事件
夢の真相は兎も角、船の検査の日がやってきました。
新しく作られたタンカーのあらゆる部分が,対象になります。
くまなく調べて基準に合っているかどうか、水増しはないか
等調べ上げなければなりません。
その中で船底に関する検査ももちろんあります。
夢は気になりますが、夢は夢と割り切って仕事をしなければなりません。
タンカーの船底の部分はある意味、特別の世界です。
光のない穴倉というより、鉄骨のお化け屋敷みたいな
感じです。
僅かな見落としも出来ないので、かなり窮屈な格好も
致し方ありません、真っ暗な世界で、不自然な格好をして
いちばん深い部分を調べていました・・・
その時鉄骨をコツコツと叩くような音が、響いてきました。
だんだん近づいてきました、今この現場には私一人しかいないはずです
コツコツ、ワオン、ワオン異様な音の共鳴音が、不快な気持ちを
イライラにかえてしまいまた。
私は思わず、だれだ!邪魔をするのは、出てこい!
と叫んでしまい、言い終わろうとするその瞬間
あぶない!と後ろから声が聞こえたと思うまもなく
強い力で思いっきり引っ張られました。
と、目の前にでっかい鉄骨が凄い音をしながら
落ちてきました。
一体何が起こったのか、しばらの間私は放心状態でしたが
目の前になにか人みたいな影が動くのを感じながら
不覚にも気を失ってしまいました・・・・つづく