海洋発電所
私は暫くの間、考え込んでいた
まだ自分がやってもいない仕事を、やってしまったかのように
説明されてもピンと来なかったし、まして全人類をも巻き込んで
自然エネルギーの開発に取り込む等、想像さえも出来なかった
ラック、私が成し遂げた事柄、分かる範囲でいいから
教えてくれないだろうか?
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先ほど言いましたように、パラレルワールドに存在する時空に
入り込むことがなかなか出来ませんから、垣間見た状況からですが・・・
博士は、先ず、世界中の科学者や、その他の専門家を集めて
環境に配慮した新しい技術の開発に乗り出します
そして今急がれている、太陽光や、風力、地熱、海流や、水力等
ありとあらゆる自然の力を利用したエネルギーの革新的な研究成果を
導き出す、触媒の役割を担うのです
また博士は、その造船技術を生かして、海洋発電所を
世界各地に設置、運用させるのです
巨大な建造物を、洋上に建設して、そこでは海流、太陽光
風を総合的に生かして、大規模な電力を生み出すのです
その施設はなんと全世界に数千か所にも及び
海上から陸地へと電力を供給して、その発電力は
原子力エネルギーの数倍にも匹敵するようになります
博士は、革新的な技術革命を行い、イギリスが起こした
産業革命以来の発電の技術革命を成し遂げてしまうのです・・・
・・・・・・・・・
私たちに分かるのはここまでです
それから人類はどうなって行くのか・・・・・
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私に出来るはずが無い!
そんな大それた偉業が出来るはずがないではないか!
口から出てきた言葉は、思ったこととは違っていた・・・・・
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ラックはゆっくりと私を見つめながら、
ふっと気を抜いたように、
博士、今日本で何が起こっているかお分かりですよね・・・・
ラックはいくらか寂しげな面持ちで、しゃべり始めた・・・つづく