9話 改良
結果、加速、上昇は良かったが減速には不安が有った。翼が少し大きくなったことで飛行時の操作性が良くなった気がする。ここから少しずつ改良していく事になった。発動機自体は僕が乗ると燃料を消費しないが他の適合者が少し浮かせて実験したら思っていた以上に燃費が悪かった。そのおかげで出力は大きかったみたいだがこのままでは使えない。とりあえず増加試作機では翼内の20mm機関砲を撤去して両翼下に増加燃料タンクを搭載する案も出た。
こうしているうちに帝国歴2598年になり僕は成人し正式に軍の適合者として採用された。
新人研修は僕だけ飛行なしで座学のみ参加だったから同期からは影で馬鹿にされていたらしいが僕は全く気付いてなかった。何故知ったかと言うとその同期の中で偶然同じ学校卒の西宮が居たため偶然会って話した時に知った。彼自身は僕の事を心配してくれているみたいで
「昔からの空を飛びたいって夢をかなえたんだね」
と言ってくれた。
西宮には何故僕が飛行しないのか簡単に説明しておくことにした。
「僕って途中から学校に行かなかったよね?あの時から軍で見習いしていて実は戦闘器に乗れることを知ったんだ。だから既に基礎は終わってるので今練習に参加しても燃料が勿体ないだけなんで参加してないんだ」
「そうだったのか。まあ理由は分かったがこの事は皆に話さない方が良いのかな?」
「そうだね。軍に入る前に戦闘器動かしたとなると色々面倒なんで黙っていてくれたらいいよ。空襲来たら分かると思うし」
「もう出撃できるのか?!」
「まあ……出来るよ。僕は今、特殊な戦闘器に乗ってるから今度空襲来たら見れるかもね」
そんな会話から数日。実際に敵が現れた。
「久々にこちらに敵さん来たな……新人は邪魔しないように見学後防空壕へ。試作機出撃してくれ。敵がまだ遠い」
新人たちは隊長に質問する
「質問よろしいですか?」
「なんだ?」
「試作機って航続距離長いのですか?」
「そうだ。しかしまだ試作なので詳しい数値は言えない」
「ありがとうございます」
そんな会話しているうちに出撃準備が終わった。
「97試戦離陸準備出来ました!」
「今日は同期が見てるから気合入れろよ出撃許可する!」
「これ言ってもよかったのですか?!97試戦カケル出撃します」
「これでお前の事馬鹿に出来る奴は居ないだろ。俺達はもう家族だ家族を馬鹿にされていい気はしない」
離陸してゆっくり上昇していくがゆっくりでも速い。それを見た同期たちが
「今の見たか?あの速度できれいに離陸していったぞ」
「それより新人で試作機に乗れるって……」
「俺達より数倍上手ではないか……」
等言っているのが無線から聞こえて来た。
「あの~それより出撃時に方角しか聞いてないのですが、距離と数教えて貰っても良いですか?」
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
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