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第八章:独占欲の夜明け

今回も少しセンシティブな表現が含まれます。

苦手な方は回れ右よろしくお願いします。

 


カーテンの隙間から差し込む朝日に、リリアナは重い瞼を開けた。


全身が、まるでベッドに根っこが生えたような気だるさに包まれている。特に腰から下は、自分の体ではないような痺れと熱が残っていた。


(……あ、私、生きてる……?)


昨夜の記憶が、断片的に脳裏をよぎる。

「証明しろ」と言ったのは自分だが、まさか夜が明けるまで一睡も許されないほど、猛烈に愛されるなんて。


「……起きたか」


すぐ耳元で、低く、甘く掠れた声が響いた。

リリアナが顔を赤らめて隣を見ると、そこには上半身を裸にしたまま、肘をついて自分を見つめるゼノスの姿があった。昨夜の殺気は消え失せ、その赤い瞳には、とろけるような熱が溜まっている。


「……ぁ、閣下。……おはよ……っ」


挨拶をしようとしたリリアナの唇は、即座に塞がれた。

優しく、けれど逃がさないように深い口づけ。何度も、何度も、角度を変えて吸い上げられる。


「ん……っ、閣下、もう、朝……っ」

「朝だ。だから何だ」


ゼノスはリリアナの首筋に鼻先を寄せ、深くその香りを吸い込んだ。

昨夜、彼自身が刻んだ紅い痕をなぞるように舌を這わせる。


「……俺は、ずっと我慢していたんだ。お前に嫌われるのが怖くて、化け物だと思われたくなくて、指一本触れるのさえ躊躇っていた。……だが、もうやめた」


彼はリリアナの手をとり、その指先にひとつずつ、愛おしそうにキスを落とした。


「お前が俺のものだと認めたんだ。……もう俺は、我慢しないことにした。お前を誰にも見せず、一日中こうして抱き潰していたいというのが、俺の本性だ」







リリアナが起き上がろうとすると、ゼノスは即座にその細い腰を抱き寄せ、再びベッドに沈めた。


「閣下、あの、さすがに顔を洗いに……」

「動くな。腰が痛むだろう。……そのままにしていろ」


ゼノスはリリアナをまるでお気に入りのぬいぐるみを抱くように、後ろから強く抱きしめた。彼のたくましい胸板と、熱を帯びた肌がリリアナの背中に密着する。


「お前に必要なことは、すべて俺がやる。食事も、着替えも、移動もだ。……お前はただ、俺の腕の中で、俺のことだけを考えていればいい」


「そ、それはさすがに過保護すぎます……!」

「黙れ。……それとも、まだ『証明』が足りないか?」


そう言って、ゼノスはリリアナの耳たぶを甘く噛んだ。

下半身に感じる彼の確かな熱。昨夜あれほど何度も重ね合ったのに、彼はまだ、飢えた獣のような目をしている。


「……リリアナ」

「はい……?」

「……こっちを向け。……キスをしろ」


命令形だが、その声は甘えを含んでいる。

リリアナが恥ずかしさに耐えながら振り返ると、ゼノスは満足げに目を細めた。

重なり合う唇。触れ合う指先。

彼はリリアナの肌に触れるたび、安心したように吐息を漏らす。


「お前は、俺のものだ。……一生、俺の檻の中から出さない」


リリアナは、彼の胸に顔を埋め、クスクスと笑った。


「はい。……喜んで、捕まってあげます」


その言葉が引き金となった。

ゼノスの赤い瞳が、再び深い色に染まる。


「……そうか。なら、今日一日は、ベッドから出られると思うなよ」

「え、えっ……閣下!? まだするんですか!? 朝ですよ!?」

「関係ない。……愛していると言っただろう。……何度でも、教えてやる」


再び重ねられる熱い体温。

言葉足らずな彼が、その行動ですべてを語り尽くす。

リリアナは、彼の重みを受け入れながら、確信していた。

実家のクズたちに捨てられたあの日、この「悪魔」に売られたことは、人生最大の幸運だったのだと。


「……あ、閣下、そこ……っ、ぁっ!」

「……いい声だ。……もっと、俺の名前を呼べ」


朝日は高く昇り始めていたが、公爵家の寝室の帳が上がることは、当分なさそうだった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この話を持ちまして、『その「悪魔」は、愛を知り、絶望的に跪く』 (~転生令嬢は、黒髪赤目の公爵様に愛されすぎて逃げられない~)は完結となります。

いつかは書きたいと思っていたオリジナル小説、無事完結させることができて感無量です。

作者自身、まだまだ書き足りないところではございますが、いったんここで完結させていただこうかと思います。

後々、アフタストーリーを出そうと思っていますので、興味のある方はぜひぜひ読んでみてください。

リクエスト等お待ちしております。

感想&ブックマーク等もよろしくお願いします。

ではでは、またの機会にお会いしましょう~


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