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言動と心が一致しないメスガキさん・シリーズ

言動と心が一致しないメスガキさん ~バレンタインデー編~

作者: 那須茄子
掲載日:2026/03/29

 二月十四日。

 教室は朝からざわざわしていた。


「チョコ、何個もらった?」

「え、まだゼロなんだけど……」

「うわ、かわいそ〜」


 そんな会話が飛び交う中──


 透は、机に突っ伏していた。


(……関係ない。僕には関係ない。どうせ今年もゼロだし。

そもそも期待するだけ無駄だ……)


 そこへ、足音が近づく。


「おっはよ~、ザコくん」

(おはよう透くん!! 今日こそ渡す!! 絶対渡す!! 昨日の夜、三時間かけて作ったんだから!!)


「……おはようございます、蓮菜さん」

(なんでこいつはいつも通りなんだよ……バレンタインだぞ……少しは空気読めよ……)


 萌留は、透の机の横に立ち、ちらっとカバンの中を見た。


(今!! 今渡す!? いやでも朝イチは重い!? でも他の女子に渡される前に渡したい!!

どうしよどうしよどうしよ!!)


「……なにしてるんですか」


「べっつに~? あんたにチョコなんて渡すわけないじゃん?」

(渡す気満々です!! むしろ渡したくて死にそうです!!)


「言ってないですよ……」

(なんでわざわざ否定するんだよ……期待しちゃうだろ……)


 萌留はそわそわしながら、透の机に肘をつく。


「ねぇ透くん、今日さ──」

(言え!! “チョコ作ってきたよ”って言え!!)


「──放課後、購買のパン奢ってよ」

(なんでそうなるの私の口ぃぃぃぃぃぃ!!!

違う!! チョコ!! チョコだってば!!)


「……なんで僕が奢るんですか」

(なんでバレンタインに僕が奢る流れになってるんだよ……)


「いいじゃん別に~。ほら、あんた友達いないし?」

(奢らなくていいから!! むしろ私が奢るから!! だからチョコ受け取って!!)


「……余計なお世話です」

(友達いないのは事実だけど言われたくない!!)


 萌留は、カバンの中の小さな包みをぎゅっと握りしめた。


(あぁもう……どうしよ……渡したいのに……渡せない……透くん、誰かにチョコもらったりするのかな……)


「……蓮菜さんは、誰かにチョコ渡すんですか」


 透が何気なくそう言った瞬間──萌留の心臓が跳ねた。


(きた!! きたこれ!! 今言えば自然に渡せる!!“実は透くんに……”って言えば……!!)


「は? あんたに関係ないし?」

(めちゃくちゃ関係あるよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

むしろあんたにしか関係ないよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!)


「……そうですか」

(なんで聞いたんだ僕……期待してるみたいじゃん……)


 萌留は、透の横顔を見つめながら、唇を噛む。


(……渡したい。渡したいのに……素直になれない……)





 そして、昼休み。


 透が席を立とうとした瞬間──


「ちょ、ちょっと!!」


萌留が袖をつかんだ。


「……なんですか」


「べ、別に……その……」

(言え!! 言え私!! “これ、あげる”って!!)


「……購買、行こ」

(なんでえええええええええええええええ!!!!

違う!! 違うの!! チョコ渡したいの!!)


「……はいはい」

(なんで僕、バレンタインにパン買いに行ってるんだ……)


 萌留は、透の後ろ姿を見つめながら、胸の中で叫んだ。


(放課後こそ絶対渡す!! 絶対!! 絶対だから!!)






──そして放課後。


 萌留は、透の机にそっと小さな包みを置いた。

 透が戻ってきて、包みに気づく。


「……誰のですか?」


 萌留はぷいっと顔をそらす。


「し、知らないし!!

勝手に置かれてただけだし!!」

(私です!! 私が置きました!!

透くんにあげたくて震えながら置きました!!)


透は包みを手に取り、少しだけ笑った。


「……ありがとうございます」

(絶対蓮菜さんだろ…………なんで素直に言わないんだよ……でも……嬉しいな)


 萌留は顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いた。


「はぁ?? 私じゃないってば!!! きっもきっも!!!!!!!!」

(それ私の本命ですよ~~!!!!!!!!)

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― 新着の感想 ―
まぁ、傍から見れば結構分かりやすいのかもw  トンビに油揚げさらわれる前に素直になっとけー  (゜゜)
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