23話 地上の敵
「地上の敵とはどんな敵なんだろう?」
独り言として声に出ていたようだ。副操縦士のエナが答えた
「やはり……虫なんでしょうか?」
僕は何で考えてる事が分かったのか不思議だったが
「多分そうだろうね。地上の虫ってなんか嫌な予感がする」と答えた。
基地から出て30分位でまた嫌な感じがした。多分敵が居る。
「前方から嫌な感じがします。多分敵に近付きました。武器の使用許可をお願いします」
「こちら基地、97複座に攻撃許可を出す。今敵の近くに人は居ない」
「了解。発見次第攻撃します」
少し進むと見えて来た……あれは蟻?
巨大な蟻のような生き物だった。
「こちら97複座、敵は巨大な蟻です。5匹います」
「こちら基地了解しました」
「エナ、地上の敵相手に攻撃できそう?」
「多分大丈夫。攻撃するね」
20mm機関砲が敵に吸い込まれてゆく……1匹倒せたがまだ残り4匹は居る。一回通り過ぎて次は後方からの攻撃……1匹撃破。残り3匹か……
「エナ、爆弾を使う。急降下するけど耐えられそう?」
「分かりませんが……どうぞ」
急降下爆撃をしたが前回とは違い、地上に近付くためタイミングが難しく爆弾は当たらなかった。
「外れましたね」
「ごめん。地面が近付くのが怖くて近くまで降下できなかった」
「そうですね私も怖かった。残りの弾も少ないですが倒せるかな?」
「とりあえず持ってる弾は全部撃ってしまおう」
その後頑張って2匹は倒せたが1匹残った。
「こちら97複座、全弾使いましたが1匹残りました。一旦基地に補給に戻ります」
「こちら基地。97複座は帰投してください。今から陸軍が攻撃します」
「了解、戻ります」
その後無事に基地に戻ってから聞いたらあの後すぐに陸軍が倒してくれたらしい。
少し疑問に思った事を隊長に聞いてみた。
「あの、戦車って有ります?」
「戦車?戦闘用馬車の事か?」
「違います。車両に大砲乗せたやつです」
「いや聞いたこと無いな、また新兵器か?」
「簡単に言うと戦闘器に大砲つけて地上を走れるように無限軌道を付ければ出来上がりです」
「なんか面白そうだな開発の方に話しに行くぞ」
その後色々説明したが、この世界にエンジンが無いのが辛い。燃料となる石油は有るみたいだけど……。原理は分かるけど気化器とか作れる自信無いしな。
とりあえず隊長達と話し終わってから戻ってくるとエナが僕の事を待っていた。
「ごめん。待っていてくれっるとは思ってなかった」
「約束してないから良いよ。それより話長かったね」
「なんか新兵器の話になって……」
「なんでそんな話になったの?」
「地上の敵に対する新兵器が欲しくて」
「なら私と似てるわね。私も何か攻撃する方法ないかと思って待っていたのよ」
「考えていたのではなく?」
「分からないから待っていたのよ。一人より二人でしょ?」