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すくーぷっ!!  作者: 伽藍云々
1st Semester
51/91

とある窓際の日常

 

 


「はぁ………」


 一年C組、教室の窓際隅っこにある席に座っていた一人の男子生徒は深々とため息をついた。ボサボサの茶髪、男子Aとでもしておこうか。


「どうしたんだ、随分深いため息じゃないか」

「ん? 」


 そんな彼に近寄ってきたのは、ポケットに手を突っ込んだまま歩く黒髪メガネの男子。これはメガネで良い。


「あぁ……何か、なぁ」

「なんだ、さっきの英語は確かに面倒臭かったが」

「いや、そうじゃなくて……俺の学生生活、こんなんで良いのかなって思って」

「はぁ? 」


 もう一度ため息を溢すその姿を見て、メガネはやや呆れたように肩を竦めてみせた。


「今朝さぁ、通学中にイチャイチャしてるカップルがやたらと目に入ってきてさ」

「なるほど……道理で朝から元気無かった訳か」

「まー、うん……」


 Aは目を細めると頬杖をついて窓の外に顔を向ければ。青空に流れる雲はのんびりと、呑気に漂っている。


「やっぱりさぁ、これからの高校生活を有意義に過ごしたいなぁって思った訳よ」

「例えば? 」

「……彼女を作るとか」

「ほぅ」


 唸りながら腕を組むメガネに対し、実に微妙な顔つきでAが続ける。


「ほら、例えばあの生徒会副会長さん……名前何て言ったっけ」

「おいおい、東雲先輩だろ!東雲明日菜先輩! 」

「あー、そうそう。あの人みたいに綺麗な人が彼女だったら、そりゃ素晴らしい高校生活になるんじゃないかって」

「お前なぁ……」


 メガネをくいっとあげて、突拍子もないその発言の思わず息を洩らしてしまう。お前は何もしらないのか、と。


「東雲明日菜生徒会副会長。

清楚でお淑やかな、可憐な笑顔で男達の憧れの的、高等科じゃ超有名な前年度の『ミス明条』だぞ。名前も出てこないでよくんな大それた事が言えるな……全く」

「ミス明条?何だそりゃ」

「……おーい」


 はてと小首を傾げるAに心底呆れたような表情で思い切り肩を落とす。


「ミス明条。

この学園で毎年男子の間で選定されてる最高の女の子、ランキングの頂点の事やろーがっ」


 と、二人の間からもう一人の男子がいきなり顔を覗かせてきた。ツンツンした金髪頭、右耳にはリングピアスを一つ、学ランも前開けと外見まんま不良のような格好。名称金髪で。


「毎年、クリスマスパーティーの聖なる夜に相手がいない俺らヤローの間で行われる聖なる祭典、これをミス明条コンテストと名付けているんやで」

「はぁ」

「って、自分は去年も一昨年もクリパ来てないやんか。そら言ってもしゃあないな」


 頭をやや乱暴に掻く金髪はそのまま、窓の縁にだらしなく座って足を投げ出す。


「で、そのミス明条の一番が東雲先輩だったのか」

「せや。ま、それは高等科のランキングで、去年までの俺らにゃカンケーねぇけどな」


 Aの言葉に頷きつつ、金髪は軽く欠伸をする素振り。それに待ったとばかりにメガネが口を挟む。


「何言っている、今年度からは俺達も大いに関係あるんだ……ようやく東雲先輩に直に投票出来るという、あの美しさを広めるのに自分達が貢献できるのだからな」

「そういや自分、あの副会長の熱烈なファンやったもんな」

「古来より、男が憧れるべきは高嶺の花なのだ」

「俺は別にそーでも無いな」


 目を輝かせるメガネにちょっと大袈裟に肩を竦めて口元を歪める金髪。明らかに馬鹿にしたような態度である。


「けど、お前なら先輩の良さを分かっているようだな」

「え? 」

「彼女にしたい等と随分飛んだ発言していたろ」

「あれは例え話だよ。綺麗な人の一例で挙げただけ」

「なんだ……」


 話題にあげたAではあるが、別に彼女が好きだとかファンだとかそういった話ではないようだ。あからさまにガッカリと肩を落とすメガネは仲間になって欲しかったらしい。


「まー、けど。言ってもこのクラスも可愛い娘多いよな」

「あぁ、それは否定しない」

「せや、俺ら恵まれてるで」


 ぼんやりと呟かれたAの言葉に両脇の野郎二人はすかさず頷く。三人で教室内を見渡して……


「あ、桜さんと雨宮さんだ」

「「おぉ……」」


 目線の先、同じく窓際の最前列の方では二人の女の子が会話をしていた。一人は軽いウェーブがかった紫陽花色の髪の女の子、もう一人は柔らかな栗色の髪をポニーテールにした小柄な女の子。


「あれは、我が1-Cを代表する美術部美少女コンビ!

その人気、可憐さ、性格、スタイルは我が学年でもトップクラスの美少女!!第一学年の中では、男子の憧れる女の子のツートップとまで謳われている桜愛華さんと雨宮つぐみさんではないか」

「……誰に説明してんの? 」


 留まりなく喋り倒すメガネ野郎に感心半分戸惑い半分のA。


「しかしアレやな、よくよく考えてみりゃ大変なクラスだわ、ここは」

「全くだ、学年一二位を争うくらいの美少女を独り占めしている訳だからなC組は」

「……確かに。俺らカンケー無いけど」


 三人の男共の視線だけでは勿論無く、教室内の他のヤロー達の視線も集めている。本人達は全く気付いていないようであるが。


「このクラスに入って良かったと思った瞬間、他の皆もそう口を揃えて言っていたな」

「て言っても、話した事もほとんど無いけど」

「言うなっ……事実でも言うな」


 Aとメガネ。顔を見合わせてがっくり、淀んだ雰囲気は先程より余計に強まった。


「何や何や、朝っぱらからヤロー二人で辛気くさい顔しやがって」

「もう昼だけどな」

「そういうお前はどうなんだ? せっかくクラスに学年トップクラスの美少女がいるというのに、何も出来ない今この現状に何も感じんのか? 」

「んー、確かに二人は超絶美少女やし、恵まれたクラスだとは思うけどなぁ」

「………」


 頭を掻く金髪は眠たそうな目を擦って軽く伸びをする。対してやや怪訝そうな表情でメガネを直すが、すぐに何か合点がいったのか口を開こうと──


「もうっ、俊也!

今日は絶対サボらせないよ! 」


 廊下から響いてきた女の子の声に三人は注意を奪われた。


「あー、アレ。今日重大な家庭の用事が」

「無いでしょ、そんなの」

「じゃあ、うち門限厳しくてさ」

「もうっ、嘘ばっかり」



 教室に入ってきたのは二人の生徒。先に茶色がかった髪の男子生徒が猫背気味にため息をつきながら、そのすぐ後ろから女の子が肩を怒らせて続いてくる。サファイア色の髪をショートカットにしたその少女は、不満を露にしたジト目で男子生徒を睨み付けている。


「「「………」」」


 そんな光景を眺めている隅っこの三人。


「そーいや幼馴染みなんだよな、あの二人って」

「ふむ」

「ああいう幼馴染みって、居るんだな現実に」


 呟かれたAの言葉を聞いて他の二人は思い思いの表情。特に不良っぽい金髪。


「ええなぁ……俺もあんな風に穂坂を困らせたり怒らせたりしたいわぁ」


 先程とは打って変わって興味津々、熱っぽい視線を投げかけている。


「あぁ、お前は穂坂派だったか。

そっか、なるほどな」

「うっ……べ、別にええやろ」

「ふむ……その反応、中々本気みたいだが」


 何故か苦い表情をする金髪に構わずメガネは方眉を吊り上げてみせると、少女と青年の方へと再び振り返る。二人は何やら言い争いを……否、女の子の方が一方的か。


「穂坂香織。

桜さん達とはまた異なるが、明るく活発な美少女。新聞部に所属し、一度決めたら突っ走る猪突猛進タイプで、その手の男子には結構な人気がある。加えて“幼馴染み”という強力で鉄板な属性も兼ね備えており、男達の中きは穂坂のような幼馴染みがいるという妄想に日々浸っている者もいる」

「……相変わらずよく知ってるなお前」


「だがしかしっ!!

彼女が支持を集める理由にはもっと重要なものがある」


 見当もつかないと首を傾げる男子A。一方、金髪はいつの間にか勝手に頷いている。


「それは……」

「それは? 」


 ビシッと。大袈裟に指をヤロー二人に突き付けてみせた。


「それは……チラリズムだ」

「は?」


 チラリズム。究極にして至高の概念であると思っている。誰が?


「流石、自分は分かっとるなホンマに」

「当然だ、伊達に男子高校生をやっている訳じゃない」

「おーい、勝手に理解し合うなよ。握手してんなっオイ」


 置いてきぼりなAの肩にポンと手が置かれる。

 見ろ、と言わんばかりにメガネは少女の方を指差して。


「穂坂のスカートの丈、そこに男の全てが集約されている。これだけで分かるだろう」

「……なるほど」

「その通りだ、だがここは形式的に敢えて説明してやろう」

「お前どんどんキャラぶれてない? 」


 別にそんな事はどうでもいい。メガネのレンズからは何故かキラリと妙な光が放たれた。


「穂坂のあの制服のスカート丈、周りの女子と比べても短いのは明白!太ももの下半分ちょいが見えてしまう程に」

「……確かに、短いな」


 何かを必死に訴えかけ熱弁を振るっている少女の短いスカートはヒラヒラと揺れているが──


「しかし!その短いスカートの中は何故か見えない中々見えないッ。何故なら」

「何故なら? 」

「そこには、男達の無限の夢が詰まっているからだっ!! 」


 どうでもいいが、中々の声のボリュームがあるメガネ。しかし少女は少女で彼らに背を向けて、目の前の青年を説き伏せようと必死らしくさっぱり聞こえていないらしい。


 さて、隅っことはいえ仮にも教室内。三人の近くに居る男子生徒達の目線は同じように少女の丈の短いスカートへ。ヒラヒラと揺れる赤い布地のその先を何とか一目拝もうと、ヤロー共の視線は熱を帯びてきている。


「──まぁ、その見えない領域が前提としてあるからこそ。その先のエデンを目撃した時……あ、」


 チラリ。一瞬だけ揺れた赤い布地の端がちょっとだけ捲れて。その先に見える青い横縞が、視線を集中していたヤロー共の眼球に見事に焼き付けられる。



(((うおぉぉぉ……!!)))


 天高く突き上げられた拳。戦士達は今、先の見えない戦に勝利し、凱旋パレードを受けるよろしく晴れやかな気分である。晴れやかな気分と同時に、一気に掻き立てられた欲望を抑えるのに必死だったり。つまり基本前屈み。


「……こういった、至福の時を噛み締める事が出来るのだ」

「「超納得」」


 メガネのまとめに、男子Aと金髪も大きく頷いた。物凄く大きく。三人とも鼻を押さえているの事情は割愛。


「……ほ、穂坂の縞柄。こりゃ今晩のおかずは困らんな」

「おーい黙ってろ外見だけ不良の変態」


 理由は聞かないであげて下さい。


「しかしまぁ、穂坂の場合は突っ走り過ぎる性格から疎まれることもあるようだが」

「……そうなのか」

「飽くまで一部、の話──」


 メガネの言葉が終わらない内に金髪は窓枠から飛び上がって会話に割り込んできた。


「阿保かっ、んな事言い出す奴は縛り上げて──」

「落ち着け、飽くまで一部の話だ」


 見た目通り熱い金髪。短絡的な性格もまた然り。


「あー、ごちゃごちゃ言ってないで行くよっ、バカ俊也!! 」

「だ、ちょっ引っ張るな──」

「良いのっ」


 真ん中であーだこーだ言っていた少女と青年だったが。そうこうするうちに、少女は青年の腕を掴むと半ば無理矢理教室の外に連れ出していった。


「……くぅ」

「何だよ」

「何て羨ましいんやあの腑抜け野郎!!穂坂とあんな風に自然にイチャイチャしやがってからにぃ」


 わなわなと身体を震わせる金髪の言葉に、周りの男子も必死に頷いている。


「しかも毎度毎度無下にしたり困らせておって!

俺が……俺が穂坂の幼馴染みやったら、あんなふざけたヤローよりも絶対優しく大切にしたるって──」

「ねーよ」

「一言で済ませんなやっ!! 」


 容赦ない男子A。


「まぁ落ち着け、よく考えてみろ」

「何や」

「確かに一見、穂坂と奴はカップルのようにも見えるが、それは全て幼馴染みという極めて特殊な関係に成り立つものだ。その希な関係性故に誤解は常々生じえないが、事実あの二人は付き合っていないという確認も取れている。それに、幼馴染みという関係は互いが近すぎるが為に異性の関係に発展しないというのが定石だ」


 一々長いメガネの台詞。


「それでも、そんな風に見えてしまうのは俺達が潜在的に感じる羨望から来るのかもしれんな」

「お前いくつだよ」

「16歳だ」


 呆れたように目を向けるAにさらりと答えるメガネ。


「そんな訳で、早とちりは寧ろ自分の首を絞めることになりかねんぞ」

「って事は……」


 悄気ていた金髪はバッと顔を上げる。


「穂坂の……俺にもまだチャンスがあるって──」

「ねーよ」

「ちょっとは夢見させてくれや!? 」


 やはり容赦ない男子A。


 三人がそんな馬鹿な話を飛び交わしていると、ガラリと後ろの引戸が開いた。


「………」


 翡翠色のショートヘアを小さく揺らして女の子がひょっこり顔を覗かせる。キョロキョロと、まるで誰かを探しているかのように室内を見渡していたが……


「………」


 すっとその顔を引っ込めてしまった。一瞬の事に三人は暫くドアの方をただただ見つめて。


「今の、成條か」

「あぁ、そのようだ。誰かを探しているようだったが……」

「しかし、相変わらず何を考えてるのか分からんやっちゃなぁ」


 顔を見合わせて軽く肩を竦める。


「成條霞か……穂坂達と同じく新聞部に所属する一年生。1-Bを、第一学年を代表するクールな毒舌美少女。一部、その手の男子からは熱い支持を受けている」

「お前図鑑みたいになってきてるな」

「猫のように素っ気ない態度や突き放すような発言は男達を歓喜させる事は言うまでもない。しかし、それ以上に……」


 それ以上に?首を傾げるAにメガネはビシッと指を突きつける。


「あの冷たい態度の奥底に眠る(やも知れぬ)女の子らしい可愛さ、デレ要素を俺達は夢見るのだ!それは謂わば、ロウで固めた翼で空を飛ぼうとしたイカロスのように、俺達もまた無限に広がる夢に向けて翼を広げられる。そんな妄想が無限に繰り広げられるのだッ。まだ誰も(男子)見たことのないと言われる彼女のデレを!それこそが、男達が彼女に惹かれて止まないも真の理由である」

「……なるほど」

「故に、奴等は打たれ強くしなやかで、伸縮自在という訳だ」「何のCM? 」


 どうでもいいが、三人の周りの男子も強く頷いているのは同じ思いを胸にしているからなのだろうか。


 暫く思いを馳せていた一向、突如教室内に響き渡った音に驚いて肩を震わせる。

 ガタガタっ。揺れていたドアが強引に開かれた。


「オーッホホホホ!!

ここにいるのは分かっていましてよ、穂坂香織!! 」

「「「………」」」


 姿を現したのはきらびやか金髪の美少女だった。綺麗な縦ロールは自慢気に、頭のてっぺんのアホ毛がぴょこんと揺れた。


「……お嬢や」

「あぁ、お嬢だ」

「ふむ、白ノ宮嬢だな」


 ドアを開け放ったさながらお嬢様は、大急ぎで教室内を見渡している。誰かを探しているらしい。


「白ノ宮妃希。言うまでもないが……かの白ノ宮財閥のご令嬢だ。テンプレ万歳と言わんばかりに【ツンデレ】【高飛車】【お嬢様】を兼ね備えている美少女だな」

「確かに、テンプレやな」


 本当にその通りだから困る。ベタ過ぎてごめんなさい。


「そして……」


 お嬢様は近くにいた人に何やら話を聞いている様子。登場からかなり目立っていたから当然周りの視線も独り占めだが。


「「「………」」」


 特に男共の視線を集中させている原因は他にある。

話しながら大きく頷く度に、たゆんたゆんと揺れるのは彼女の胸。その豊満な胸、余りある胸、柔らかそうな胸。制服の上からでもその主張はかなり激しい。


「……後は言わなくても分かるだろう、お前達」

「「あぁ」」


 その光景に男達は最早拝み奉る。

 本当にご馳走さまでした。



「くっ、もう既に逃げおおせた後とは……穂坂香織、絶対に逃がしませんわよ!」


 ひょこひょこと、まるで犬の尻尾のように動く可愛らしいアホ毛、そしてたゆんと揺れる男のロマン。金髪の柔らかな光を残して、お嬢様は教室から出ていった。


「胸……そこにはありとあらゆる夢が詰まっている。巨乳、貧乳、微乳、美乳、各々それぞれにはかり知る事の出来ない無限大の思いが、希望がそこにあるのだ」


 胸に抱く希望。だから男達は今日も歩みを止めること無く、前に進み続けるのである。


「白ノ宮嬢を見ていると、我々は改めてその素晴らしいさを思い知らされる」

「穂坂は間違いなく美乳やな、あの程好い大きさ、形。柔らかそうなあの胸を無自覚に押し付けられたり、間違って揉んでしまったりと日々願って──」

藤咲(やつ)はそれを毎回受けているようだな」

「……許せへんなぁオウ」


 先程少女が青年を引っ張って出ていった出口を睨み付ける金髪。


「東雲先輩はやはり完璧だ、その点で胸の方も魅力、バランス、大きさ、形、揺れ具合、全てにおいて理想的なものであらせられる。あの二つの果実に飛び付きたいと、挟まれたいと男達はいつ何時も願っている」

「そりゃお前の感想だろう」

「ふむ、確かに」

「否定しないのかよ」


 何故か自慢気に頷くメガネ。


「勿論、性格と可憐さにおいては学年トップクラスの桜や雨宮も負けず劣らずの抜群なスタイルの持ち主。今回高等科に上がったことで、我々の中の意見もまた割れるやもしれん」

 いつの間にか廊下で、楽しげに会話をしている二人には通りすぎる周りの野郎達の熱い視線を集めてしまっているようだ。


「けど、さっき来た成條はペッタンこのまな板っちゅー話や」

「愚か者がッ

貴様、この俺に貧乳の可能性を説明させる気かっ」

「しなくていいよ」

「貧乳……一見それは──」

「すんのかよッ」


 白ノ宮の登場から話題はすっかり胸についてシフトしていた。

 これだから男子は、女子が口を揃えてため息をつくのも納得が出来てしまう。こんな光景に限って言えば。


「つまり、貧乳はそこに無限の想像の余地があるッ。想像ては即ち、人間が生きる為の原動力になるのだ!人が前に進む為のなッ」


「おぉ、せやな!確かに男ならまだ見ぬ未来に夢を描く生き物や!」

「分かってもらえたようだな……」


 盛り上がる二人とその周辺(頷いているだけだが)に対して、Aは肩を落としながらため息をついている。


「む、どうした。先程より元気がないようだが」

「つーか、この話収集つくのかよ……」

「あぁ、なに……」


 メガネは腕を組んで背筋を伸ばした。


「そもそもお前が彼女が欲しいモテない死にたいという所から話は始まったんだっな」

「そこまで言ってない」

「しかしそれは心配無用だ。今聞いた通り、我々のクラスは学年を代表する美少女達を始め女子のレベルが相当高いッ」


 語尾を強められると何だか説得力が増して思える。事実先程から教室に出入りしている女の子達を見ていればそれはそんなに的外れな意見ではないはずだ。


「だから、そう悲観することもない。寧ろ前向きにいくべきだ、我々はこんなに恵まれた環境にあるのだからな」

「おぅ、せやな。俺も何かイケそうな気がしてきたわ!何なら今から穂坂に積極的にアプローチを──」

「なら僕は桜さんをデートに──」

「馬鹿やろうっ、桜さんにアプローチかけるのは俺だッ」

「白ノ宮さんは見てるだけで楽しいからいっか」


 前向きに活気付く教室の窓際。


「………やっぱり、さ」

「「?」」


 それでも尚、ため息なAは窓の外に目を向ける。


「こんな事話してる時点で………」


 何も周りに居るのは男子だけではない。

 呆れた果てたような、最早侮蔑すら含んだ近くの女子達の視線を一心に集めているのだから。特に胸の件で。


「春なんて来ないよね、絶対に」

「「………」」




 流れる雲はのんびりと。崩れ落ちる馬鹿共も気にせずに、ゆったりゆったり漂っている。窓越しには柔らかな太陽の光が、周りからは呆れたような女子の視線が。


 やけに対照的なその二つを感じながら、また周りで顔や頭を抱え崩れている男共を背に……Aはボソリと呟く。




「………クラス替えしたい」



 ひたすら春の遠い、初夏の爽やかな風が室内をスッと吹き抜けていった。



モブ中心で進めた教室窓際の光景でした。どうでもいいっちゃ、本当にどうでもいいお話ですねw


次回は本編のストーリー?、というかそんな流れに入る予定です。取り敢えず部活のこと、投稿して頂いた新しいキャラクター様も登場させていきたいと思います。


では、次回もよろしくお願いいたします。

因みに……バレンタインデーは思い切り部活でした。野郎だけで運動してました。もうふて寝します(笑)

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