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すくーぷっ!!  作者: 伽藍云々
1st Semester
22/91

部活までまだ時間あるから

携帯壊れたり、体育会の遠征なんかで今までより空きましたが更新です。


今回もよろしくお願いいたします!

 

 

 

「はい……学食に到着しましたよ、お客さん」


「済まんのぅ、また俊也にゃ助けられたわ」


 放課後。

 俺は弦と共に学食ホールの前にやって来ていた。本当は学食で待ち合わせてたんだけど。彼がいつまで経っても来ないんで仕方なく探しに向かったら……


「毎回思うんだけど、何で学食に辿り着けないんだ?」


「カッカッ、ほんまに何でかのぅ。ワシも不思議で仕方なか」


 案の定迷子になっていた。彼は高等部の敷地から離れた中等部の方の校舎にいたり。本当によく迷う奴だ、地図でも常備させておこうか。


(まだ4時半か……)


 今日も放課後は部活があるのだが、島先輩が進路指導で遅くなるというので戻って来るまでしばらく自由時間。

 暇そうだった弦と偶々会った進一を誘って学食で時間を潰そうと思ったんだ。ま、迷子になった弦を探すのに時間潰れたんだけどね。


「おーい!

トシ、こっちこっち!」


「あぁ」


 ホールに入ると手前のテーブルからすぐに声がかかってきた。先に席を取っていてくれたのだろう、ヒラヒラと片手を振る進一の姿が。その隣にはもう一人の男子生徒、黒髪の……


「誰だっけ……?」


「田中だよっ、一年D組の田中康太!!」


 あ、そうそう。田中だ、田中。あまり自分の印象に無い奴だったからすっかり忘れてた……というのは冗談だ。


「何か失礼な事を考えてないか?」


「気のせいだ」


 訝しげな表情を浮かべる田中に軽く手を振っていなし、後ろにくっついて来た弦と共にテーブルに着いた。というか、いつの間に田中が合流したんだろうか。


「ついさっきな、田中とここで会ってな。道場は3年の授業で使ってて、部活はまだ始まらないしな」


 流石進一。口に出さずともこちらの表情一つで察して疑問に答えてくれるのだ。まぁ付き合い長いから考えてる事が何となく分かるってのもあるんだけどさ。


「初めて見る顔じゃの。わしは近藤弦、俊也と進一のクラスメートじゃ。そっちは?」


「あ、俺は田中だ。田中康太。よろしく」


「康太か。良い名前じゃな、よろしくの」


 と、何の脈絡も無く弦が田中に自己紹介。突然の事に少し戸惑いつつも挨拶を返すと、弦はそう言ってカラカラと笑う。初対面でいきなり名前とは、こいつの社交性の高さは時々尊敬に値する。

 俺みたいな偏屈な人間とは根本的に違うのだろう、そんな事をぼんやりと考えながら俺はテーブルのメニューを手に取った。


 それから30分くらいか、他愛の無い話を続けていた。田中と弦は初対面ということもあって、二人についての会話が主な流れになったり。


「へぇ、じゃあ近藤はこっちに来る前は関西の方に居たんだな」


「おぅ、じゃがそん前は四国のほうに居っての。四国は田舎も田舎っちゅーとこに居ったりもしたんじゃ」


「関東は初めてなのか?」


「そうじゃの。わしが通っておったもんはどれも小さな学校じゃったから、こん学園に来た時は度肝抜かれたわ。流石は都会は広いのー」


 こんな調子で会話も弾んだりしていたから、田中も弦の性格に少しは慣れたのだろう。まぁ彼の場合は誰とでも仲良くなれる性格なんだろうが。


「そういやさ、弦は部活とかに入らないのか?」


「あ、それ俺も思った」


 俺は注文したシフォンケーキ、生クリームがたっぷり乗った最後の一切れを口に運ぼうとしつつ、そう訊ねてみた。向かいの進一もそれに同調するように頷く。


「わしか?

わしは、そうじゃのぅ……」


「まだ決めてない?」


「うーむ……」


 だったら取り敢えず俺に言える事は一つ。


「もし全く決まって無いなら、新聞部にも見学も考えてみてよ。きっと香織も喜ぶからさ」


「新聞部か……」


 うちは人数の少なさで四苦八苦している部活の代表だからね。仲間が増えれば部活らしくなるし、他の部活との部費の割り振りについてだって人数がいれば正当に主張出来る。

 それに、人数がいれば一人一人の役割も少なくなって自分は少しでも楽出来るかもしれない。

 ともかく、いかなる理由においても今以上の人数は必要になると思うのだ。


「確かに、部員が少ないとは聞いとるからのぅ。何とか俊也や香織達の力にはなりたいとは思うんじゃが……」


 意外だな、弦に対しては半分冗談で言ってみたんだけど。

 因み今の部活の現状を案じているのは香織であって、俺では無い。


「わしはどうも、新聞作りとかそういう細かい作業が向いてる人間じゃないからの。すまんが、直接力にはなれそうもないの」


「いやはや残念、まさか男に振られるなんてなぁ」


 気負わせないようにわざとおどけたように肩を竦めてみせる。


「カッカッ、すまんの。まだわしもやりたい事を探し中でな」


「だな、自分がやりたい事をゆっくり探していくのが一番だよ」


 仮入部期間だってまだある訳だし、期間が終わってからだって遅い事は無いのだから。

 こうやって正直に答えてくれる辺り、素直で話し手のこちらとしても嬉しかったりする。こいつの性格が良く表れてるよな。


「なら、剣道部はどうだ?

武道場で汗を流し、己と闘い、仲間と共に競い合う……まさしく学園青春ってやつだと思わないか?」


「剣道か……」


 今度はすかさず進一が訊ね始める。つーか、どんだけ勧誘してるんだ、俺らは。



「なぁ、藤咲」


「あん?」


 進一と弦が少し席を空けている間―必然的に俺と田中の二人だけになるのだが―不意に田中がこちらに視線を向けてきた。ちょっと声を潜めて、やや深刻そうな表情で。


「あのさ、近藤って……その、穂坂と仲良いのか?」


「?」


 何故いきなりそんな話になるのか理解出来ない。首を傾げざるを得ない自分に彼は更に身を乗り出してくる。


「いやだってさ、さっき穂坂の事名前で呼んでたから……」


「あぁ、それね」


あの会話のそんな些細な部分を気にしていたのか、こいつは。何と言うか、意外と小さい事に拘る奴なんだな。


「いつもあんな感じだろ、弦はさ。俺も進一も初対面で名前だったし、お前だってそうだろ?」


「そ、そっか……そういやそうだな」


「性格だろ、特に気にする事も無いでしょ」


気だるさを隠さずにそう答えるとホールの壁に掛かっている時計を見つめた。

 もうそろそろ島先輩の進路説明会も終わる頃だろうか。


「………」


「ん?」


 と、顔を戻した所でじっと田中がこちらを見つめている事に気付いた。

 何か言いたげな表情で、俺は取り敢えず視線だけで何だと訊ねてみる。


「藤咲もさ、穂坂の事を名前で呼んでるんだよなって」


「まぁ、長い付き合いだし」


「分かっちゃいるけど……えっと、かなり珍しいよなやっぱり」


 羨ましい、ありありとそう顔に書いてある。俺にはさっぱり理解出来ないけど。


「だったら、お前も名前で呼んでみたら?」


「え、それは……うーん、いきなりは難しい、かも。恥ずかしいし」


「はぁ……」


 告白するだとか堂々と宣っていた奴が今更何を言ってんだか。口とは裏腹に気の小さい事で。


「ま、こっちは飽くまで学内での保護者のつもりだったりする訳でさ。

悪い男とか変な奴に引っ掛からないようにとかは多少心配したりしてるけど」


「俺は変な男じゃないぞ!」


「さて、告白前にヤる(男女の関係的に)だのなんだの公然と言ってた奴を変な男と呼ばないのかは微妙なトコだと思うけどな」


「うっ……」


 言葉に詰まったように少し顎を引く田中。しかしすぐにふるふると首を振って顔を上げる。


「だったら、そういう事はちゃんと関係を作ってからだな。まずは告白して付き合う事からだっ」


「大して変わってないような……」


「でも、き、キスとかそのくらいはその前に出来たら良いとか思うんだけどな」


「……そか」


 もう何でも良いけど。一々ツッコむのも面倒だし。

 他人の、しかも取り分け思春期の恋愛は色々と複雑そうだからあまり直接的に関わりたくないという気持ちもある訳で。


「おー、すまんのぉ!

ちょっとおかわりに迷ってての!」


「食券が余ってて良かったよな」


 直後、食べ物を取りに行っていた弦と進一がテーブルに戻ってきたので俺達はまた少し、話を交わしていくのだった。







 さて、学食で弦と田中と別れた俺と進一はそのまま宛もなくフラフラと学内を歩き回り、ちょうど中庭にやって来ていた。

 結構時間も潰したし、そろそろ部室に戻ろうかと思っていたんだけど。


「おい」


「ん?」


 中庭の真ん中にあるベンチを通りかかった時、不意に進一が声をあげる。その視線を追っていくと……


「あっ、俊也」


「香織?」


 同じ部活に所属する幼馴染みが円状の椅子に座っていたが、こちらに気が付くと、スッと立ち上がりこちらに歩いてくる。

 こんな場所で何をしているんだ、こいつは。


「ちょうど良かった。俊也、学ラン貸して〜」


「唐突に何だお前は」


「ちょっと肌寒いから?」


 何故疑問形?何故学ラン?

 ってか、自分のブレザー持ってないのか?


 俺の前に来た香織は上着にブラウスのみ、確かに夕方には少し肌寒い格好だとは思うけどさ。


「ブレザーは?」


「うーん、あるけど……今部室だし」


 要するに取りに行くのが面倒なだけか。


「そのくらい取りに行け」


「やっぱり俊也のが良いから、ね?」


「何で?」


「学ランって厚手で暖かいし……それに、俊也の匂いがするから」


 おいちょっと。

 口実にしても、そういう恥ずかしい事をさらっと言わないでほしい。すぐ隣に進一がいるんだけど。


「……俺の匂いがするとそんなに嬉しい訳?」


「そかも。俊也の匂いって安心出来るっていうか、落ち着けるっていうか……」


「………」


 冷静にカウンターをかましたつもりが、逆にあっさり跳ね返されて。

 流石に即答されるとは思わなかったので返す言葉に迷ってしまう。


 隣の進一がこれみよがしにニヤニヤしている。何を言いたいのかは何となく分かるが、それは違うぞと反論したい。


「取り敢えず学ラン貸して?」


「貸さない」


「ケチー」


「喧しいっ」


「良いでしょ、減るもんじゃないし」


 何故執拗に食い下がるんだお前は。


「じゃあ私のブレザー貸してあげるから」


「そんな変態的な趣味は俺には無いよ」


 二重の意味で。


「……一昨日は俊也優しかったのに。

学ラン着せてくれたし、暖かかったし」


「あれはお前がびしょびしょだったから。あんな姿、周りに見られる訳にはいかないだろ」


「俊也のせいで濡れちゃったんだよ、変な事言うんだもん」


「元はといえばお前が無理に動いたりするから……」


 って待て。よく考えたらこの会話、端からするとかなり危ない内容に聞こえないか。

 思わずハッとして隣の友人の表情を伺うと……


「ほほぅ」


「………」


 思い切りニヤニヤしていやがった。やはり何か言いたげに、しかもどこか嬉しそうに。


「さてと……じゃあ俺は武道場にでも行くかね。もうそろそろ」


「ちょっ……!!」


 あからさまにこの場を離れようとする我が親友の肩を掴んで止める。


「待て、進一。お前は多分危険な誤解をしてるぞ」


「誤解ねぇ」


「何を言いたいかは大体分かるけど、それだけは違うと言っておくからな。

これは一昨日の放課後の話で、帰り道にあいつが水道管に乗ったりするから………」


 普段ならともかく、流石に今の会話の誤解は訂正しておかないと。当の香織はきょとんと首を傾けているばかりなので放っておく。


「ま、確かに高校生同士の付き合いだからそれなりの節度は必要だと思うけど」


「いやだから……!!」


「分かってる、他言無用にしとくからさ」


 全然分かってねーよ。


「そんじゃ、またな。穂坂もまた明日」


「うん、またね東堂君」


 尚も弁解しようとする俺の手から逃れた進一は軽く手を上げて挨拶をすると、足早に中庭から去っていってしまった。


「………」


 唖然と見送る俺。


 行ってしまった……盛大な誤解をしたまま。いや、アイツの事だから分かっててからかっていたのかも知れないけど。誤解は誤解として残る訳で、後でちゃんと説明しておかないと。


「東堂君、急にどうしたんだろう?」


「さぁな……」


 さっぱり自覚していないようだし、わざわざ彼女に言う必要もないだろう。変な空気になるのもアレだし。


「ほらっ」


 俺は内心ため息をつきつつ、着ていた学ランを脱ぐとややいい加減に放った。


「っと、ありがと」


 ナイスキャッチ。

 空中で広がってしまった学ランを香織は上手く両手で抱える。


「うん、やっぱりぶかぶか」


「だろうな」


「あんなに小さかった俊也も、もうこんなに大きくなっちゃったって事なんだね〜」


 ぶかぶかな俺の学ランを羽織り、何やら感傷に浸る仕草をする幼馴染み。付き合ってるのも面倒なので、俺は背を向けて歩き出す。


「あ、ちょっと。

どこ行くのよ?」


「屋上。まだ少し時間あるだろうし」


「また空?」


「そだよ」


 彼女は相変わらずだと呆れたような表情をしたかと思うと、何故か再び隣までやって来る。


「仕方ない。一人で屋上は寂しいだろうから、一緒に行ってあげるね」


「いらん、帰れ」


「照れない照れない」


 何が可笑しいのか、クスリと微笑む香織に急かされるように俺達は校舎に入っていった。




挿絵(By みてみん)




 屋上から広がる空は、もう夕暮れの色に染まりつつあった。


 先程まで空に残っていた青に橙色がじわりと溶け込むように混ざり始めていく。周りの景色は鮮明なのに、上に広がるそれはどこか曖昧で、ぼやけていて、しかしどこか優しげで。

まるで切り離された世界を見ているような、不思議と気分もそこに持っていかれそうな幻想がそこには広がっていた。


 俺は屋上の端、フェンスの前に腰を降ろすと上空を見上げようと……


「って、隣かよ……」


 香織は自分のすぐ隣に座っていた。それも肩が触れ合うくらいの距離に、まるで身を寄せ合うように。


「こっちの方が暖かいよ」


「近すぎると思ったりしない訳?」


「ない」


「あ、そ」


 屋上は無人だし、一目を気にしなくて良いのだから俺も特に気に留めない事にする。


「………」


 見上げた空は青と紫、そして橙の三色の層で彩られていて、見る者をみるみると吸い込んでしまいそうな不思議な力がそこにあるような気がした。


(空の層、か……)


 かなり昔だけど。こんなものなんて比じゃない、もっと凄い空の層を見せて貰ったっけ、親父に。あの時は本当にどのくらい見入っていたのか、どれくらい愕然としていたのか。


 今にして思えば、俺が空を追っかけるようになったのは親父の影響なんだよなぁ。



「……ん?」


 こてん。

 肩に何か柔らかい感触が少しの重みと共に、のしかかってきた。


 視線をずらすと目に入ってきたのは蒼い髪。

 ふわりと鼻腔をくすぐる甘い香りと、微かに揺れるさらさらとした感触。

 香織の頭だ。


「人の肩を枕代わりにするつもり?」


「寝て、ないよ……」


 今にも眠りに落ちそうな声じゃないか。


「んっ、学ラン俊也の匂いがする……」


「因みに、俺も真隣に居たりするんだけど」


「じゃあ、匂いに包まれてる……みたいだね」


 ちょっと返す言葉に困った。少し眠たそうな声でいうから尚更戸惑うというか、取り敢えず困る訳。


「俺の匂いってどんな匂いなんだよ」


「うーん……」


 肩の上に頭を乗せたまま、彼女はほんの少しだけ顔を傾ける。


「幼馴染みの匂い……?」


「いや、だから何だよそれは」


「ひねくれてて、面倒臭がりで、可愛げが無くて、しょっちゅう寝てて……」


「ろくなものじゃないな」


「あと……空バカ」


「………」


 悪口しかでてこない、というか既に“匂い”ですらなくなってるし。

 聞いた俺が馬鹿だったよ。


「でも……」


「?」


 そこで、彼女の言葉は途切れた。話には先があったようだが、暫く待ってもその続きは語られず。


「すぅ……」


「おいおい」


 そっと横目に様子を窺うと、彼女は俺に寄りかかったまま眠ってしまっていた。

 寝ないって言ってたのはどこの誰なんだか、全く。


「はぁ……」


 4月の終わり。

 屋上で夕暮れの茜色に囲まれながらため息を一つ。

 傍目から見てどんな風に映るんだろうか、この光景は。


「屋上で良かったかも……」


 すぐ側で無防備に眠る幼馴染みを見て、俺はそっと呟くのだった。








「よし、今から取材だね!」


「………」


 部活が始まってからの香織は先程の態度が嘘のように呆れるくらい元気だった。

 いや、少し寝たからすっきりしたのか或いは。


「じゃあ、香織ちゃんと粋君は体育会系の部活を回って貰えるかな?」


「はいっ」

「了解」


 で、島先輩の進路説明会が終わったから部活再開という訳で只今部室にいるん訳だが。

 今から5月の新聞の記事を書く為の取材として、各部活や同好会─今日活動しているものに限る─に向かおうとしているんだ。


「霞ちゃんと俊也君は文化系の部活や同好会をお願いね。活動日が今日じゃないものは後日に外しといてね」


「分かったわ、俊也(ぺっと)のお守りは仕方なく引き受けましょう」


「おい」


 各々指示を出す島先輩に一同は頷く。

 相変わらず霞の言葉は辛辣だ、というか先輩には敬語使えな。


「僕はここで紙面の準備をするから。

皆、お願いね」


 そんな訳で先輩を除いた俺達4人は部室から廊下に出る。


「じゃ、皆頑張って取材に行こっ!」


 早速グッと拳を突き上げ鼓舞する香織を合図に俺達はそれぞれ向かう方向を確認する。


「かすみん、俊也の事お願いね」


「えぇ、任せておいて」


 保護者みたいな事を言われた。さっきまであんだけ無防備だったというのに。


「粋先輩、香織(こいつ)が色々と迷惑かけるかとは思いますがよろしくお願いします」


「はは……

うん、了解」


 仕返しとばかりに軽く頭を下げると粋先輩はやや苦笑混じりに頷いてくれた。

 『どういう意味だ』と抗議の声を上げる香織はこの際無視しておこう。



「じゃあ、私達は同好会から回っていく事にしましょう」


「最初は何処に行きゃ良いんだ?」


 橙色に染められつつある廊下を歩く俺と霞。

 彼女の持っているメモには文化系の部活、同好会の活動場所と活動日が書いてある。


「……まずは、黒魔術を研究する同好会と昼寝をする同好会が合併した同好会で」


「それ、違う世界の話だからな」


「じゃあ、SO○団にする?」


「先に言っとくけど、俺はこの世界から出るつもりは無いからな」


「そう、残念……」


 こいつの場合、本気で言ってるから質が悪い。って無駄話してないで早く行かなければ。


「とにかく、さっさと行くぞ」


「あら、ご主人様に命令する気?」


「俺はお前にとっての何ですか」


「聞きたい?」


「………」


 自分で言葉にしてみたけど、訊くのが怖かったのでスルーしておいた。


 さて、取材取材……

学ランと屋上。

今回はこんな感じでした。


ブカブカの学ランを羽織る幼馴染み、個人的には好きなシチュエーションだと思いました。


それから、屋上で身を寄せ合うってシチュエーションはかなり憧れます、しかも幼馴染みとだと何だか余計に。

その距離感がそのまま今の二人って感じです。



次回は部活、俊也と霞の取材の話になります。

よろしくお願いいたします!



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