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僕らの戦情記  作者: 謎沢
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第11話〜第18話

=第11話 イオ国へ。決断=


そして、知人は昭二に聞いた。

「まさか、研究所からまさか助け出したんじゃないだろうな。」

それに昭二はうなずいた。

「参ったことをしたもんだな。たしかに、人をあそこまでやるのはどうかと思うが、それよりもお前の名誉のほうが大切なのではないのか。」

「いや。そんなことはない。今、あの国は滅びかけている。戦争をしてなにがいいんだ。あのままでは国はどんどんやせ細ってしまうじゃないか。」

「しかし・・・」

食事を取っていたのに、その話でもちっきりになっていた。二人の研究者の考えは真っ二つに分かれていた。


そのころ、イオ国では、大変な大騒ぎになっていた。

国王の部下は言った。

「どうやら、昭二たちはザイ国に逃げたようです。」

「そうか。では、攻撃をはじめるとするか。」

「ちょっと待ってください。国王様。」

国王の発言に部下が待ったをかけた。

「そんな戦力を出すほどの兵力はありません。」

「そんなことはない。同盟を結んだ国に連絡しろ。」

部下は国王の前では無力だった。

何を言っても、最近は無理やり押し通された。

「最近の国王はどうしたものだろうか。」

廊下で、部下はため息をついた。今のイオ国では、表向きは国王に忠誠心を誓いつつも、裏ではこんな状況なのである。


そんなことを知ってか、知らぬかわからないが、知人はこんなことを言い始めた。

「ある商人から聞いたのだが、どうやら、今、イオ国は体力を消耗しているそうだ。そして、人々は、国王への忠誠心などがなくなっているそうだ。」

その情報に昭二は言った。

「そうか。ありがとう。」

知人はさらに付け加えた。

「しょうがない。応援してやる。ほしいものがあれば、言ってくれればよい。」

そして、大きな部屋に勝田たちを集めた。

昭二は言った。

「食事の時に、私の知人は、協力してくれるといった。どうだ、国を再生させないか。平和な国に。」

それに勝田たちはうなずいた。


=第12話 見習いサンタの絶望=


次の日、昭二たちは、ムラヤの町を出て、イオ国に入った。昭二たちは緊張した。もしかすると、殺されるかもしれない。しかし、自分たちには使命があった。

砂漠を歩いていると、砂漠のど真ん中に人がいた。

「もしかすると軍隊の奴かもしれない。」

昭二は言った。しかし、すぐに軍隊ではないことが分かった。服装が赤いのである。しかも、長袖、長ズボン。まるでサンタクロースのようだった。

近づいてみると、サンタだった。しかし、昭二たちが想像したあの長いひげのサンタではなく、若いサンタであった。

「どうしたんですか。」

昭二は、そのサンタに聞いた。サンタはこう答えた。

「もうだめなんです。何もかも。子供たちに届けようとしても、子供はどこかへ逃げていて、所在が分からない。さらには、サンタの中には、たまたま戦いに巻き込まれ、死んでいった仲間もいます。それで、私はサンタをやめようと。」

昭二たちは思った。そんなことはさせられなかった。

どうすれば、よいのだろうか。


そのころ、国王周辺は緊迫していた。

「なに、またここへ戻ってきそうだと。さっさと捕まえろ。軍隊を集めろ。殺してもいい。」

国王はもう大変なまでに狂気になっていた。それを誰も止めることは出来なかった。

部下は指令した。

「はやく。はやく。軍隊を出せ。誰でもいい。早く」

国は、狂気に満ちてしまっていた。

第13話 死と・・・

無理やり組まれた軍隊たちは、勝田たちがいると思われる国境付近に配備された。

「怪しい人物を見かけたら、職務質問しろ。」

隊長は、威勢よく隊員に向かっていった。


そのころ、勝田たちも気づいていた。

「これでは、ここから動けない。どうする。戦うか」

勝田はみんなに聞いた。

「俺が素手で武器を壊していく。その間に、逃げるのはどうだ。」

勝田はそう言った。しかし、それではまたとらわれの身になって、今度こそ、この世から消えてしまう。それだけは出来なかった。

しかし、勝田は決断していた。たとえ、ここで死んでもいいと。

昭二の判断に勝田はこう言った。

「俺はいい。それよりも、出来るだけ多くの人を助けることが大事なんだ。俺は、もうここで死んでもいい。」

その言葉についにみんなついに動かされた。

勝田は、まるで、ゲームの主人公のように力を手に入れた。

「敵がいるぞ。」

兵士の一人は、その姿に唖然となった。

「あれはなんだ。人間と何かが合体しているぞ。」

そして、勝田は、兵士の武器を狙って攻撃をし始めた。兵士は殺せなかった。兵士だって、無理やりやらされているのである。そのことを思うだけで十分だった。

そのさなか、昭二たちは脱出した。しかし、その行動を見つかってしまった。

「良平。」

昭二は叫んだ。それに答えるように言った。

「先に逃げて。僕は大丈夫だから。」

「おい生意気な小僧だ。」

昭二は逃げるしかなかった。

そして、ある村に着いた。そこには兵士はいなかった。


=第14話 平和村=


昭二は、村の人に聞いた。

「軍隊の人はいませんか。」

それに村民の一人はこう答えた。

「そんな危なっかしいもの入れるわけがない。」

そして、昭二は、村民に事情を話した。

「そうかい。じゃあ、一度長老に会ってみると良い。いろいろと教えてくれるだろう。たぶん、戦っている少年も時期こちらにくるだろう。」

村民の言葉に不思議さを感じながら、ペナルテイたちは、長老の家へ向かった。

長老の家に着き、事情を話すとすぐにあってくれた。

「ようこそ。平和村へ。」

「平和村?」

昭二は思わず聞き返してしまった。平和という名前がつく村は、なかった。しかも漢字表記だ。

「ここは、ある人物が開いた村なのだよ。この村はね、あの王子を嫌がっているんだ。いま、国中の村が壊されている。あの政権によって。隣の国は、平和主義でいいが、こちらは、戦争を仕掛けてもいる。この村は、ちょうど砂漠の真ん中にある山にあるので、結構分かりやすい。あそこを見てみろ。」

後ろに広がる独特の風景。山頂には風車が風を受けて回っている。まるで、別世界だ。どこかのお話に出てきそうだ。そして、老人は続けて言った。

「この地には、争いはないのだよ。そして、逃れた民もこちらへ来る。なぜだかだ。ただ、村も小さくて、収容しきれないから、他の所へ行ってもらっている。すまないが。しかし、今回は特別に泊まっていってよい。何日でも、」

その長老の言葉に昭二は頭を下げた。


その頃、勝田は、なんとか、兵士との戦いをまるく収めた。

そして、上空で、あの平和村を見つけた。

その時、ちょうどあの力が消えてしまった。

「おー。」

勝田は砂漠へ落ちていった。

「いたたたっ」

勝田は怪我なしで済んだが、平和村へは歩いていかなければならなかった。まあ、これもこれでいいのだろう。


=第15話 走れ!勝田?=


国王は、その頃、捕まった良平をどうするか決めていた。国王は、やはり頭がおかしくなったように言った。

「少年を、公開死刑に処せ。」

「しかし、少年ですよ。国王。」

「そこまでやらなければ、あの少年たちは出てはこない。」

国王の発言に部下たちは困ってしまった。少年を処せば、国民からの反感を買うことは分かっていた。

しかし、部下たちは国王に従った。そして、順平の死刑のための準備が始まった。

まずは、このことを発表することになった。そうすれば、出てくるに違いないと思ったからである。

村では、恒例であるテレビニュースを見る会が開かれていた。村民はテレビによって、情報を得るのである。

勝田たちも見ていたが、そのうち信じられないものが映りはじめた。

それは、良平の画像だった。そして、国王の部下が話をし始めた。

「さあ、反抗勢力よ。もしも、明日までに軍に投降して出てこないのならば、この少年を公開処刑とする。」

その言葉を聴いた勝田は外へ飛び出した。それを昭二は追いかけた。

「おい待て。」

昭二はなんとか勝田を捕まえた。

「良平を助けに・・・」

勝田はそう言った。

「やはり、そうなったか。」

長老が出てきた。そして、長老は勝田に話しかけた。

「いいじゃろう。友を助けに行きなさい。いつでも私たちは味方だ。」

そして、勝田たちは二手に別れた。まずは、勝田が先を急いだ。その後を、荷物を持ちながら昭二があるいていくというスタイルだった。そうでなければ間に合うとは思えなかった。

しかし、いくらなんでも、無理があった。この村からはとても離れていた。それを明日に着こうとするには難しいことだった。


その頃、部下たちにそのことが伝えられた。

「よし。これで立役者はそろうことになるな。」

部下は笑みを浮かべた。


=第16話 狙うは獲物?=


勝田はともかく走った。なにも考えずに。ただ、良平を助けるために。時には休憩や立ち止まったりした。しかし、その時でも、良平のことを考えていた。

一方、国王は、このことを随時聞いていた。それを聞けば聞くほど笑みが増えた。

そして、部下にも。この国では、少年を殺すということを平気で言えるようになってしまったのである。そして、本当に実行に移してしまおうとしていた。

いつもなら国王が演説をする広場には、体を固定するための台が用意された。

「さあ、明日が楽しみだ。」

国王は喜びでなかなか寝付けなかった。そのころ、勝田も、寝てはいられなかった。まだまだ首都は先であった。

後ろを歩いていた昭二は、砂漠の中で寝た。砂が入ってくるが、テントを出すことができないので、しょうがなくここで寝ているのである。

寝静まったころ、後ろに隠れていたスパイが現れた。そして、大きな袋に昭二を入れた。

次の日、勝田は疲れながらも走った。それには妖精も感心した。それとは対照的に、国王は勝田を殺すことに何かを感じていた。多分、快楽殺人とかいうものなのだろう。しかし、今はだれもその事実に気がついていない。

「ついに、首都が見えた。」

勝田は、地平線のかなたにある町を見つけた。これが首都のシェルパだ。

そのころ、ちょうど昭二も目覚めた。しかし、周りは白かった。そう。布の袋に入れられ、輸送されていたのだ。

そして、昭二を乗せたトラックも首都へだんだんと近づいた。

国王は、部下に呼ばれて広場に出た。国王の顔は笑みが絶えなくなっていた。

勝田は広場へ向かった。

「順平!」

勝田は広場に入ると同時に叫んだ。しかし、この後思わぬ事態が勝田たちを待ち受けていた。


=第17話 平和と闇=


国王は言った。

「ようこそ。君は、ここで死んでもらう。」

それと同時に、一斉に周りの人たちが襲ってきた。

しかし、周りの人の行動は不可思議だった。

まるで、心を持っていないようだった。しかし、そんなことを考えている暇はなかった。

勝田はたちまち捕まってしまった。

「さて、仲間と死んだほうがいいかな。どうせなら。」

そして、良平が袋から出された。

「良平。」

勝田は叫んだ。しかし、良平は気を失っていた。

「さっき、すこし暴れたもんで、やっといたのさ。」

国王は冷たく言った。

それに勝田は地団太踏んだ。勝田は、妖精とひそかに合体しようとした。

それに気がついていないのか、国王は部下にこう指示した。

「どうせなら、槍でさすんでなく、火の中でうなってもらおうじゃないか。」

そして、勝田たちのまわりを火が取り囲み始めた。

勝田は妖精に頼んだ。そして、あの強い力を得たのだ。

「なんだ、あれは。」

国王の指先には、強い力をもった勝田がいた。

国王は、おびえながら、部下に銃を撃たせた。しかし、簡単によけられてしまった。

勝田は、よけながら、攻撃をした。そして、兵士の中から逃げ出すものが出てきた。

「ちょっと待て。」

国王は声をかけたが、兵士たちはすべて逃げてしまった。

「くそ。」

国王はそんなことを言っていたとき、ある部下が言った。

「どうやら、町を取り囲むように、国民とザイ国の群集がいる模様で、こちらに攻めてくるようです。」

それに国王は焦って逃げ始めた。しかし、国王はすぐに捕まってしまった。

ザイ国の兵士は言った。

「大丈夫だったか。少年たち。」

それに勝田はうなずいた。

「それはよかった。この国が戦争をもうしないことになったんだよ。君たちが勇敢な行動をしてくれたおかげで。ありがとう。」

そして、それを見つめる男がいた。


=第18話 帰還=


その騒ぎが始まる前に、勝田たちは町を出た。良平たちも、国王が出て行く前に、やっと気がもどり、なんとか怪我をしなくてすんだのである。

良平は言った。

「これからどうするんだい。」

それに勝田は答えた。

「まだ分からない。」

良平は納得したような顔をした。

その時、良平は急に顔色を変え、うなり始めた。

「大丈夫か。」

勝田たちが言った。しかし、その時には、砂漠に血を吐いていた。

「誰か医者を呼ばないと。」

「その必要はない。」

いきなり、誰かが声をかけた。それは妖精だった。

勝田たちは妖精のほうを向いた。。

「私の方向を向くんじゃない。良平は最後の言葉があるようだ。聞いてあげなさい。」

そして、また良平の方向を向いた。良平はかすかに言っていた。

「平和にしてくれてありがとう。そして、君たちにありがとう。最後は楽しい人生だった。君たちと出会って・・・。」

良平は言い終える前に息を引き取った。

「良平!」

勝田は良平の体をゆすったが、まったく反応しなかった。妖精は言った。

「人には最後というものがある。それは、つまらない人生だったりするときもある。しかし、良平はいい顔をしながら行ってしまった。これほど贅沢なことはない。」

「じゃあ、なんで、良平が・・・。」

「それは運命だからだ。勝田。お前が私と会ったのも運命なんだ。勝田の心情は今は不安定であることは十分承知だ。しかし、これを変える事はできないんだ。」

勝田は、自分の姿が分からなくなっていた。

「そういえば、返しましょう。これ以上いると家族が心配するから。」

そして、勝田は元の世界に戻った。しかも、時間も戻った。

画面にはふつうにゲームが表示されていた。

「一体何だったのだろう。」

勝田は不思議に思った。それはそうだろう。なぜならば、それは、偶然だったのだから・・・。


今まで読んでくれましてありがとうございます。2007年が明けるということで、僕も何か読者にいつもとは違ったメンバーでの話を作ろうと考えました。しかし、最終的には、ペナルテイの話を一部抜き出して、そこから新たな展開にしたものになってしまいました。しかし、この話は不思議に終わりました。もしかすると、勝田はまた変な目に遭っているかもしれません。それは、謎のままです。

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