第50話 驚きの出会い⁉ 月明かりに輝くドラゴンとレオンの災難!
リリカ一行は、小島を後にし、帰路につくことになった。クルーザーは静かに湖面を滑りながら、夜の風を受けて進んでいた。湖面には月明かりが映り込み、幻想的な風景が広がっている。
レオンは周囲の警戒を怠らず、湖面の動きや周囲の音に耳を澄ませていた。その時、突然クルーザーの上空に影が差し、何かが飛来してくるのが見えた。
「何だ…?」
レオンが目を凝らして見上げると、空に大きなシルエットが浮かび上がった。それは二匹のドラゴンだった。月明かりに照らされて青白く輝くその姿に、リリカは驚きの声を上げた。
「ドラゴン!?あれ本物のドラゴンなの!?」
リリカは目を見開き、その壮大な姿に感激していた。ドラゴンたちは小型の種で、翼を広げてゆったりと山の頂上付近に降りていった。
「すごい…本当にドラゴンがいるんだ」
リリカが感嘆しながら呟くと、バイス町長が説明を始めた。
「あれは『ムーンライトドラゴン』と呼ばれる小型のドラゴンです。非常に臆病で、人を襲うことはありません。おそらくあの二匹はつがいでしょうね」
「そうなんですね。でも、ドラゴンが実際にいるなんてすごいです!」
リリカが興奮していると、ステラも興味深そうにドラゴンの姿を見つめていた。
「あのドラゴンは夜行性で、付近の魔獣を餌にしています。王宮も調査隊を結成して、この地域のドラゴンについての調査を進めているはずです」
バイス町長の説明を聞いて、リリカたちは感心しながらも、人と動物の共存についての重要性を改めて感じた。
無事クルージングが終わり、クルーザーから降りたリリカ一行は、バイス町長にお礼を述べた。その時、バイス町長が興味深そうに彼らに尋ねた。
「皆さん、何かお忍びで調査任務に来られているのですか?王宮の関係者がこのような形で訪れるのは珍しいので」
ステラは一瞬ためらったものの、事情を簡潔に説明した。ただ黒騎士との戦いで撤退を余儀なくされたことはふせて、国の外れの遺跡調査が予定より早くすみ、自分達の力で帰ろうと試みたと話した。
「まさか猫耳メイド魔法大隊のお二人とは!六光の騎士様まで!」
バイス町長は驚いた表情を浮かべたが、すぐに納得したように頷いた。
「なるほど、そういうことでしたら、こちらにも転移魔法陣があります。私が王宮まで転移させましょうか?」
セルフィはその提案を聞いて、少し焦った表情を浮かべて申し訳なさそうに言った。
「しまった…確認すべきでした・・・。ぜひお願いします!」
バイス町長は微笑みながら頷いた。
「分かりました。それでは、明日の朝にまたお迎えに上がります。どうぞごゆっくりお休みください」
バイス町長と別れた後、4人はホテルの支配人に部屋を案内してもらった。ホテルには人数分の個室が用意され、レオンはほっとむねをなでおろした。
「さあ、各自お風呂の準備をして露天風呂に集合!」
リリカが声を上げると、ステラも笑顔で応じた。
「久々のお風呂、しっかりつかって疲れをとりましょう」
セルフィはそのまま部屋の窓辺に立ち、外の景色を眺めた。湖に映る月明かりが輝き、静かな夜が続いている。
四人は支配人の案内で露天風呂へと向かった。露天風呂は湖に面しており、開放的な空間で月明かりの下、温かな湯に浸かることができる。
湖に映る月明かりが輝き、静かな夜。
「いいお湯。もう最高!」
ステラが湯に浸かりながらリラックスすると、解放された猫耳がピクピクンと動き、尻尾もまるで生き物のようにゆらゆら動いている。リリカも隣で頷いた。
「猫耳と尻尾隠すのもつかれちゃう」
リリカはステラの隣に座り、ふと彼女を見つめていた。月明かりに照らされるステラの裸体はまさに芸術のようで、白い肌は輝くように美しく、水色の髪は風に揺れて柔らかに波打っていた。彼女の吸い込まれるような青白い瞳はまるで夜空の星のように輝き、すらりと伸びた脚はまるで彫刻のようだった。さらに、白くふさふさとした猫耳と銀色のしっぽがチャーミングに揺れている。
「同じ猫耳なのに、ステラって本当にきれい…」
リリカはその姿に見惚れ、しばらく言葉が出なかった。一方で、ステラもリリカのことを同じように見つめていた。リリカの艶やかな黒髪、柔らかな肌、眩しく輝く金色の瞳、そして少し小さめの可愛らしい猫耳と黒くて少し短いしっぽが、彼女の魅力を一層引き立てていた。
「リリカって、本当に信じられないくらい可愛い…」
ステラもまたリリカの愛らしさに心を奪われていた。お互いに見つめ合いながら、言葉はなくともその魅力を感じ合う二人。セルフィは二人の様子を見て、ほんとうに絵になる二人だと感心しつつ、その色気に当てられて少し顔を赤らめた。
「なんというか…目の保養にはなるけど、刺激が強すぎるわ…」
セルフィがぼそっと呟くと、リリカとステラは顔を見合わせて笑い合った。
一方、男湯にいたレオンは、静かな時間を楽しみながら湯船に浸かっていた。温かな湯が全身を包み込み、疲れと緊張が少しずつほぐれていくのを感じていた。
「こうして一息つけるのもいいものだな…」
レオンがのんびりとした気分で湯船の縁にもたれかかっていると、突然、ドサッという音と共に何かが湯船に飛び込んできた。
「うわっ!?」
レオンが驚いて目を開けると、そこには顔を真っ赤にしたセルフィが湯船の中で息を切らしていた。
「セルフィ!?どうしたんですか!?ここは男湯ですよ!」
セルフィは何かを言おうと口を開けたが、顔をさらに赤くし、必死に呼吸を整えていた。
「レオン、大変だ…!」
セルフィの言葉を聞いたレオンの心臓が一気に跳ね上がる。彼女の突然の飛び込みと緊迫した表情に、レオンは一体何が起こったのか全く分からないまま、彼の心も体もすっかりのぼせてしまった。次回へ続く――。




