友紀さんの仕事
友紀さんは美味しそうにコーヒーを飲みながら、ぼんやり外を見つめていました
一口飲んだ瞬間のやわらかいその微笑みは、優しさに満ちあふれています
生まれて初めてのコーヒー一口啜りました・・・・
ん、苦い・・・・・
そう思いましたが、後からかすかな甘みが追っかけてきます・・・
不意に友紀さんが口を開きました・・
田沼さんは、父のように船の検査官になるのかしら・・・・
・・・・・・・・
私は、少し困ってしまいましたが、言葉が自然に出てきました
私は、一つの仕事のスペシャリストになるのが、夢なのです・・・
どんな場所でも、どんな仕事でも誰にでも負けないくらいの
職人になりたいのです・・・・
スペシャリストか・・・・・
私はまだそういう立場に立っていないの
まだ、それ以前の何をしたいのか?どう生きたいのか?
ぜんぜん分かっていない・・・・・・
会社の仕事に生きがいが有るのかどうかもわからい・・・・
私は狭い世界より、広い世界、世界のどこかに自分の生きる道が
有るような気がして、父の元を旅立って、別の世界へと羽ばたきたい・・
そんな強い気持ちが、私を押しつぶしそうになる・・・
ごめんなさい、愚痴みたいになってしまって・・
自分は、それはとても素敵なことだと思います
でも、自分の予感ですが、これからお父さんは世界で活躍して
とても忙しくなりそうな気がします
お父さんのプロとしての技術と才能は、世界中の人々が必要とするほど
優れているのですから・・
その時必ず、お手伝い出来る身近な人が必要なのです
お父さんは多分、友紀さんの力と愛情を頼りに活躍する時が
来ると思います
友紀さんも、お父さんのお手伝いをすることで、本当にやりたいことも見つかると
思うのですが・・・・・
少しでも今からの事を分かってもらうため、オブラートに包むように
近い未来に来るであろう出来事をお話したのですが
さらに友紀さんは考え込んでしまいました・・・・・・つづく