第二話 記憶の断片
一週間後、後輩を連れて指定された待ち合わせ場所のカフェの前に着いた。
数分後やってきたのは、背が高くスタイルが良く、見た目は派手目な髪に華やかな顔立ちの男性がだった。
その男性は髪や見た目の雰囲気とは違って、立ち姿は落ち着いた雰囲気で、シックなスーツを身につけていた。
「もしかして、Ritsuさんですか?」
俺が声をかけると、その彼は小さく頷いた。
「申し遅れました、Ritsuと申します」
お互い名刺を交換した後、カフェの店内に入り、テーブル席に案内される。
「お忙しい中、ご足労いただきありがとうございます」
俺は軽く頭を下げると、源太も一緒に頭を下げた。
「いえ、こちらこそありがとうございます」
彼は穏やかな笑顔を向けていた。その笑顔がどことなく、学生の時の律に重なったような気もしたけど、あまりに見た目も変わっているし、似ている人間なんて沢山いるし、自分の勘違いだと思った。
「今回、お呼び立てしましたのは、こちらの広告のデザインをぜひ、お願いしたくお時間をいただきました」
数点の資料をテーブルの上に並べ、その資料を並べながら説明をしていく。
「そうなんですね。ご説明いただきありがとうございます。そして、こんな素敵な企画に自分を選んでいただき幸いに思います。これは自分にとっても大きな経験となるでしょうし、ぜひお引き受けさせていただきたいと思います」
「本当ですか……!他のお仕事のご都合もあるかと思いますので、ご負担にはならないように、できる限りこちらも精一杯尽力させていただきます。こちらこそ、お引き受けいただきありがとうございます」
その後は、イラストのことについて質問をしたり雑談をしたり、連絡先を交換して別れることにした。
「梶井さん、やりましたね!」
「ああ、よかったよ」
源太と一安心した後、会社に戻ることにした。
「いや〜、それにしてもRitsuさんってあまり顔出ししてなかったけど、実物すごくかっこよかったですね〜!梶井さんもそう思いませんか?」
「そうだったんだろうな」
「返事そっけなくないですか〜?あれは誰が見てもイケメンの部類ですよ!」
俺はコーヒーを飲みながら、パソコンに日誌を打ち込んでいく。
「俺にはそういうのよくわからないから」
「梶井さんも、仕事ができてかっこよくて俺の憧れですけど、Ritsuさんみたいに、自分の才能で生活できるって憧れます」
「まあそうだな」
そう俺は返すと、後輩は他の上司に呼ばれたのか席を外して、一人になると思い出してしまう。
律は今何をしているのだろうか。
そう考えながら、Ritsuにさっきのお礼のLINEを入れた。




