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第57話  特別な二人⁉豪華な朝食!

 湖畔の朝は、まるで絵のように美しく、空気は澄みわたり、心地よい静けさが辺りを包んでいた。レオンとセルフィは、しばらくの間、幼馴染としての思い出話に花を咲かせながら、穏やかな時間を楽しんでいた。しかし、ふとセルフィが時計代わりに太陽の位置を見上げると、少し焦ったように口を開いた。


「ところで、ステラ様とリリカ様は?まだ寝てるのかしら?そろそろ戻って朝食にしない?」


セルフィの言葉に、レオンもハッとした。


「そうだな。ステラ様とリリカ様が目覚める前に戻らないと、また叱られそうだし…」


 レオンは笑いながら立ち上がり、セルフィと一緒にホテルへ向かうことにした。湖畔を歩いていると、ふいに向こう側で手を振る姿が目に入った。近づいてみると、それはリリカだった。彼女の横にはステラが立っており、どちらも朝の光を浴びて二人はまるで絵から抜け出したように輝いていた。


 リリカの柔らかな黒髪は朝の風に優雅になびき、彼女の猫耳はピクピクと動きながら元気いっぱいに手を振っていた。その可愛らしい仕草と、ぱっちりとした金色の瞳が印象的で、まるで光そのものをまとっているかのようだった。彼女の笑顔は、周囲の空気を一瞬にして明るくし、どこか無邪気でありながらも目を引く存在感を放っていた。


 一方、ステラは水色のロングヘアーが光を反射し、朝日に照らされてまるで光のベールをまとっているかのようだった。彼女の瞳は静かに湖のような深い青色に輝き、その猫耳と白い肌が、貴婦人のような上品さを際立たせていた。ステラが歩くたびに、長いドレスがふわりと揺れ、まるで女神が舞い降りたかのような印象を与えていた。


 二人が現れた瞬間、湖畔いた観光客もその場で振り返り、息を呑んだ。まるで何か特別な存在が現れたかのように、誰もが二人を見つめ、その美しさに目を奪われていた。ささやかな会話が止まり、リリカとステラの優美な姿を見守るように、静かな時間が流れた。


 セルフィは困惑し呟いた。


「二人とも猫耳と尻尾隠してない!大丈夫かな?」


 見とれていたレオンも我に返り


「大丈夫だよ、ホテルの敷地内だし。みんな遠巻きに見てるだけだ」


「おはよう、レオン!セルフィ!」ステラの明るい声が響くと、その場にいた人々はさらに驚き、ざわめきが広がった。


 ステラが優雅に微笑むと、その場の空気がさらに華やかさを増し、二人が持つ圧倒的な美しさに誰もが魅了されていた。



「おはよう、レオン!セルフィ!」リリカは、満面の笑みを浮かべながら大きく手を振った。


 リリカの元気な声に、レオンは少し顔を赤らめながら小さく手を振り返した。昨日のことが思い出され、少し照れくさかった。


「おはよう、リリカ様…ステラ様も…」レオンは挨拶しながら、できるだけ落ち着いた声で応えたが、リリカが笑顔で彼の腕に抱きついてきた瞬間、さらに顔が赤くなった。


「おはよう、レオン!起きたらいないんだもの、ちょっとガッカリしちゃったよ~」


 リリカは明るく言いながら、しっかりとレオンにしがみついていた。彼女の無邪気さが一層レオンを困惑させたが、リリカの明るさにはどうしても逆らえない。


「え、ええ…すみません、リリカ様。ちょっと朝の散歩をしていただけで…」


 レオンが言い訳をしようとすると、ステラがその様子を見て軽く笑いながら口を開いた。


「あらあら、レオン。最近リリカとずいぶん仲が良さそうじゃないの。ちょっと嫉妬しちゃうわね」


ステラは冗談めかして言ったが、その言葉にレオンはさらに焦り、目を泳がせながら慌てて弁解しようとした。


「そ、そんなことはありません!リリカ様が元気そうで何よりです…」


「冗談よ、レオン。おはよう。そして昨日はありがとう。あなたのおかげでぐっすり眠れたわ」


 ステラは微笑みながらそう言い、レオンを安心させた。その穏やかな表情に、レオンもほっと一息ついた。


「いえ、そんな…俺は何もしていません。ただ、ステラ様が疲れていたのを察していただけで…」


 レオンが謙遜するように答えると、ステラは再び微笑みを浮かべた。


「あなたのその優しさが、私たちにとっては大きな助けになっているわよ」


 リリカはそのやり取りを見て、すぐにステラの腕を取りながら元気よく言った。


「さあ、ステラ!朝食に行こう!お腹ぺこぺこだよ!」


 セルフィもその流れに乗って軽く笑いながら言った。


「そうですね。展望できる食堂での朝食は最高だって支配人も言ってたし、行ってみましょう!」


 四人はそろってホテルの最上階の食堂へ向かい、朝の澄んだ空気と美しい湖の景色を眺めながら食事を楽しむことにした。


 食堂は、大きなガラス窓に囲まれていて、そこからは一望できる湖と遠くにそびえる山々が見渡せた。朝の日差しが窓を通してやさしく差し込み、まるでこの場所全体が光で満たされているような感覚を与えてくれる。


 四人は窓際のテーブルに案内され、豪華な朝食が並べられた。新鮮なフルーツ、焼きたてのパン、卵料理など、すべてがきちんと準備されていて、まるで王宮での食事のようだった。


「うわぁ、すごいご馳走だね!」リリカは目を輝かせて、早速パンを手に取った。


「このフルーツ美味しそう。湖の景色も素晴らしいし、贅沢な朝食ね」ステラも微笑みながら、フルーツを手に取り、上品に食べ始めた。


 レオンもセルフィも、その贅沢な食事と美しい景色に満足しながら、和やかに談笑を始めた。


「ここは本当に素晴らしい場所だな。湖の景色を見ながら朝食を食べるなんて、滅多にできない経験だよ」レオンが言うと、セルフィも頷きながら答えた。


「そうよね。リラックスできるし」


 リリカはパンをかじりながら、レオンに向かってにっこり笑った。


「ねえレオン、昨日は本当にありがとう。レオンが一緒にいてくれたから、安心して眠れたよ」


 レオンは少し照れながら答えた。


「いえ、俺はただ皆さんの警護をしていただけです。リリカ様が安心して休めたなら、それが一番です」


 その時、ステラがふと視線を窓の外に向けた。


「それにしても、湖の向こうに見える山々は本当に壮大ね。こんなに静かで美しい景色を眺めながら、こうしてゆっくり過ごせるなんて」


 ステラの言葉に、他の三人も窓の外を眺め、しばしの間その美しい景色に見入った。


「本当だな。ここに来て、こうして休めるなんて、俺たちは運がいいよ」レオンがそうつぶやくと、セルフィが笑いながら言った。


「運がいいって?レオン、これまで散々戦ってきたんだから、少しぐらい贅沢な時間を楽しんだっていいのよ」


「確かに、そうかもしれないな」


 レオンは笑いながら同意し、再び食事に集中した。リリカもステラも、食事を楽しみながらリラックスした表情を見せていた。


 朝食を終えるころ、リリカは満足そうにお腹をさすりながら言った。


「うーん、満腹!これで今日も元気いっぱいだね!」


「今日やっと王宮に帰れる、しっかり食べておかないと」ステラが続けた。


 セルフィはテーブルに残された食べ物を軽く片付けながら、微笑んで言った。


「この朝食でエネルギーを蓄えて、王宮に帰還しましょう!」


 レオンも頷きながら、心の中で次の任務に向けた意欲を高めていた。朝の静かなひとときが、四人の絆をさらに強め、これからの冒険に向けた新たな力となることを確信していた――。

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