表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すくーぷっ!!  作者: 伽藍云々
1st Semester
36/91

好色起点

 

注)前半は変態話174%です。多かれ少なかれ主人公に呆れ失望することと思いますwww


ご了承下さい

 


 

 諸君、少し……いやかなり重大な悩みがあるのだが。少し話に付き合っては貰えないだろうか。


 もし、だ。君の目の前に幼馴染みの下着があったどうする?勿論上下一式、上を隠す下着と下を隠す下着だ。

 昔は男みたいに走り回っていたのに、最近どんどん女の子っぽくなってきて時々見せる仕草とかにちょっと、ほんのちょっとだけドキッとしたりしなくもない幼馴染みの女の子の下着。それが目の前にあって、自分以外に誰も居なかったら……君はどうする?


 欲情する?こっそりポケットに入れる?更に変態行為に走る?

 ……おいおい、何でこんな欲望直球な意見ばかりなんだ?んな人生墜落紛いなチャレンジ出来る訳ねーだろ。

見つかったら殺されるよマジで。

 え?そもそもそんな状況に廻り会う訳ないって?いやいや、これが中々どうしてそんな事に……なってるんデス、今、NOW!!




「………」


 自室の床にあぐらをかきながら、俺は目の前のぶつを眺めていた。暫く眺めては長い長いため息をつき、また眺めては繰り返しため息をつく。


 爽やかな印象の強い筈の色、ライトグリーン。健康的なイメージも何となくある。ある筈なのだが、目の前のモノにそれを求める時、多分俺はどうしようもない屑で変態である事を認めなくてはならないだろう。


「………どーすんだ、コレ」


 下着。俺の前にあるのは紛れも無く下着、それも女性の下着なのだ。ライトグリーンが基調色の上下一式。床に置いてある。因みに下は縞柄で……ってんな事ぁどうでも良いっ。

 で、当たり前だが俺のものでは無い。じゃあ誰のかって?そんなの決まっているだろう………隣の幼馴染、香織のモノだ。


 …………


 ちょっ、待っ!!通報とかしないで違うから、下着ドロとかじゃないからマジで!えー、こほん。これには複雑で浅からぬ事情があるのだ。とはいえ回想とかに入るのはメンドーなので、簡単にまとめて話そう。


 実は昨日、穂坂大尉が訓練帰りに直でマイベースに来たのだが。たまたま帰りに雨が降り、何故かそのままうちでシャワーを使うことになった。

 その際、ちょうど洗濯しようとしていた我がベースのウォッシャーマシーンに自分の濡れた制服+下着もうっかり一緒に入れるという無防備甚だしい事をやってのけやがったのだ。そんな事は露知らず、藤咲二等兵はマシーンを稼働させ、気付いた彼女がしまったとシャワールームで言い出す始末。

 因みに替えの着替えは俺が隣まで取りに行かされた。目を輝かせた夕凪さんに様々な精神攻撃を浴びされつつも、まぁ替えの着替えを入れた袋を貰い藤咲二等兵は帰還。事を納めたのである。


「ところが、乾燥機で乾かした制服を返したは良いけど、肝心の下着を返すのを忘れてたんだな藤咲二等兵は」


 誰に言う訳でも無く天井に向かって呟いてみる。


「藤咲二等兵一生の失態である……軍法もんだなコレは」


 というか、乾燥機から取り忘れた俺が一番悪いとはいえ気付かないあいつも相当に悪い。つーか、年頃の男に自分の着替えを取りにいかせるなっ。


「はぁ……」


 まぁどちらにしても、彼女が忘れていった下着が本日火曜日─祝日なので学校は休み─の朝、乾燥機から発見された訳である。

 目の前にして先ほどから途方に暮れているのだ。


 で、冒頭に戻るのだが。幼馴染みとはいえ、年頃の女の子の下着一式が目の前に置かれていたらどうする?いや、どうすれば良い?


「………」


 選択肢1:欲情する

 選択肢2:こっそりポケットに入れる

 選択肢3:Let'HENTAI!


「だからしねぇぇよっ!!

そこまで人間捨ててねぇ!大体っ、アイツの下着に興奮なんてする訳……っ!! 」


 ……すみません、ホントは少なからずドキドキしてました、だって男の子だもん♪あーぁ、死ねよ俺。

 

「はあぁぁ……」


 ともかく、ともかくだ。欲情の捌け口をこういう類いにぶつけるまでは堕ちているともりはいないので選択肢は4の持ち主へ返すでファイナルアンサー。ただ問題は……


「どうやって返せば良いんだ? 」


 そうなのである。どうやって持ち主に返せば良いのだ、という話だ。先程から頭を悩ませているのは何も幼馴染みの下着に悶々としている訳では無いのだ。


「………」


 これは結構慎重な問題であると思う。俺の安穏なライフスタイルを確保する為に、だ。

 よく考えろ。女の子に対して女子用の下着を渡すという事だ。まず正面から行ってみると……まぁ間違い無くぶっ飛ばされるなぁ。鳩尾にシャイニングウィザード……という名の蹴りを食らわされるだろう。

 

 こっそり、ならばこっそりパターンではどうか。ほら、よくドラマとかである恋人がサプライズプレゼントをあげるシーンみたいに。家に行ってこっそり君の部屋に置いておいたよ、的な……ダメだ、衝撃のファー○トブ○ットを叩きこまれること違いない。


 では、間接的方法で夕凪さんに頼むというのはどうだろう。親からならば別に普通……いや、あの人の事だ、引き込まれて寧ろ変な状態になる可能性が極めて高い。着替えを取りに行った昨日の今日だと尚更だ。


 だったら、うちのベランダに干しておこうか。それならいつも勝手にやって来る彼女が気付いて自分から持って帰え……る訳ないな、俺がベランダで干される事になるだろうな。。


 あれ、結局どうしようと俺死ぬじゃん。社会的にも人間的にも。やっべーな、どうしようこのままじゃヤベーよ。つーかホント何なんだろうこの状況、祝日の朝っぱら幼馴染みの身に付けていた下着を前に悩んでいるこの状況。もう手遅れな程ド変態グズ野郎なのかも。一体なんの祝日だよ、全然祝えねーよコノヤロー。


「仕方ないっ、困った時こそ親に相談だ。これぞ子供の特権」


 俺は机の上から携帯を、手早く番号を押してコールをかけた。


『はい、もしもし』


 聞こえてきたのはやや気だるそうな女性、母親の声だった。


「あ、母上。俺です、愚息です」

『……なんだ、部屋に女の下着を並べて欲情している変態息子か』

「あいつのに欲情なんてしてねぇよ!! 」

『お前……まさか本当に。いくら香織ちゃんが手に届かない存在だからって、彼女の下着を盗んでそれを欲情の捌け口にするなんて。今すぐ警察行きな』

「実の息子を犯罪者に仕立てあげんなっ! 」

『冗談だから聞き流しな』


 ええいっ、人が下手に出ていりゃ……


「んな事よりっ、ちょっと相談があって電話したんだけど」

『夜分遅くに何だって? 』

「……夜分遅くに申し訳ございません。ご相談があって電話させて頂きました」


 よろしい、と許可の意が聞こえてきたので続ける。


「実はさ、友達が家に“日記”を忘れてっちゃったみたいでさ。そんで、それを返したいんだけど、どうやって返して良いのか分からなくて」

『……ふむ』

「正面から返したら中身見たのかって疑われちまうし、だからってこっそり返そうにもバレたら余計メンドーだし、どうしよっかなって」

『なるほど、事態は分かった』


 やけに含みのあるような声色で了承する母。俺は彼女の返答を待つ間に、ゴクリと生唾を飲み込んだ。


『男らしく、真っ向から行きな。それも真っ向から真っ向、ド直球でだよ』

「マジでか」

『アンタも男の端くれなら分かんだろう、野球でも最後にモノを言うのは魂の込もった直球(ストレート)なんだよ』


 何の話だそれは。要は当たって砕けろってことか……砕けちゃうのかよ。


「分かった、どのみちそれしかねーわな」

『ふっ、上手くやれよ“変態”息子』


 俺は携帯をベッドに放りなげると、床に放置されたソレを手に部屋から家から飛び出した。


 ピーンポーン……


「はーい……ってあれ、俊也? 」

「香織! 」

「わわっ、何!?どうしたの!? 」


 大事なのは魂の入ったストレート、らしい。


「これ、お前が昨日忘れていった下着を持って来─」


 ばきっ。

 顔面に瞬殺のファイ○ルブ○ットが叩き込まれて、真っ白に薄れゆく意識の中………俺はようやく気が付いた。


 結局母親(やつ)に遊ばれたな、と。


 


 


 *


 


 


「ばかっ、変態っ、本当にバカ!!バカ俊也!!デリカシー無さすぎ!! 」

「………」


 ぱさっ。

 俺は鼻っ面を擦りながら、我が家のベランダにある物干し竿に洗濯物をかける。後ろではまだ隣の家の幼馴染みが喚いていた。ていうか叩いてくる。


「バカバカバカ!!

変態、エッチ、最低っ、頭取り替えろっ! 」

「だーかーら」


 仕方ない、ため息混じりに振り返ってみせた。


「散々謝っただろうが。もう良いだろ、勘弁してくれって」

「する訳無いでしょっ」


 それもそうか。真っ赤な顔で真っ向から両断する香織を見てそう思う。けれどこちらにも言い分がある。


「あのなっ、そもそもお前が勝手に洗濯機使って、勝手に下着忘れてったんだろーが」

「そ、それは……そうだけど」


 ほれみろ。やっぱり香織が悪いんじゃないか。


「だからって!!

人のし、下着を……その、直接触って!そのまま持って来るなんて、あ、あり得ないでしょっ! 」

「………」


 ほれみろ。

 やっぱり俺が悪いんだよなぁ全面的に。


「はぁ……」


 もうかれこれ1時間は平謝りをしたが、やはり女の子は複雑なのか機嫌は一向に直らない。

 これ以上謝っても多分今日は機嫌は治らないだろうと諦め、俺は今朝の洗濯物を干す事にした。が、何故か香織はついて来たのだ。俺に悪口をぶつけながら。


「大体っ、お前が普段から無防備過ぎんだって言ってんだろっ。盗んだり変なことされなかっただけ助かったと思えっ!これが他の男とかだったらなぁ変なことに使われたりしたかもしれねーんだぞっ」


「なっ……!! 」


 思春期の男子の変態度数を舐めるな。


「へ、変なことって……」

「んな事、俺の口からはとてもとても」


 狼狽えるようにして軽く身を抱く香織。

 

「あんな事からこんな事まで、誰もいない部屋で一人でそりゃもう色々と」

「っっ……!! 」


 何を想像したのかこの女、更にみるみる真っ赤になって頬を押さえた。まったくからかい甲斐のある反応だ、と思ったらいきなりググッと思い切り近寄ってきた。


「そ、そんな事したら……舌切り取るからねっ! 」

「肝に命じておきます」

「……バカ俊也、変態」



 調子に乗りすぎた。

 舌は大切だ。何せ話せなくなるからな、なんて思いながらTシャツを干してゆく。


「あん? 」

「その、さ……」


 おや、先程とは打って変わってのしおらしい態度に……


「と、俊也は……その、私のでも、へ、変なこと、したくなるの? 」

「ぶっ!! 」


 転けた。思い切りずっ転けた。

 つーかに身をよじるな、こっちまで恥ずかしくなるだろーがっ。


「いきなり何言ってんだお前はっ!? 」

「わっ、わわっ……!!

これは違っ、無し無し!今の無し!!今の忘れてっ!! 」


 そんなの記憶喪失にならないと無理だ。

 そう思って俺はついつい、モジモジとしている香織の姿を目に入れてしまう。

 薄水色のトップスに青いミニスカートからは相変わらず綺麗な生足がすらりと……って何見てんだよ俺はっ。アホかっ。


「さて、と。続き続き……」


 白々しく両手で伸びをしてみせ、洗濯カゴからいそいそと次の物干し竿への洗濯物を取り出す。


「あー、仕方ない。わ、わたしも手伝ってあげるよ」


 むこうもやけに白々しい口調。何が仕方ないのかは分からないが特に止める理由も無いので放っておくことにしよう。

 しかしアレだな、やっぱり晴れた日に白い洗濯物をバサーッと広げるのは良いもんだなぁ……


「あ……えっと、そういえば、さ」

「んー? 」


 まだ香織の声にぎこちなさが残るのを感じつつも、わざと気付いていない調子で返す。


「今週の土曜日から剣道部の大会だったよね」

「あぁ……そうだったな」

「取材も勿論だけど、応援もいっぱいしなくちゃね!今回こそ東堂君が優勝出来るように! 」


 剣道部の男子の団体、個人県大会が今週土曜日、県の総合体育館で開かれる。俺達は新聞部の仕事として以前に友人として応援にゆくのだ。それが進一と出会った翌年からの、この時期の恒例行事となっていた。


「今年こそ優勝独占インタビューを成し得てみせるんだから!」

「おいおい、進一だけじゃなくて田中や他のやつも応援してやれよ」

「も、勿論だよ!剣道部の皆を応援するに決まってるもん! 」


 とはいえ、やはり進一は県でトップクラスの優勝候補の一角。部内でもダントツの実力を誇るからな。周りの注目も必然的に集まる訳だ。


「田中君だって部内では凄く強いんだよ、伸びなら東堂君にも負けてないって」

「へぇ、凄いんだな……」

「うん!この間ベスト8に残ったら駅前の好きなお店で奢ってあげる約束しちゃった、勢いで」


 えへへとはにかむ香織。

 田中のやつ……ちゃっかりデートの約束を取り付けたのか。

 まぁでも、その方がやる気も出るだろう。進一と当たる所まで勝ち上がったらそれはまた面白い試合になりそうだ。


「なぁ、お前さ」

「うん? 」

「えーっと……」


 不意に田中の話題が出たからなのか。よく分からないまま勝手に口が開いていた。


「田中のこと、好き……だったりする? 」

「………え」


 ぱさり。香織が干そうとしていたシャツ─無論俺のものだ─を地面に墜落させた。見事に大の字に広がる無地のシャツ。

 そして暫しの間、何だか妙に居心地の悪いような……


「と、俊也!?いきなり何言ってるの!? 」

「おまっ、落とすなって!それ俺のシャツ──」

「な、何で!?どうしてそんな話になるのよ!! 」

「ばっ、踏んでる!シャツ踏んでるから!! 」


 落としたシャツを踏んでもなお、ぐいぐいと近付き迫る来る香織。そのあまりの迫力に思わずたじろいでしまう、視線は地面の白いシャツへ。あーぁ、これまた洗濯だよ。


「俊也!!ちゃんと聞いてる!? 」

「お、おぉ? 」


 無理矢理視線を引き戻される。

 あれ、何か滅茶苦茶怒ってるなコレ?え、何で?俺何か気に障るような事言ったか?


「ど・う・し・て!!

いきなりそんな話になるのよっ、バカ俊也っ」

「バカって……お前なぁ何ムキになって──」

「聞いてるのはこっち!! 」

「……はい」


 あーぁ、弱ぇな俺。

 ムッとしたように睨み付けてくる幼馴染みについぞため息を一つ、距離を取る為に一歩下がる。


「だから、さ。えーっと……」


 食事を奢るとかそんなデートみたいな話を聞いて、ついそんな事を口走ってしまった……とは今になっては言えないよなぁ。

 口にしてから考えてみれば、そんな約束なんて友達同士よくするような軽いもの。デートなんて見当違いも良いところだ。香織もそんなつもりは無い……と思う、この反応だと。いや、照れ隠し的な反応ととる事も出来……るのか?


「………」

「つまり、だな……これは」


 そんな邪推はともかく。今は睨み付けてくる香織をどうにか誤魔化さなくては。というか何故こいつはこんなにムキになってるんだ。


「えー、っと……」

「………」


 話題を変えるか。いや、でもそう簡単に逃がしてくれそうにないよなぁ。

 そんな風に思っていた時、不意に後ろから。


「おーいっ」

「「? 」」


 聞き覚えのある声が。これは……


「よっ、そこの新婚お二人さん。相変わらず朝からお熱いようで」

「進一……」

「東堂君! 」


 進一だった。黒いパーカー姿に右手には赤いリードと繋がれた小犬、進一の家で買っているミニチュアダックスフント……名前はサルサだ。


 どうやら散歩の途中らしいが、まぁ何にしてもナイスだ進一!ちょうど良いタイミングでここに来てくれた!


「あー、そうだ!

俺ちょっと進一と約束あんだった、だからまた後で」

「え?ちょっと……! 」

「男同士の話し合いって事で」


 するりと香織の横を抜け、早足で庭から外へ。進一の横に素早く着いた。


「悪いな、わざわざ来て貰って。さ、行こうぜ進一」

「は?俊也? 」

「商店街の“あの店”で良いよな」

「………」


 当たり前のように話ながら、目で『話を合わせてくれ頼む』と訴えかける。進一は暫し迷った


「あぁ、そうだな。悪い、ちょっとトシ借りてくな。すぐ返すから」

「え、えっと……うん」



「じゃあ、また後でな穂坂」


 進一の理解力と察しの良さは度々俺に感動と感謝をもたらしてくれる。


「あ!東堂君!

試合、頑張ってね! 」

「あぁ、勿論」

「絶対に優勝独占インタビューするんだから! 」

「了解、承ったよ」


 香織からのエールを背に爽やかに親指を立てる進一。ドラマのワンシーンのような光景だな、と他人事のように思いながら俺は歩いていく。特に宛が無いものの、何とか脱出を成功したので良しとしよう。


「……で、お熱い新婚夫婦振りだったのに。どうして抜け出して来たんだ? 」

「その呼び方止めろ」

「だってお前、朝から二人仲良く洗濯物干してるなんてどう見ても」


 何故そこで話を止めるんだ。その含んだような笑みは何なんだ一体。


「で、何で抜け出して来たんだよ。俺をダシに使って」

「色々深い事情があったんだよ……」


 下着の事とか、誰かを好きなのかと訊ねてしまった事とか、まぁ色々。暫くぶらぶらしてれば忘れて機嫌も治るだろう、多分。


「サルサの散歩、どこまで行くんだ? 」

「駅前まで。愛奈が帰ってくるの遅くなるっていうからな。代わりだよ代わり」

「あぁ、なるほど」


 愛奈。東堂家の長女で進一の妹である。電車で私立の女子中学校─明条より偏差値の高い─に通っており、皆からも美人で文武両道と評される進一同様色々スペックが高いのである。

 性格も実に温和で物腰も柔らか、誰に対しても分け隔て無く非常に良い娘である。まさに理想の妹、こんな妹がいればなぁと会う度に思ったり………してなくもないような気がしないでもない、かも。


「そうだ、帰りにうちに来ないか。最近会ってないなって妹も寂しがってたからさ」

「え、今から? 」

「あぁ、せっかくだしさ。久しぶりに来いよ」

「あぁ……」


 確かにここ二ヶ月くらいは行ってないな。高校生になる前はよく遊びに行ってたが、最近は変な事が色々あって機会が無かったのだ。


「だったら、お言葉に甘えて。お邪魔させて貰おうかな」

「おぅ、そうしてくれ。愛奈もきっと喜ぶよ」


 日の高いの駅前広場。噴水に朝日がきらきらと反射して幻想的だ。

 そんな景色を眺めながら二人で暫くのんびりと歩いて、東堂家へと向かう事にするのだった。



「なぁ、ところでさ」

「うん? 」

「サルサ、俺にも散歩させてくれない? 」



 因みに、俺は犬派だ。






今回から進一の話をやっていきます。

俊也と進一の過去と剣道大会の話を絡めての長編を予定です。


これからも、こんな風に長編でメインヒロイン勢を含め色んなキャラクターを掘り下げていく予定です。


因みに、進一の妹は『諸事情』の静をイメージしてます(笑)



次回もよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ