第一話 まだ知らない
「今回のプロジェクト、Ritsuさんに依頼してみるのはどうでしょうか?」
後輩の濱辺源太がそう提案をしてきた。俺は入社して3年が経ち、初めて大きなプロジェクトを任されていて、とある看板のデザインを誰に頼むかというのを後輩と話していた。
「Ritsuって?」
「今SNSで話題のデザイナーみたいです。今回先方が依頼されたイメージに合うと思うんですけど、どうですかね?」
それを聞いて、SNSで早速調べてみると、たしかに現代的で繊細で、どこか心に訴えかけるような、印象に残る絵が数多く投稿されていた。
「ああ、たしかに今回のイメージと合いそうかもな」
「ですよね!俺、早速DMでコンタクト取ってみましょうか?」
「ありがとう。でも、俺が連絡してみるよ」
「そうですか。では、お願いします。何か進展あったら教えてくださいね」
「わかった」
俺は、もしかして律のことじゃないよな……と一瞬頭をよぎったが、そんなことはないだろうと自分に言い聞かせて、SNSのDMで連絡を取ることにした。
『突然のご連絡恐れ入ります。梶井祐馬と申します。今回ご連絡させていただいたのは、広告のデザインをお願いしたく、ご連絡させていただきました。SNSでRitsu様の絵を拝見して、印象深く繊細な絵に心を打たれました。ぜひ一度、お会いすることはできませんでしょうか?お忙しいところ恐れ入りますが、ご連絡いただけますと幸いです』
DMを送った後、作業に追われていて、いつの間にか昼休憩を過ぎていた。
俺は、近くのコンビニでおにぎりとホットスナックを買って席に戻った。
おにぎりを片手にパソコンで仕事を進めていく。
その時スマホの通知が光った。
『Ritsuと申します。ご依頼いただきありがとうございます。そして、大変嬉しいお言葉をいただき、ありがとうございます。ですが、ただいま仕事が立て込んでおり、恐れ入りますが、一週間後でもよろしいでしょうか?梶井様のご都合はいかがでしょうか?』
俺は、そのDMに対してすぐに返信を返した。
『Ritsu様、ご連絡いただきありがとうございます。はい、ぜひ一週間後でお願いいたします』
後輩に来週会えることになったと伝えて、残りの仕事をすることにした。




