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第85話  猫耳ハウスの危機⁉忍び寄る黒い影!

 ステラが猫耳ハウスに帰宅した頃、リビングにはまだ賑やかさの名残が残り、静けさとともに暖かな空気が漂っていた。リリカは、膝の上でぐっすりと眠るチャチャを優しく撫でながら、穏やかな笑顔でくつろいでいた。


「ただいま、リリカ」


 とステラが軽く声をかけながら、リビングに入ってきた。


「おかえり、ステラ!今日もお疲れ様」


 とリリカは微笑み、ステラを迎え入れた。


「ありがとう。今日は誰か来てたの?」


 ステラはリリカの隣に座り、少し疲れた表情で微笑んだ。


「うん、エリオスとレオン、そしてシスも一緒に来てくれたの。チャチャもシスと大はしゃぎで遊んでたけど、今はこんなにおとなしく寝ちゃってるわ」


 とリリカはチャチャの寝顔を見つめながら、楽しそうに話した。


「ふふ、賑やかだったでしょうね。でも、そんなに遊んで疲れちゃうなんて、シスとチャチャもずいぶん仲良くなったのね」


 とステラは笑顔を浮かべながらも、少し疲れを感じている様子だった。


「ステラも今日は訓練で大変だったみたいね。何か特別なことでもあったの?」


 リリカが心配そうに尋ねると、ステラは軽く頷き、深いため息をついた。


「ええ、今日は特にハードな訓練だったの。メルヴィルさんが魔法の使用を禁止して、体術だけの訓練をさせられたのよ。それに加えて、ラウルさんに剣術を教えてもらったの。やっぱり、魔法に頼らずに戦うのは、なかなかきついわ」


 とステラは少し疲れた表情で語った。


「でも、ステラならすぐに上達するんじゃない?いつもそうやって新しいことを吸収して、すぐに自分のものにしてるもんね」とリリカは尊敬の眼差しでステラを見つめながら、微笑んだ。


「ありがとう。でも、体術は魔法と違って、瞬発力や筋力が大事だから、思ったよりも難しいわ。まだまだ練習が必要ね」とステラは肩をすくめながら、リリカの言葉に感謝を示した。


 その後、二人はリビングで穏やかな時間を過ごし、夜も更けていった。チャチャが寝息を立て、静かな夜の帳が降りてくる中、それぞれの部屋で眠りに就いた。


 しかし、その夜、猫耳ハウスに不穏な影が忍び寄っていた。家の中は静寂に包まれていたが、リリカの枕元でチャチャが突然静かに鳴き、リリカを起こした。


「チャチャ…どうしたの?」


 リリカはまだ眠たそうに目をこすりながら、チャチャの異変に気づいた。チャチャは窓の外をじっと見つめ、耳をピンと立て、何かに警戒している様子だった。


「何かが…近づいてるの?」リリカは胸騒ぎを覚え、すぐにベッドから飛び起きた。彼女は急いでステラとセルフィの部屋に向かい、ドアを叩いた。


「何かがおかしい!外に誰かがいるみたい!」リリカの声に反応し、二人はすぐに目を覚ました。寝起きにもかかわらず、彼女たちは一瞬で警戒態勢に入った。


 三人は家の窓から外を見て、周囲を確認した。遠くの闇の中に、ぼんやりとした人影が浮かび上がっているのが見えた。それはじっと動かず、猫耳ハウスを見つめているようだった。


「誰かが私たちを狙っているのかしら…?」


 ステラは不安そうな表情で呟いた。


「いや、これはただの盗賊じゃない。もっと危険な何かが近づいている…」


 セルフィも眉をひそめ、さらに警戒を強めた。


 その時、リリカが驚愕の声を上げた。


「あれって…黒騎士じゃない!?以前、倒したはずの…」


 闇の中から姿を現したのは、かつてリリカたちが戦い、倒したはずの黒騎士だった。黒い甲冑に包まれ、無機質な瞳で彼女たちをじっと見つめている。


「まさか、また復活するなんて…」リリカは目を見開き、信じられない思いで黒騎士を見つめた。倒した敵が蘇り、目の前に再び現れるという恐怖が彼女を襲った。


 黒騎士はゆっくりと歩を進めながら、低い声で言った。「まさか見つかるとはな…お前たちが兵隊を一人倒したぐらいで満足しているとは。だが、我々は何度でも蘇る。王国を滅ぼすために存在しているのだ」


 ステラはすぐに冷静に状況を判断し、武器を構えて言った。


「この黒騎士、ただの人形みたい。でも、操っている魔力は強力だわ…」


 セルフィもすぐに武器を手に取り、戦闘態勢に入った。三人はいつでも動けるように準備を整えた。


 しかし、黒騎士の体から次第に黒い煙が立ち上り、その姿が薄れていった。


「消えた?どういうこと?」


 リリカは困惑した表情で、消えゆく黒騎士を見つめた。


「黒騎士がこんな場所に現れるなんて…ただの偶然とは思えないわ。何か大きな陰謀が動いている可能性が高い」


 ステラは眉をひそめ、状況を分析した。


「このまま放っておくわけにはいかないわ。何かしらの目的で王宮に近づいているのかもしれない」


 セルフィは冷静に言った。


 すぐにセルフィが王宮の警護に連絡を取り、黒騎士が現れたことを報告した。その知らせを受けた王宮は、即座に警戒態勢に入った。六光の騎士団や騎士たちは夜通しで警備を強化し、緊張が高まっていった。


「黒騎士が再び現れたということは、何かが動き出しているのね。これからの戦いは、これまで以上に危険で、困難なものになるかもしれない…」リリカは強い不安を覚えながらも、その瞳には決意が宿っていた。


 こうして、リリカたちは猫耳ハウスを守りながら、王国に迫る新たな脅威と対峙する覚悟を固めた。黒騎士たちの復活、その背後に潜む謎の存在。次なる戦いは、彼女たちにとって試練となるだろう。それでもリリカ、ステラ、そしてセルフィは、戦う意志を強め、立ち向かう決意を新たにした。


次なる戦いの幕が、静かに、しかし確実に上がり始めたのだった――。

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