横浜
その日は日曜日でした
山手西洋館や、赤レンガ倉庫、中華街を友紀さんと探索しました
私にとっては、まさに探索になるのです・・・・・
時間を遡る事が出来るようになって、今までの閉ざされた世界から
過去の開かれた世界に飛び出すことが出来て
解放感に満ちあふれていましたが、ゆっくり街並みを探索する暇など
今まで有りませんでした
時間から時間へ渡り歩いて、パトロール隊員はゆっくり休む暇など
有りません
博士を殺害しようとするサイキック達は、博士のあらゆる時代に忍び込み
人々を操りながら、秘かに暗殺しようともくろんでいるのですから・・
また、博士存在以外の歴史を変えても、企業の歴史も変わりますので
奴らも迂闊には手を出せないのです
そんな私達は、過去の世界の風景さえもゆっくり味わえる暇など無いのです
更に、人類が進んできた歴史は、過酷で、残酷で、やさしくて、愛情にあふれていて
とても複雑なものであることも、知らざるを得なくなりました
今の私には、全てを受け入れることが出来ません・・・
あれだけ憧れた、地上の満ち足りた世界は、とても複雑でした・・・・・
いろんな思いを抱きながら、今博士のお嬢さんと2011年の横浜を探索しているのです
なかなか話もままならなくて、二人とも黙りがちです
今、伊勢佐木町界隈を歩きながら、コーヒーが飲めるお店へ入りました
2500年には、コーヒーは或る特定階級の人々しか飲めません
コーヒー農園など、ほとんど存在していないからです
それでもお金持ちは、その財力にものを言わせて、特別農園を
作りました、そしてそれは自分たちの飲み物としてだけ活用しているのです
2011年の価格で言えば、多分一杯当たり500000円くらいはするはずです
ですから、どうしてもコーヒーが飲みたかったのです・・・
友紀さんは、出されたコーヒーをゆっくり口元へと持って行き
溜息と共に、一口コーヒーを飲み込みました・・
ああ~美味しい・・・ そう言いながらやさしい笑顔を私に投げかけてくれました
私は今まで感じたことが無いほど、なぜか幸せな気持ちに包まれてしまいました
つづく