第48話 湖畔の贅沢なひととき⁉ 月明かりのナイトクルージング!
夕食を終えた四人は、宿のロビーに集まってくつろいでいた。
「食事も最高だった!もう幸せすぎる!」
リリカが満足そうに微笑みながら言うと、ステラも頷いた。
「せっかくだから、少し町を見て回りたいわね。夜の町もきっと綺麗だと思うし」
セルフィも同意し、レオンが町案内の地図をひらこうとしたその時、ホテルの支配人がにこやかに歩み寄ってきた。
「皆様、よろしければナイトクルージングはいかがでしょうか。湖はとても広く、月明かりの湖畔はそれはもう絶景です」
支配人の提案に四人は目を輝かせた。
「ナイトクルージング!?行きたい!」
リリカが即答すると、他の三人もすぐに賛成の声を上げた。
「ぜひお願いします!」
支配人は嬉しそうに頷き、四人をホテルのテラスへ案内した。テラスは湖に面しており、涼やかな風が心地よく吹き抜けていた。四人テラスの席に腰を下ろし、デザートをいただきながらクルーザーの到着を待った。
「湖を眺めながらのデザートなんて、最高の贅沢ね」
ステラがカップケーキを一口食べながら呟くと、リリカもその美味しさに頷いた。
「うん、すごく美味しい!しかもこんなに綺麗な景色を見ながらだなんて、贅沢すぎるよね」
その時、テラスに豪華なクルーザーが静かに着岸した。白く輝く船体が月明かりに照らされ、その美しさに四人は思わず見とれてしまった。
「わあ…すごく立派な船!」
リリカが感嘆の声を上げると、支配人が微笑んで案内を続けた。
「こちらが皆様のためにご用意したクルーザーです。どうぞお楽しみください」
四人は支配人の案内でクルーザーに乗り込んだ。船内は広々としており、二階建ての豪華な作りになっていた。ステラが感心して周囲を見回しながら言った。
「これは本当に素敵ね。クルーズなんて初めてだわ」
甲板に上がると、支配人が岸辺に立ち、手を振って見送ってくれた。
「皆様、良い船旅を」
クルーザーはゆっくりと湖の中へ進み始めた。湖面には月明かりが反射し、波間に煌めく光が幻想的な風景を作り出していた。
「すごい…まるで夢の中にいるみたい」
セルフィが呟きながら湖面を眺め、レオンもその光景に見入っていた。
「こんな夜景、なかなか見られないですね。本当にきれいです」
船は静かに進み、四人は月明かりの中でゆったりとした時間を過ごしていた。しかし、ステラがふと思い出したように言った。
「そうだ、船長さんに挨拶しなくちゃね」
「そうだね。みんなで行こう」
リリカもその提案に賛成し、4人は運転室に向かって歩き出した。運転室のドアを開けると、そこには驚きの光景が待っていた。
「えっ!?町長さん!」
運転室で舵を握っていたのは、バイス町長だった。彼はニコニコと笑いながら4人を迎え入れた。
「おや、いらっしゃい。皆さんに楽しんでいただきたくてね、私のプライベートクルーザーにようこそ」
町長の言葉に、4人は驚きつつも感謝の気持ちを伝えた。
「町長さん、ありがとうございます!本当に素晴らしいクルーザーですね」
リリカが感謝を述べると、町長は微笑んで頷いた。
「皆さんが喜んでくれて何よりです。後ろの甲板にはベイロン名物のドリンクを用意してあるので、どうぞ召し上がってください」
「赤い飲み物は果実酒ですのでほどほどに」
「ありがとうございます!早速いただいてみます!」
ステラが礼を言い、4人は運転室を後にして甲板へと向かった。後ろの甲板にはベイロン名物のドリンクが並べられており、カラフルなグラスが月明かりに映えて美しかった。
「これは美味しそうね!どれから飲んでみようかしら?」
セルフィが色とりどりのグラスを見ながら楽しげに言うと、リリカも迷いながら手を伸ばした。
「どれも美味しそうだから、片っ端から試してみたいね!」
四人はベイロン名物のドリンクを手に取り、乾杯をした。グラスを傾けると、口の中に広がる爽やかな風味が心地よく、彼らは思わず笑顔になった。
「うん、美味しい!さっぱりしてて飲みやすい」
レオンが感心して言うと、ステラも頷いた。
「このドリンク、さっぱりしてるのに風味が豊かで、癖になるわね」
四人はドリンクを楽しみながら、クルーザーの甲板で月明かりの湖を眺めていた。夜空には満天の星が輝き、静かな湖面にその姿が映し出されていた。
「こんな風に静かに湖の上を進むなんて、すごく贅沢な時間ね」
リリカが夜空を見上げながら呟くと、セルフィもその感慨に浸っていた。
「本当に。こんな体験、滅多にできるものじゃないわ」
ステラはしばらく空を見つめた後、ふとリリカに向き直った。
「リリカ、私たちがこうして湖の上で夜空を見上げる日が来るなんて、ちょっと不思議な気分ね。ずっと忙しかったから、こういうゆっくりした時間を過ごせるのがすごく新鮮」
「うん、確かにそうだね。普段は戦ったり訓練したりしてるから、こんなにのんびりできるのは久しぶりだよね」
四人はクルーザーの甲板で語り合いながら、湖の上をゆっくりと進んでいった。月明かりに照らされた湖畔の景色は絶景そのもので、彼らの心を和ませた。
リリカはグラスになみなみとドリンクを注ぐ。
「船長さんに持っていくね!」
リリカは運転室に向かって走りだした。
「船長!どうぞ!」
船長はグラスを手に取りほほ笑む。
「これはこれはリリカ様。ありがとうございます」
船長は隣に並んで前方を見つめるリリカを見ながらつぶやいた。
「さて、もうすぐ湖の中央に着くころかな」
町長は穏やかな表情で舵を握りながら、リリカ語りかけた。
「この湖は昔、ドラゴンとの戦いでできたと言われている場所。しかし今はこうして皆さんが楽しむ場所になっている。時代が変われば、場所の意味も変わるものです」
町長の言葉に、リリカは深く頷いた。歴史の重みと、今こうして楽しむことの幸せがリリカの胸に静かに染み渡っていた。
「この町の皆さんの努力があったからこそ、今の私たちが楽しめるんですね。本当に素敵な町です」
リリカが静かに言うと、町長はにっこりと笑って答えた。
「ありがとう。リリカ様・・・」
クルーザーはゆっくりと湖の中央へと進み、リリカとバイスは月明かりの中で語り合いながら、贅沢なひとときを楽しんだ。湖畔に響く風の音と、水面に揺れる月の光。彼らにとって、この夜は忘れられない特別な思い出となった――。




