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第49話  湖の神秘⁉ 小島での特別な出会い!

 クルーザーは湖の中央付近に到達し、両側にそびえる山々を通り抜けると、視界が一気に広がった。湖はどこまでも続き、さらにその先にはいくつもの小島が点在しているのが見えた。小島の一部には灯りがともり、まるで湖に浮かぶ船のように見えていた。


「すごい…こんなに大きな湖だったなんて!」


 リリカが驚きの声を上げると、ステラもその広大な景色に目を見張った。


「本当に。想像以上に広いわね。水平線までみえるわ」


 セルフィも感心しながら小島を眺めていた。


「この湖にはいくつもの小島があるんですね。あの灯りがともっているのも、全部島なのですか?」


 レオンがバイスに問いかける。


「そうです。湖の中には点在する小島がいくつもあって、それぞれに独自の風景があります。中には宿泊施設や自然保護区になっている島もあるんですよ」


「ちょうど良いタイミングですので、小島に上陸してみませんか?この辺りには珍しい動物たちが住んでいる島があります。運がよければ見れるかもしれません」


「珍しい動物?見てみたいです!」


 リリカが目を輝かせて答えると、他の3人も興味津々で頷いた。


「ぜひ案内してください!」


 クルーザーは小島の岸辺に静かに近づき、四人はバイスの案内で小島に上陸した。岸に降り立つと、すぐに周囲の静寂と自然の美しさが彼らを包んだ。月明かりが静かに湖面を照らし、小さな波が岸辺に穏やかに打ち寄せていた。


「ここ、すごく静かで落ち着くわね」


 ステラが辺りを見回しながら呟くと、セルフィもその静けさに耳を傾けた。


「まるで別の世界に来たみたい。時間が止まってるような感じ」


 バイス町長が小島の奥へと案内すると、リリカが突然目を輝かせて指差した。


「見て!あそこに何かいる!」


 四人がリリカの指差す方向を見ると、木陰から小さな動物が姿を現した。それは見たこともない珍しい生き物で、ふわふわの白い毛並みと大きな翼のような耳を持つ「フワリス」だった。小さな足でちょこちょこと歩き、月明かりの下で耳をぴくぴくと動かしていた。


「なんて可愛いの!この子、翼のような耳を持ってる!」


 リリカが興奮して近づこうとすると、バイス町長が説明を始めた。


「これはフワリスと呼ばれる動物で、耳を羽ばたかせることで短い距離を滑空することができるんです。非常に珍しい動物で、この島で保護されています」


 その時、別の木陰から複数の動物たちが姿を現した。青い毛並みを持つ「アオダヌキ」、そして長い尾を持つ「クモリイタチ」だ。アオダヌキは木の実を手に取り、器用に食べ始め、クモリイタチは長い尾を使って木の枝にぶら下がりながら様子を伺っていた。


「すごい、いろんな動物がいるのね」


 ステラが感心しながら見つめていると、セルフィがさらに驚いた声を上げた。


「見て、あっちにいるのは…」


 セルフィが指差した先には、青い鱗を持つ「ウミトカゲ」が湖畔に近づいて水を飲んでいた。ウミトカゲは湖の近くに生息し、湖の水中でも自由に動き回ることができる水陸両用のトカゲだ。


「こんなにたくさんの珍しい動物が一緒に暮らしているなんて、本当に不思議な場所ね」


 セルフィが感心しながら言うと、バイスが続けて説明した。


「この島々には、かつての船乗りたちが持ち込んだ動物や、自然に迷い込んだ動物たちが住みついています。今では共存を目指して、私たちが環境保護を行いながら見守っています」


「共存できるか模索中ってことですね。人間と動物が一緒に生きていけるように?」


 セルフィが問いかけると、バイス町長は頷いた。


「その通りです。人間の活動がどうしても彼らに影響を与えてしまうことがあるので、できる限り自然のままの環境を保ちながら、人間との共存を目指しているんです」


 四人はその動物たちを観察しながら、小島を歩き回った。ステラは木の根元に腰掛けて、じっと動物たちの様子を見守っていた。


「私たちが彼らを守るためにできることって、何かあるのかしら?」


 レオンがその言葉に同意するように頷きながら、静かに答えた。


「まずはこの環境を守ることからでしょうね。こうした保護活動を支援することや、自然に対する理解を深めることが大事なんじゃないでしょうか」


 リリカはフワリスにそっと手を差し出しながら笑顔で言った。


「こんな可愛い子たちが安心して暮らせるような世界にしていけたらいいね」


 バイスはその言葉に満足げに微笑んだ。


「そうですね。皆さんのような方々がこの島に来てくれて、こうした活動に興味を持ってもらえることがとても励みになります」


 湖の中央に浮かぶ小島で、四人は静かに自然と触れ合いながら、その尊さを感じていた。月明かりに照らされている湖面はまるで鏡のようで、彼らの姿を静かに映し出していた。


「こんなに静かで美しい場所があるなんて、ちょっと感動しちゃうわ」


 ステラがしみじみと呟くと、リリカもその感慨に同意するように頷いた。


「本当にね。いつも忙しいから、こうしてゆっくり自然を感じる時間があると癒されるわ」


 四人はしばらくの間、珍しい動物たちと触れ合いながら、自然の美しさを楽しんだ。やがて、バイス町長がクルーザーに戻るように声をかけた。


「そろそろクルーザーに戻りましょうか。もう少し湖の景色を楽しんでいただけます」


 四人は小島に別れを告げ、クルーザーに乗り込んだ。再び湖に浮かんだクルーザーは、静かに夜の湖を進み始めた。湖面には満天の星が映り込み、風が優しく彼らの頬を撫でていく。


「この景色、いつまでも見ていたいわ」


 リリカが夜空を見上げながら言うと、セルフィもその言葉に頷いていた。


「そうね。こうして自然と向き合う時間って、私たちにとっても大切だもの」


 クルーザーはゆったりと湖の上を進み、彼らはそのまま月明かりに包まれて静かな夜を過ごした。湖の小島でのひと時は、彼らにとって特別な思い出となり、これからの道に新たなインスピレーションを与えるものとなった――。

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