父の壁
父はただの造船所の検査官なのに、なぜ世界で活躍するほどの
仕事が出来るのかしら・・・・
それは、お父さんの見識がとても深いからなんです
お父さんは、勉強家で造船の仕事ももちろんですが
あらゆる学問に精通されていて、その幅広い知識と
洞察力は、おそばにいて感心するばかりです・・・
また、好奇心も旺盛で、試してみたい技術や、新しい試みなど
いつも機会が有る度に参加されています
ですから、もし今のお仕事を止められても、大学や、研究所からの
お誘いが沢山有ります
私はいつも、お父さんの生き方に憧れを抱いています・・
でも私と父では、その生き方は全く違うし、私はそれほど
学問に精通出来るほど賢く有りません・・・
むしろ、自然に即した生き方、大地に根差した生き方に
とても魅力を感じています・・・・
友紀さん、お父さんが今からやろうとされていることは
まさに、自然を守る技術と科学そのものなのですよ
大地に根差した生き方を望む多くの人々を守るための
限りない研究が博士の希望なのですから・・
友紀さんはそれでも、納得できない表情を崩さなかった
父の存在は彼女にとって、やはり大きな壁なのかもしれなかった・・・
つづく