第63話 デートのお誘い⁉ ステラの恋の相談！
朝の庭園は、すっかり日が昇り、爽やかな風が木々の間を吹き抜けていた。ステラはアレクシス王子からの驚くべき申し出を受けてしまった自分に少し戸惑いを感じつつ、なんとか猫耳ハウスに戻ってきた。
「ふぅ…落ち着くのよ、私…」ステラは顔を手で覆いながら、まだ高鳴る胸の鼓動を抑えようとしていた。
扉を開けると、香ばしい香りが鼻をくすぐった。朝食の準備が進んでいるのだろう、キッチンからは食器がカチャカチャと鳴る音と、何かを焼く匂いが漂っていた。
「セルフィ…」ステラは少しホッとした。今の気持ちを誰かに話さなければ、胸が張り裂けそうだったのだ。彼女はキッチンに向かい、扉をそっと開けた。
そこには、セルフィがエプロン姿でせっせと朝食の準備をしていた。フライパンで目玉焼きを焼き、テーブルには既にトーストやサラダが並んでいる。
「おはようございます、ステラ様。朝から調理場にいらっしゃるなんて、もう少しお待ちくださいね」セルフィは振り返り、いつも通りの明るい笑顔を浮かべたが、ステラの様子が普段とは違うことにすぐ気づいた。「あれ？なんだか顔が赤いですよ？どうしたんですか？」
ステラは少しもじもじしながら、どう話を切り出そうか迷っていたが、とうとう言葉を絞り出した。「あのね…さっき庭園で、アレクシス王子と話していて…」
セルフィは興味津々な表情で、フライパンから目玉焼きをお皿に移しながら、ステラに向き直った。「王子と？何かあったんですか？」
「それが…アレクシス様から、明日…二人きりで出かけないかって、言われて…」ステラは話しているうちに顔がさらに赤くなっていくのを感じた。
「えっ！それは！」セルフィは目を大きく見開き、驚いた様子でフライパンを置いた。「ステラ様、それって…デートのお誘いですよ！」
「で、デート…？」ステラはその言葉に驚き、さらに動揺した。
「そうです！デートです、デート！アレク様がそんなふうに誘うなんて、間違いなくステラ様にぞっこんってことですよ！」
セルフィは満面の笑みを浮かべ、興奮気味に言葉を続けた。
「分かりやすいです、アレク様。みんな気づいてますよ！」
「そ、そんな…」
ステラは困惑しながらも、心の中でドキドキしていた。まさか、アレクシス王子がそんな気持ちを自分に抱いているなんて、考えたこともなかったのだ。
セルフィはすかさずステラの肩に手を置き、にやりと笑った。「ステラ様、これは絶好のチャンスです！デートですから、しっかり準備しないと。何を着ていくか、どんな髪型にするか、それも大事ですよ！」
「えっ、そ、そんな…何を着ていけばいいのか、全然わからないし…」
ステラはますます混乱していた。普段は戦場で戦う騎士としての生活が中心だったため、こういう状況にどう対応すればいいのか、まったく見当がつかない。
「大丈夫です！任せてください！」
セルフィは頼もしい笑顔を浮かべ、ステラに近づいた。
「まずは服ですね。可愛いけど、あまり派手すぎず、でもステラ様らしさも出すような服がいいと思います。たとえば、薄い水色のワンピースとかどうですか？王子もきっとその色が好きですよ！」
「水色…そうかもしれないけど…」ステラは自分がデート用の服を着ている姿を想像し、少し恥ずかしくなった。
「そして髪型です！せっかく長くて綺麗な髪をお持ちなんですから、いつもより少しアレンジを加えて、両サイドを三つ編みにしてみてはどうでしょう？」
セルフィは熱心に提案を続けた。「あと、アクセサリーも忘れちゃいけません。さりげないネックレスとか、王子もきっと喜びます！」
ステラはセルフィの提案を聞きながら、ますます混乱していた。自分がデートなんて考えたこともなく、ましてや王子とのデートだなんて、どう対応すればいいのかわからない。
「でも…私、本当にそんなデートなんて…大丈夫かな？」
ステラは不安そうに呟いた。
「大丈夫ですよ、ステラ様！アレク様は、あなたのことが大好きなんです。普段のあなたらしさを出せば、きっと素敵な一日になるはずです！」
セルフィは力強く言った。
「それに、デートに緊張してしまうのは当然です。でも、それも含めて楽しむべきですよ！」
ステラはセルフィの言葉に少し心を落ち着かせた。確かに、アレクシス王子が自分を誘ってくれたのは、何か特別な理由があるに違いない。自分らしさを大切にしながら、この機会を楽しんでみるのも悪くないかもしれない。
「ありがとう、セルフィ。少し落ち着いてきたわ。でも、本当に私で大丈夫なのかしら…」ステラは少し微笑みながら、セルフィに感謝の気持ちを伝えた。
「もちろん大丈夫です！ステラ様はいつも素敵ですし、何よりもアレク様が選んだんですから、自信を持ってください！」セルフィはステラの肩を優しくポンと叩き、続けて言った。「そして、明日は何よりも楽しむことが大事です。ステラ様らしい笑顔で、王子との時間を満喫してください！」
ステラはセルフィのアドバイスに少し勇気をもらい、明日のデートに向けて気持ちを固めた。「うん…そうね。せっかくアレクシス様が誘ってくれたんだから、私も思いっきり楽しもうと思う」
「その意気です！私も応援してますからね！」セルフィは満面の笑みでステラに親指を立て、彼女の背中を押した。
朝食の準備が整い、ステラはテーブルに着いた。頭の中には明日のデートのことでいっぱいだったが、セルフィのアドバイスと励ましのおかげで、ステラは少しずつ自信を取り戻し始めていた。
「アレク様、どんなデートプランを用意しているんでしょうね。きっと特別な場所に連れて行ってくれるんじゃないですか？」セルフィがニヤリと笑いながら言った。
「そ、そうなのかしら…」ステラはまだ少し照れながらも、期待に胸がときめく。心のどこかで
セルフィの明るいアドバイスと励ましを受けて、少しずつ明日のデートに対する不安が解けていくのを感じるステラ。胸の奥に広がるのは、期待と少しのときめき。明日は、二人にとって特別な時間になるはず。明日のデートを楽しみにしている自分に気付くステラであった――。
