「曲がった⁉︎」
「くっ」
準決勝。対パラダイスロスト。
やられた。最初の感想がそれだ。チームパラダイスロスト。機敏な動きと真っ直ぐな攻めが特徴的で、無難に勝ち進んできたチームた。個々の運動能力も高く、正統派のチームプレー。俺たちと同じプレースタイルで、更にいえばこちらの方が能力が高いはずだ。だから正々堂々挑めば勝てるはず……だと思い込んでいた。しかしそれは大きな間違いだった。
───スピンサーブ!
「……なろっ‼︎ 」
「ナイストシ! 」
トスから大きく飛び上がる進一の元へボールが。そのままスパイクへと繋がるが……
「何⁉︎ 」
コースが読まれていたのか!ブロックをすり抜けたスパイクはレシーブをされてしまう。そのまま相手の攻撃!左へのトスから飛び上がったアタッカーからスパイクが……
「やばっ」
「しまった! 」
──外された!軽いタッチで横に流される!
弦が突っ込むがもう遅い。伸ばした腕の手前で、無情にもボールは砂に沈み込んだ。
「12-9!」
ビハインドが3点に広がってしまう。
そう、相手チームはこれまでと戦い方を一転させてきたのだ。極端に緩急をつけた立ち回りと、人をくったようなトリックプレーで完全に勢いを崩されてしまったのだ。
だが、ここからが根性値。逆境の中で力を発揮するのが男子高校生という生き物だ。
──フロートサーブ!
「読んでいた! 」
「何⁉︎ 」
レシーブに回った進一が、敢えてディレイをかけて低めに俺へ向けて返す。そのまま素早いワンタッチで弦の方へ。
「お返しじゃああ‼︎ 」
これまた絶妙なタイミングでアタックモーションに入っていた弦が、そのまま腕を振り抜いてクイック。一連の速攻には、流石の相手も対応出来ずに──
「決まったぁぁああ!なんという華麗な速攻、素晴らしい連携ですチーム今は亡きマッケンジー!彼女がいないことを除けばほぼパーフェクト! 」
実況がうるせぇ。
「田中!今だ! 」
「よっしゃ! 」
相手の緩急に対して、こちらは一気にスピードを上げた。緩急崩しにご丁寧に付き合う必要などない、小賢しい手を使うならばこちらはそれもろとも全力で叩き潰すだけだ。何これカッコいいからもっとモテても良いと思うんだ、モテ期オンザビーチ!
とか何とか考えてたらいつの間にか逆転勝ちしてた。っべー、最後の方なーんもしてねぇ。
「さぁて!ついに決勝の組み合わせ!豪快且つ圧倒的な攻めで勝ち進んできたチーム「カラミティボルグ」対機転の効いた対応と運動力で勝ち進んできた藤咲くんがモテないことを除けば完璧なチーム「今は亡きマッケンジー」が最後のぶつかり合いです!」
司会オイコラ。
「決勝戦は21点のワンゲームマッチ!それでは始めていきたいと思います! 」
ツッコむ間も無く、相手チームとの決勝戦が始まった。先手は相手チーム、サーバーが大きく飛び上がって身体を弓なりに。しなる右腕が大きくボールにインパクトを加えた!
「⁉︎」
速い‼︎
速球は鋭いレーザーのように、弦と田中の間を貫いた。二人とも身動きをとれず、ボールの描いた軌跡を辿るのみ……相手も本気だな。
「来たぞ! 」
「オーライ」
2本目。先ほどと大差ない速度のサーブが襲いかかる……が、集中すれば何とか対処出来る。力を抜いて、ボールの勢いを殺すようにレシーブ。でも腕痛くなってきたな。
ふんわりと上がったボールの落下地点に進一、右にトスを回して、アタックは向井。そつない身体捌きでスパイクを──ダメだ、あっさりレシーブを返された!
「どっせぃぃいいいい‼︎ 」
相手からの反撃は一瞬だ。レシーブをそのままスパイクしてきやがった。ただでさえ力があるのに、その上不意を突いた速攻まで!辛うじて反応するも、手は届かずにボールは砂に捻じ込まれた。
続く相手のサーブは途中でスピードの落ちるフロート。弦が下がりレシーブに入ろうとするが、予想外に伸びがあり……
「あれ? 」
「しまっ⁉︎ 」
お見合いだ。田中と弦の真ん中に、いとも容易く落下してしまう。
……まずい、ワンセットマッチでこれは最悪の流れといっても良い。開幕から連続失点、しかも最後はこちらの凡ミスだ。相手を調子付かせるだけでなく、こちらの士気があからさまに下がってしまう。士気の低下と同時に、忘れかけていた緊張で身体も硬くなる。次にミスをしたらどうしよう、試合への集中が途切れさせられてしまう。
幸先の悪いスタートとなった決勝戦は、11-2でインターバルを迎えた。ビハインドは無論こちらだ、予想通り点差は圧倒的に離されてしまう。ただでさえ相手が強敵なのに、この点差では……チームには暗黙のうちに諦めのムードが漂い始めていた。
「……くそっ、ここまできたってのに」
「すまん、わしがもっと上手く動いちょれば」
「今はんなことよりも、1点1点数返してくことだけ考えよう」
「総合すると、そもそも藤咲先輩の存在が─」
「いや関係ねぇから、何を総合しちゃったのそれ? 」
諦めるとか全く関係無さそうな奴も約一名。彼女達の笑顔がかかってんだぞ、ついでに俺たちの明日も……ついでなのかよ。
何とか立て直そうと振る舞う進一だが、彼もまた瞳には難しい色が、というか諦めの入った暗さが宿ってしまっていた。
「オイ」
士気の低下と諦めムードが辺りを包む。
そんな時、俺たちの前に1人の男が立ち塞がった。見上げると、スキンヘッドに丸いサングラスをかけた男だった。このクソ暑い時期に、こんな暑い場所だというのに、そいつは……黒革のジャンパーに安い傷だらけのジーパンを着て、俺たちに強い瞳を向けて来ていた。
「テメーら……こんなトコで燻ってて楽しいか」
「「………」」
「諦めんなら楽だし簡単だよなぁ、言い訳だけ考えてりゃ事が済むんだからよォ」
何も言えない。彼の言葉は俺たちの胸中にグサリと針を刺し込んできた。
でも、と進一が口を開きかけたが──
「バッキャロォォオオオ‼︎ 」
頭部に鋭いチョップが下る。めちゃくちゃ痛ぇ。
え?何で俺が怒られたの今?
「ゴチャゴチャぬかすんじゃねぇコノヤロー。腑抜けたテメーらが向こうに何を置いてきたのか、5秒で考えろ」
「「「………」」」
「忘れもんがあんだろ。そいつを取りに行け、言い訳すんならそのあとにしやがれ」
男は背を向けて、そのまま去っていった。
──忘れものを取りにいく。
その言葉は、不思議なほどスッと胸に染み込んできた。それは俺だけじゃない、俺たち全員に言えることだった。
顔を見合わせる。その瞳には諦めの光なんて微塵も無かった。進一は勿論、向井、弦、田中、そして多分……俺にも。早くコートに戻りたい。この逆境を一刻も早く覆したい。誰もがギラギラとした、戦士の眼を宿していた。
「……つか誰?あの人」
「俺が知るかよ」
再開だ。点差は9点。たったの9点。こんなもん、いつだって覆せる。不思議な自信が胸に熱を帯び、頭を冷静にさせた。
まさに、絵に描いたような熱い展開だった。インターバルからは先ほどまでとは皆、別人だった。勿論、俺たちだけだ。まるで取り憑かれたかのような集中力と判断力。11-4、12-6、13-8、14-10、15-12、16-15。連続得点を確実にもぎ取る怒涛の展開力で、点差を縮めていく。そこからは、相手も猛チャージ。一点取っては取られる、そんな拮抗した試合展開だった。
この試合は21点のセッティング無し、先に21点を取った方が勝ちの試合だ。20-20の今、この一点、たったの一点で全てが決まってしまう展開にまで至った。それは奇跡か、神様とやらがいるのであれば、そいつが与えてくれた最後のチャンス。
「どりゃぁぁぁああ‼︎ 」
──パワースパイク!
「っ⁉︎ 」
──間に合わ……った!ギリギリ!
熱した砂塵にそのまま転がり込む。ボールの行方を確認せずに、そのまま立ち上がってコートへ戻る。丁度進一がスパイクをしたところだ、がレシーブをされる。
素早いトスから、今度はライトからのスパイクへ。大きく振りかぶられた右腕が──いや、少し緩いな。これは。
フェイクだ。迷わずに真ん中のリベロポジションへ駆ける。
「フェイント⁉︎ 」
「しまっ──トシ‼︎ 」
読み通り。前衛がすぐさま頭を下げ、後ろから加速してきた男が渾身の勢いで腕を振りかぶっていた。そのままディフェンスラインを外して真ん中に!
「いらっしゃい……」
いくら読めててもそう上手くは……つか速っ⁉︎
「のわっ‼︎ 」
全く予想外の方向へのレシーブ。だが止められた相手は流石に予想外という表情、すぐさま反応した進一がダッシュで繋いでくれた。
「田中!沈めろ! 」
「任せろっ‼︎ 」
ただの試合ならあっさり止められていたであろうそのスパイクも、渾身の一撃を防がれたこの瞬間は穴だらけだ。セオリー通りのスパイクも、相手を大きく崩す武器となる。
「くそぉ⁉︎ 」
相手のレシーブはぶれにブレて、そのままこちらに飛んできた。それも右方向への絶好球。前衛の進一は俺のとんでもレシーブを繋ぐために、大きく離れた位置に。しかし、俺はそのフォローに入っていた為に、絶好の攻撃位置にいた。
大きく崩れた相手のディフェンスライン、決めるのはこの一球しかないだろう。ここで、決めるしか……
「藤咲先輩! 」
「ここしかない! 」
「かましたれぇ‼︎ 」
「トシ、決めろぉ‼︎ 」
大きく飛んで、精一杯腕を振りかぶる。筋力では差がありすぎる。だったら、体幹と腰の捻り、力み過ぎずに腕の力を抜く。
こりゃ明日は完璧に筋肉痛だ。こんなことなら、もっと良くクーラーボックス監視しとくんだったなぁ。
視界の動きがゆっくりと流れる。
狙うはストレートライン、防御に明確な穴がある。そこだけに、全ての神経を絞る。
疲れた、息も上がってる、つーか暑い、そもそも帰りたい。
それでも、持てる全ての力を振り絞って、振り抜いた腕はボールの中心をしっかりと捉えていた。
「ん〜‼︎美味しいよ、このお肉! 」
「もぐもぐ……」
「優理ちゃん、一気に食べ過ぎよ。そんな慌てなくても……」
「でも、ホントに美味しいね!私、こんな良いお肉初めて食べたかも」
「だよね、すっごく美味しいよ!」
「えぇ、同感ね」
……嬉しそうで何より。重い瞼で何とか見上げると、満面の笑みを浮かべる女の子達の姿が。あの霞まで優しく口元を緩めているし、火渡は無我夢中といった感じだ。
しかし、ねぇ……
ため息をするのもダルい。横を見れば、俺と同じ様にぐったりと横になっている野郎が四人。満身創痍、これほど良く当てはまる言葉は今の俺たちには無いのでは無いかと思う。
「しっかし……」
やっと、といった感じで口を開くのは進一。
「まさか負けるとはなぁ……」
その言葉に、改めて俺たちには疲れが押し寄せてきた。
そう、そうなのだ。負けた。俺たちはまぁ見事に負けた。それも相当恥ずかしい負け方だった。
「あと一歩じゃったのになぁ」
「惜しかったよなぁ」
「ですねぇ」
最後のスパイク。あれは見事に決まった。自分で言うのもなんだが、完璧な一撃だった。
──が、しかし。あのラリーは全て無しになったのだ。いやそもそも、試合は既に終わっていた。実は、俺たちも相手チームも得点を数え間違えていたのだ。一点低く勘違いをしていた。だから最後のラリーが始まる時には既に、21-20だったのだ。審判──もとい司会が既にゲームを宣言していたのだが、熱くなり過ぎていた俺たちはそれに気が付かず、そのままゲームを進行した。結果、このザマである。それなのに俺たちは……
─────
“「藤咲先輩! 」
「ここしかない! 」
「かましたれぇ‼︎ 」
「トシ、決めろぉ‼︎ 」
視界の動きがゆっくりと流れる。
狙うはストレートライン、防御に明確な穴がある。そこだけに、全ての神経を絞る。
疲れた、息も上がってる、つーか暑い、そもそも帰りたい。
それでも、持てる全ての力を振り絞って、振り抜いた腕はボールの中心をしっかりと捉えていた。”
─────
うわぁ。恥ずかしい何コレ死にたい。
「ま、でも。肉は手に入ったし、結果オーライということで」
「だな」
肝心のブツは獲得できた。そう、ミッションは成功したのだ。
理由はいたってシンプル。俺は勝手に優勝景品がサーロインだと思っていた、しかしそれは読み間違いだったのだ。上に書いてあった本当の優勝景品に気付かなかった。
優勝景品──沖縄旅行5名様
〝準〟優勝景品──特上サーロイン肉
結果、準優勝だった俺たちはめでたく肉を確保出来たのだ。試合に負けて、勝負に勝った。めでたしめでたし。
「もー!皆も早くおいでよ!お肉食べようよー」
気力と体力を使い果たしてのされている俺たちに、香織の無駄に明るい声が降り注ぐ。応えてあげたいのは山々なんだが……やはり疲れた。
「まったく、急にいなくなったと思ったら……」
「放っておきましょう」
呆れたような由美と霞の声。君達の為にクタクタになるまで頑張ったんだよ僕達!でもそもそもの原因は僕達の監督不行き届きだったよ!詰んでるなー。
「皆、大丈夫?具合悪いなら人を呼んだほうが」
「冷たい飲み物あるよ?これだけでも……」
天使のお声は愛華と雨宮だ。彼女たちの為に頑張ったのだ、心配無いからバーベキューを心置きなく楽しんでくれ。声を出さずに、手だけ挙げて大丈夫だと合図する。
「もぐもぐ……」
火渡はひたすらお肉に夢中。少しは心配して欲しいな!
「ほら、俊也たちも食べようって!いっぱい食べたら今度こそ一緒に遊ぼう! 」
香織……お前ホントに元気な。しかし、疲れ果てた心にもその元気さは力を与えて──
「バレーしよっ、一緒バレー! 」
ううっ。俺たちは顔を見合わせて、込み上げてくる頭痛に必死で抵抗した。
もう、バレーは懲り懲りだ。
阿呆らしい話に長らくお付き合いいただきありがとうございました。
次回から夏イベをどんどん進めていきます。
本編のスピンオフ、のような続編をこそこそ書いてます。ジャンルは一気に変わりますが(笑)
本編をおわらせたら、掲載していこうと考えています。早く進め無いとなぁ……




