最終章 その5
ラック、田沼さん・・・
ほぼ同時に声を上げたのは博士と、友紀さんだった
早く傷の手当てをしなくては、取り返しがつかなくなる・・・
田沼さん、お願いだから傷の手当てをして・・・
博士、それから友紀さん、それに吉田少年、中村さん
これから先、未来はあなた達にかかっています・・・
どうか、人類のため、いや生き物全てのために
力を尽くして下さい、お願いします・・・
私は、ギムーラと共に滅びます
ギムーラを逮捕しても、超能力でそこから抜け出し、仲間を頼んで
また、博士を狙ってきます・・・
だから私は彼と一緒にここで滅びます・・
でも心配しないで下さい、私の意志は博士や、友紀さんに繋がって生きていくのです
友紀さん、本当に嬉しかった・・
私たちの世界では、恋愛というものが有りません
もっとも遺伝子的に適合したカップルが、強制的に
一組のカップルとして結婚させられるのです・・・
言わば、仲間みたいな意識しかそこには有りません・・
友紀さんと一緒に過ごしてそれ以外の感覚、2011年風に言えば
恋愛をしていたのかもしれません・・・・
その時、急にラックはむせび始めた、ギムーラが反撃をしようとした瞬間
ラックは屋上のフェンスから、ギムーラを抱きかかえるようにして
地上に飛び降りたのだった・・・・つづく