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第77話  猫耳ハウスの夜⁉お土産と恋話!

 メルヴィルの研究所での勉強会と訓練を終え、ステラ、リリカ、セルフィの三人は猫耳ハウスに戻ってきた。疲れが溜まっていたが、ステラの心はアレクとの再会で満たされており、何かと張り詰めた一日の終わりを迎えようとしていた。


 ステラはアレクからもらったお土産を二人に見せて得意げに言った。


「じゃ~ん!中身は食べ物です!早速いただきましょうか?」

 

「じゃあ、これ、今日の夕飯ってことでいいよね?」


 と、リリカがにこやかに言った。


「そうですね。メルヴィルさんのところで食べ過ぎましたから、ちょうどいいかも」


 とセルフィが同意しながら、小さく笑った。実際、メルヴィルの手料理は思った以上にボリュームがあり、訓練後の空腹を満たすのに十分すぎるほどだった。


 ステラは、アレクから受け取ったお土産をテーブルの上に広げた。袋の中には、牧場で採れた新鮮なミルク、手作りのチーズ、そして可愛らしい猫の形をしたクッキーが整然と並んでいた。


「わぁ、美味しそう! これ、本当にお土産なの? !」リリカが目を輝かせ、クッキーを一つ手に取り、じっくりとその形を眺めた。


「猫の形をしてるなんて、牧場のセンスが素敵よね。しかも可愛すぎる!」


 とセルフィも楽しげに手を伸ばし、ミルクの瓶を手に取った。


「ねぇ、さっそくいただこうよ!」と、リリカが急かすように言い、三人は顔を見合わせて微笑んだ。猫耳ハウスの食卓には、久々に和やかで穏やかな時間が流れていた。


 テーブルの上には、アレクからの贈り物でいっぱいになったお土産が並び、ミルクやチーズ、クッキーの香りが部屋中に広がっていた。セルフィが瓶からミルクをグラスに注ぎ、ステラとリリカの前に差し出した。


「じゃあ、みんなで乾杯しようか?」とステラが言い、三人は軽くミルクのグラスを持ち上げた。


「乾杯!」


 リリカとセルフィが声を合わせて言い、その場に笑い声が響き渡った。


 最初にクッキーに手を伸ばしたのは、リリカだった。彼女は猫の形をしたクッキーをじっくり見つめ


「こんなに可愛いの、食べるのがもったいないよ!」


 と言いながらも、一口かじった。


「んー、美味しい! サクサクしてて、ほんのり甘くて、最高!」


 と目を閉じてクッキーの味を堪能していた。


「これはいいですね。牧場の特製クッキーなんて、おしゃれですし」


 とセルフィが続け、彼女もまた一口かじった。クッキーの食感に驚きながらも、その上品な甘さに満足している様子だった。


 ステラは二人の姿を見て、ほっと一息つく。少し前まで心がざわついていたが、アレクとの再会と二人との楽しい時間がその気持ちを和らげてくれていた。ふと、彼女は頬に残る微かなキスの感触を思い出し、胸が温かくなった。


「アレク…」と小さくつぶやき、彼のことを思い浮かべた。


「ステラ?」とリリカが不思議そうに彼女を見つめる。


「ううん、なんでもない。さ、もっと食べましょう!」


 とステラは笑顔で言い、クッキーを口に運んだ。


 リリカは一瞬ステラの様子を不思議に思ったが、特に深く追及することもなく、またお土産に夢中になった。セルフィもそんなリリカの様子を見ながら、クッキーをつまみつつ、次はチーズに手を伸ばした。


「このチーズ、絶品ね! なんか口のなかでとろけるような」


 とセルフィが感心して言い、リリカもすぐにチーズを試してみた。


「本当だ! クリーミーで、口の中でとろける感じがする!」


 とリリカも大絶賛。


「さすが、王立牧場の手作りってだけあって、どれも素晴らしいわね」


 とステラも続け、三人は次々にお土産を味わいながら、夕食代わりの贅沢な時間を楽しんでいた。


 そのまま三人はしばらくの間、お土産を囲んで賑やかに談笑を続けた。日々の訓練や勉強で忙しい毎日だったが、こうした何気ない瞬間が、彼女たちにとっては何よりの癒しであり、心の支えでもあった。


 ステラは、アレクとのデートの話を少し思い出しながらも、その詳細は言葉に出さなかった。リリカとセルフィがどう思っているのか気にはなったが、今はこの楽しい時間を壊したくなかったからだ。


「牧場、また行きたいわね」とステラがぽつりと呟いた。


「うん、次は私たちも連れていって!」


 とリリカが元気よく応じた。


「ええ、今度は全員で行きましょう。牧場の猫たちも見てみたいですしね」


 とセルフィも微笑みながら言った。


 夜が更けるにつれ、外の空気が冷たくなり始め、三人は少し体を寄せ合って、お土産の最後のクッキーを味わいながら、静かに夜を楽しんだ。


「ねえ、ステラ。今度、アレクとまたデートするの?」リリカが唐突に尋ねた。


「えっ?」ステラは驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑んで「そうね、どうなるかしら?」と軽くはぐらかした。


セルフィがそれを聞いて、「うふふ、ステラ様も隠しても無駄ですよ。私たち、ちゃんと気付いてますからね」といたずらっぽく笑った。


「もう、二人とも!」とステラは照れくさそうに言い、顔を赤らめた。


 リリカはお土産を一口味わいながら、ふと思いを巡らせていた。そして、少し恥ずかしそうに頬を赤らめながらポツリとつぶやいた。


「私も…恋人が欲しいなぁ…」


 その言葉に、セルフィはすかさず反応して


「リリカ様、それはまだ早いですね。もう少し大人になりましょう。私みたいに」


 と、余裕の表情で微笑みながら答えた。


「何それ!もう、セルフィこそどうなのよ!」


 リリカが軽くムッとしながら問い詰めると、セルフィすぐに自信満々に答えた。


「私は一途ですよ!ちゃんと好きな人はいますから!」


 と、胸を張って自慢げに言う。


 しかし、言った瞬間、セルフィはしまったという表情になり


「あっ、い、いまのは無し!聞かなかったことに!」


 と焦って手を振り、慌ててごまかそうとした。


「え~!セルフィ、今の絶対聞き逃せない!誰なの?ねぇ、教えてよ~!」


 リリカは興味津々でセルフィに迫るが、セルフィは


「これ以上はダメです!」


 と言いながら顔を真っ赤にして、そっぽを向いた。


 そんな二人のやり取りを見て、ステラは微笑みながらも、心の中でそっと彼女たちの可愛らしい友情を感じていた。


 その後も三人はお土産を楽しみつつ、ステラの話題をからかいながら、仲睦まじい時間を過ごし続けた。そして、夜も更けていく中で、三人はそれぞれの寝室へと向かう準備を始めた。


 

 穏やかな夜、ステラ、リリカ、セルフィの三人は、訓練の疲れも忘れるほど仲睦まじく過ごす。アレクからのお土産を楽しみ、ささやかな会話の中で、彼女たちは絆をさらに深めていった。。三人の友情は、日常の中で育まれ、これからも変わらず続いていくだろう。彼女たちにとって、この夜は心の支えとなる大切なひとときとなったのであった――。

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