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第82話  猫耳ハウスの大騒動⁉チャチャとシスの迷コンビ誕生!

 リリカとチャチャの訓練成果は、予想をはるかに超えるものだった。チャチャがリリカの魔力を受け取り、自らの意思で変身できるようになったことは、メルヴィルにとっても驚くべき進展だった。


「上手にイメージできたのね。チャチャの変身した姿を思い描けたことが、今回の成功の秘訣よ」


 とメルヴィルはリリカに言った。


「チャチャとは、何か心でつながっている気がするんです」


 とリリカは微笑みながらチャチャを撫でた。メルヴィルは満足げに頷きながら


「この調子なら、ルクス・マグナ遺跡の攻略は確実に成功するでしょう。でも、今はしっかりと休息を取りなさい。リリカもチャチャも、相当な魔力を使ったはずだから、しばらくは訓練を休むように」と優しく言った。


 こうして、メルヴィルはリリカに2、3日の訓練休止を命じ、彼女とチャチャは猫耳ハウスでゆっくり過ごすことになった。次の日の朝、ステラはいつも通りメルヴィルの研究所へと向かった。ルクス・マグナ遺跡攻略に向けて、魔法の更なる強化と作戦の立案が必要だと感じ、着々と準備を進めていた。一方で、リリカはメルヴィルからチャチャと一緒に猫耳ハウスでゆっくり休んで次の訓練に万全の体制で臨むよう言われていた。その日の午後、リリカが猫耳ハウスでくつろいでいると、エリオスと護衛のレオンが突然訪ねてきた。彼は相変わらずの笑顔で、肩にリスのシスを乗せていた。


「リリカ、久しぶり!」と元気よくエリオスが声をかける。


「エリオス!レオン!久しぶり!シスも一緒なんだね!」


 とリリカは嬉しそうにエリオスとレオンを迎え入れる。エリオスとレオンはりりかの足元のチャチャに気が付いた。すかさずレオンが言った。


「この子(猫)がメルヴィルさんの言っていたリリカ様の!」


「そうよ!私の大事な娘。かわいいでしょ?」


 エリオスとレオンはしゃがみ込み珍しそうにチャチャはを見つめる。そんな二人をチャチャも不思議そうな顔をして見つめている。その光景にリリカはおもわず吹き出しそうになる。


「エリオスもレオンも、そんなに真剣に見つめるからチャチャがびっくりして固まってる」


「いや・・・でも本当に珍しい毛の色だね?額に宝石のようなものまでついてるし。こんな猫見たことがない」


 エリオスが不思議そうに言った。


「チャチャは私といっしょの世界から来たの。確か・・・そう、三毛猫っていうの。毛の色が白と黒と茶色だから」


 リリカは思い出したように答えた。


「チャチャ、僕はエリオス、こちらがレオン」


 とチャチャの頭をそっと撫でる。するとチャチャが


「ニャオ!」


 と返事をするように鳴き、三人は顔を見合わせて笑ってしまった。するとつられてシスも


「キュ!キュ!」


 と鳴きだした。


 「ほら、シス。チャチャに挨拶しておいで」


 とエリオスがシスをリリカの膝に向かって指さすと、シスは小さな体をひょいと跳ね上げ、リリカの肩に飛び乗った。


「きゃっ、シス可愛い!」


 とリリカはシスの動きに笑顔で反応し、シスを撫で回した。その瞬間、チャチャは少し嫉妬を感じたのか、シスに向かって「ニャー!」と小さな威嚇の声を出した。しかし、シスも負けじと「キュルキュル!」と高い声で応戦した。


「ちょっと、二人とも、ケンカしないでよ!」


 リリカは焦りながらも、二匹のやりとりに少し笑いを浮かべた。しかし、チャチャとシスはどちらも負ける気がない様子で、お互いにじりじりと近づき始め、睨み合いを続けていた。リリカは二匹を落ち着かせようとしたが、その時、チャチャが大きく飛び上がり、シスに向かって突進した。


「チャチャ、ダメ!」


 リリカが止める間もなく、シスはチャチャを避けようとリリカの肩から飛び降りたが、思わぬ方向へ跳ねてしまい、部屋の隅にある棚に激突した。その瞬間、棚の上に積まれていた書類や小物がバサバサと床に散らばり、リビングは一瞬で大騒ぎとなった。


「シス!大丈夫?落ち着いて」


 リリカは慌ててシスを追いかけようとしたが、チャチャが割って入りシスを追い掛け回す。


「シス、チャチャ、もうやめてー!」


 とリリカが慌てて叫ぶ。シスとチャチャは動じるどころか鬼ごっこをますますヒートアップさせる。床には割れた花瓶やティーカップの破片が散乱している。するとリリカの表情が一変し、目の色が赤くなり表情が消えていく。その様子見たエリオスとレオンはおもわず固まってしまった。


「やめなさい」


 リリカがいつもと違う低い声でささやいた。あまりの恐怖にシスとチャチャは動けなくなった。ようやくリビングが静寂につつまれる。するとドアがバタンと開き、セルフィが慌てた様子で飛び込んできた。


「一体何があったの!?」


 セルフィは散らかったリビングの様子を見て驚き、、リリカの足元でおなかを見せて服従のポーズをするチャチャ、棚の上で震えているシス、顔面蒼白で立ち尽くすエリオスとレオンを見て呆れたようにため息をついた。


 するとリリカも我にかえり戸惑った表情を浮かべて


「だって、チャチャもシスも、どうしても止められないんだもん!」


 と半泣き状態で答えた。


 セルフィは呆れながら


「何やってるんだか…ステラさんに怒られますよ、早く片付けましょう」


 さっさと部屋の片付けを始めた。リビングの隅で様子を見ていたエリオスとレオンはリリカへの恐怖心をぬぐえず困惑し立ち尽くしていた。それを見たセルフィは、突然二人に向かって怒鳴った。


「レオン!エリオス様も何してるの?見てないで、手伝いなさい!」


 その声にビックリした二人は我に返りあわてて片付けをはじめた。リビングは混乱状態だったが、最終的にはリリカとセルフィ、そしてようやく動き出したエリオスとレオンのおかげで、リビングは何とか片付けが終わり、皆一息つくことができた。


「ふぅ…疲れちゃった。でも、シスもチャチャも楽しそうだったし、よかったかな?」


 リリカは笑顔で言った。


「いやいや、リリカ様、もう少し落ち着いてね。みんなびびってましたよ」


 とセルフィは優しくリリカに注意すると、リリカも急に恥ずかしくなって顔を赤らめた。


 いつの間にかチャチャとシスは寄り添うように眠っていた。


「あら…?すっかり仲良しじゃない」


 リリカがエリオスに笑いかけるとエリオスも


「きっといいコンビになるよ」 


 と笑顔で答えた。


「さあ、皆さん!ちょうどお茶の時間です。セルフィ特製のハーブティーをご用意しますね」


 とリリカがセルフィにウインクする。

 

 こうして楽しい午後のティータイムが始まるのであった。 


 こうして、リリカの活躍?により猫耳ハウスでの大騒ぎは何とか収束した。そしてそのおかげでチャチャとシスの名(迷)コンビ?が誕生したのであった――。

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