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第68話  星空の抱擁⁉ ふれあう恋心!

 アレクとステラは、エルフェリア王立牧場での楽しい一日を終え、馬車に乗って王宮へと戻る道中にいた。二人の心には、今日の思い出が温かく残っていて、穏やかな夜の風に包まれながら、ゆっくりとした時間が流れていく。


 牧場のスタッフたちは二人を見送り、お土産まで渡してくれた。


「リリカとセルフィがこれを見たら、絶対喜ぶわね」


 受け取ったお土産を手に取りステラは嬉しそうに言った。


「リリカにはぜひこの牧場のことも教えてあげたいね。今度はみんなで来よう」


 とアレクは頷きながら、彼女の表情を優しく見つめた。


 夕日が沈みかけ、辺りが次第に暗くなり始める。道中は静かで、周りの風景が徐々に闇に包まれていく、二人はいつしか肩を寄せ合い、涼しげな風の中でお互いの温もりを感じあっていた。


「今日は、本当に楽しかった。アレクと一緒に過ごせて…素敵な一日だった」


 ステラがアレクの耳元でささやく。


「そう言ってもらえて嬉しいよ。僕も楽しかった」


 アレクも彼女の横顔を見つめながら応えた。


 二人はしばらく、言葉を交わすことなくお互いの存在を感じ合っていた。馬車は静かに進み、やがて猫耳ハウスが視界に入る頃、二人はふと我に返った。


「もうすぐだね」


 とアレクがつぶやく。


「そうね…無事に着いてよかった」


 とステラも微笑みながら応えた。


 馬車が猫耳ハウスの前に静かに止まる。アレクは馬車を降りて、ステラに手を差し伸べた。


「ステラ」


 アレクは優しく微笑んだ。


 ステラはその手を握り、ゆっくりと馬車から降りた。彼の手の温かさが伝わり、彼女の心臓は少し早く鼓動を打っていた。


 その瞬間、アレクは突如ステラの腰を引き寄せ、強く抱きしめた。驚くことなく、ステラもすぐに彼の腕に身を預け、二人は言葉を交わすことなくしばらくその場に抱き合い立ち尽くした。


「アレク…」ステラは彼の胸に顔を埋め、小さく呟いた。


「ステラ…」とアレクは彼女の耳元で静かに囁いた。


 アレクの手がステラの猫耳に触れ、優しく撫でる。するとステラの耳がぴくんと反応し、彼女はおもわず甘い声を漏らした。


「にゃっ!にゃあ…」


 ステラは照れながら、彼を見上げふてくされたような表情をみせる。アレクは笑いながら、さらに彼女の耳を撫で続けた。


 ステラは少し顔を赤らめたが、すぐにアレクの頬に自分の尻尾を絡め、くすぐるように軽く撫でた。


「お返しよ。どう、私の尻尾もなかなかでしょ?」と、


 ステラは少し悪戯っぽく微笑んだ。


「うん、そうだね。くすぐったいよ」


 アレクは微笑みながら言った。


 その瞬間、ステラは彼の顔を両手で優しく包み込み、彼を自分の方に引き寄せた。そして、アレクの頬にそっとキスをした。


「アレク…大好きよ。今日はありがとう。また誘ってね」


 ステラは微笑んで彼の耳元で囁いた。


 アレクはその行動に驚き、思わず顔を赤らめる。 


 ステラはアレクの手を振り払い、笑顔で彼の前から離れた。


「じゃあ、またね!」


 そう言って、彼女は軽やかに猫耳ハウスの扉の方へと走っていった。その後ろ姿を、アレクはただ見つめるしかなかった。


 彼女が消えた後も、アレクはその場に立ち尽くしていた。彼の胸の中には、ステラの温もりと甘いキスの感触がいつまでも残っていた。


「ステラ…」


 彼はそっとその名を呟き、ふと夜空を見上げた。星が輝き始め、澄んだ空気の中で美しい星々が彼を包み込んでいた。アレクは深く息を吸い、意を決した様子で馬車に乗った。


「おやすみ、ステラ」


 アレクはそっと呟く、馬車は静かに動き出し、王宮へと向かって進んでいく。猫耳ハウスから遠ざかるたびに、アレクの胸には今日の特別な一日が鮮やかに思い出されていた。


 アレクの心には、ステラとの甘く温かな時間が深く刻まれていた。彼女との一日を振り返りながら、その笑顔、声、そして触れ合った瞬間がすべて輝いて思える。これからも、彼女と共に過ごす未来が続いていくのだと思うと、自然と胸が高鳴る。新しい思い出を重ねながら、もっと彼女を近くに感じたい、支えたいという強い想いがアレクの中で膨らんでいくのだった――。 

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