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第76話  運命の告白⁉ アレクとステラ恋の行方!

 夕焼けが空を染め、穏やかな光が大地を照らしていた。リリカ、ステラ、そしてセルフィの三人は、無事に勉強会を終え、談笑しながら猫耳ハウスへの帰路についていた。リリカは訓練の疲れもあったが、仲間との会話で心が和み、歩調も軽やかだった。


「今日は疲れちゃったよ、勉強も大変だ!」


 リリカが元気に言うと、セルフィも微笑みながら


「そうですね。でもまだまだ厳しくなりますよ!」


 と応じた。ステラはその二人を見守りながら、微笑んで


「さあ、リリカ、帰ったらお勉強の復習よ!忘れないうちに!」


 リリカはぎょっとした顔をして


「それだけは勘弁してよ、ステラお願い!」


 そんな穏やかな時間を過ごしながら、三人が猫耳ハウスに近づくと、見覚えのある馬が玄関前に繋がれていることに気付いた。


「え?アレクの馬じゃない?」


リリカが驚いて声を上げると、ステラは瞬時にその馬を確認し、少し戸惑った表情を浮かべた。


「どうしたんだろう?…アレク」


 三人は足早に玄関へと向かう。


 玄関前にはアレクが立っていて、三人の帰りを待っていた。


「みんな、お疲れ様。ステラ、昨日これを渡しそびれてしまって」


 アレクは笑顔でステラに声をかけた。彼の手には、デートで訪れた王立牧場で受け取ったお土産が握られていた。


「え?わざわざ来てくれたの?」


 とステラが少し驚きながらも、微笑んで感謝を述べる。


「ありがとう、アレク。」


 そんな二人のやり取りを、リリカとセルフィは後ろで見守っていた。リリカが


「ねえ、私たちちょっとお邪魔かもね」


 と小声でセルフィに言うと、セルフィも頷いて


「間違いないですね。私たちは先に家の中に入りましょう」


 とそそくさと猫耳ハウスの中へと引き下がった。


 ステラはアレクに


「良かったら、お茶でもどう?」と声をかけたが、アレクは少し申し訳なさそうに頭を下げ


「ありがとう。でも、公務がまだ残っていて、すぐに戻らないといけないんだ。また連絡するよ」


と優しく微笑んだ。


「そう…わかった。気をつけてね」とステラは少し寂しそうに言うと、アレクは馬にまたがり、彼女に手を振りながら去っていった。


 ステラもアレクの後ろ姿に小さく手をふる。彼の姿が見えなくなると、少し寂しそうな表情でふり返り、猫耳ハウスに向かって歩き出した。


 一方でアレクは葛藤していた。今日は本当に会えただけで満足なはずだった。しかしとうとう胸の奥に湧き上がる感情を抑えきれなくなった。


「ステラ!」


 彼は叫び、馬から飛び降りると、勢いよくステラに向かって走り出した。


 その声に驚いたステラも、反射的に振り返り、彼女の元へ駆けてくるアレクがを見えた。彼女の胸は高鳴り、瞬間的に理解した。彼女もまた、アレクの元へと走り出した。二人は、周りの世界が霞んでいくかのように、ただお互いに向かって一直線に駆け寄った。


 二人が出会った瞬間、アレクはステラを力強く抱きしめた。彼女の温もりを感じながら、彼は深く息を吸い込み、覚悟を決めたように彼女の耳元でささやいた。


「ステラ、僕は…君が好きだ。僕の恋人になってくれませんか?」


 その言葉にステラは一瞬、目を見開いたが、すぐに微笑み、彼に腕をまわして囁いた。


「うれしい…喜んで。」


 その言葉を聞いた瞬間、アレクの顔に喜びが広がった。彼はステラの顔を優しく両手で包み込むと、そっと唇を重ねた。二人の間に流れる空気は、静かで温かく、全ての感情がその一瞬に凝縮されたかのようだった。


 ステラの唇がアレクに触れた瞬間、彼女の心は震え、彼への愛が一層深まった。彼女の尻尾が自然とアレクの腰に巻き付き、二人の体はさらに近くなった。アレクもまた、彼女の猫耳に触れると、その感触を楽しむように、優しく彼女の髪を撫でた。


「ありがとう、ステラ。」


 アレクは目を細め、深い愛情を込めて彼女を見つめた。


「ずっとそばにいたい。離さないでね」


 ステラはそう答え、二人は再び抱きしめ合った。


 その様子を遠くから見ていたリリカとセルフィは、突然の出来事に驚きを隠せない。


「え?何してるの?」


 リリカが目を大きく見開いて驚くと、セルフィも


「あれって…もしかして…」


 と唖然とした表情を浮かべた。


 アレクがステラに何かを耳元で囁いているように見える。次の瞬間、ステラは小さくうなずき、二人はお互いを見つめ合った。そして、まるで時間が止まったかのように、アレクとステラは熱いキスを交わした。


「嘘でしょ…」


 リリカが呆然と立ち尽くし、セルフィも


「こ、これは…!」


「いい感じだね…ステラとアレク。」


 リリカがつぶやくと


 セルフィも頷いた。


「ええ、本当に。ようやく二人とも素直になれたんですね」


 二人はその光景をじっと見守る。アレクとステラはたがいに手を小さく振り合い、再び別れを告げた。アレクは馬にまたがり、ステラに微笑みを送りながら、王宮へと向かって帰っていった。


 アレクが見えなくなるまでステラは彼の姿を見送り、振り返るとようやくリリカとセルフィの存在に気づいた。


「やだ、もう、見てたの?」


 ステラは少し顔を赤らめて恥ずかしそうに声を上げた。


「ごめん、ステラ!急に走り出すから何かあったのかと思って…」


 とリリカが慌てて弁解する。ステラは少し涙目になりながらも、嬉しそうな微笑みを浮かべて


「大丈夫よ。ちょっと感情が抑えきれなくて…」と答えた。


「さ、牧場のお土産は何でしょう?さっそくいただきましょうか」


 とステラが微笑んで言うと、リリカとセルフィも


「うん、いいね!」


 と声を合わせ、三人は手をつないで仲良く猫耳ハウスへと戻っていった。いつもと変わらぬ日常が始まろうとしていた。


 夕焼けに包まれた美しい告白の瞬間、アレクとステラはついにお互いの気持ちを確かめ合った。猫耳ハウスでの騒がしくも楽しい日常の中、二人の恋がゆっくりと育まれていく。リリカとセルフィもその幸せを見守りながら、二人の恋路を応援することだろう。リリカとセルフィは王国一番のビッグカップル誕生の瞬間を目撃したのだった――。

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