8話
夢を見た。
ステージの光。
ペンライトの海。
名前を呼ぶ声。
センターに立つ彼。
汗で濡れた前髪。
少し息が上がった、RUIくんの笑顔。
(……今日のビジュ、やば……)
そう思った瞬間、ぶつりと夢が途切れた。
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目を開けると、そこにいたのは、夢では無い本物の累くんだった。
彼は、ベッドの横でウトウトしていた。
部屋着に着替えていた彼は、髪は整っておらず、目の下にはうっすらクマのようなものがあった。
私は、服も着替えさせられて、額には冷えピタ。
掛け布団の上には、体温計と子供用と書かれた風邪薬が置いてあった。
「……おにい……ちゃん?」
「……!!めごたん!?」
累くんを呼ぶと、彼ははっと目を覚まし、私の顔を覗いてきた。
累くんの表情は、落ち着いてるようで、全然落ち着いてない。
握ってきた手が、とても冷たく震えていた。
そのまま、私の額に手を当てる。
「まだ、ちょっと熱あるな」
頭が、ぼーっとする。
なのに、口だけが勝手に動いた。
「……今日……ビジュ…」
「……え?」
「あ……ちが……」
累くんの、キョトンとした顔を見て、今とんでもない事を言ったと自覚した。
自分のせいで、私は完全に目が覚めた。
やばい。
今のは、完全に“ファン”の発言だ。
寝起きと熱のせいで、とんでもない発言をしてしまった。
むりやり誤魔化すしかない……!
「ビ……ビーのジュース……飲みたいな……?」
「Bのジュース?……そんなのありましたっけ?」
「うーん、熱もあるし、記憶が混乱してるのかも知れないな」
累くんの質問に、答えたのは彼の後ろにいたマネージャーさんだった。
恐らく、累くんが呼んだのだろう。
「とにかく、朝になったら、病院へ連れていこう」
マネージャーさんが累くんへ、病院の提案をした時だった。
ガチャ
玄関のドアが開く音がした。




