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第34話  初めての公式任務⁉ 猫耳メイド魔法大隊の挑戦!其の一

 リリカとステラは、猫耳メイド魔法大隊として初めての公式任務に挑むことになった。王宮からの指示で、二人はメルヴィルから任務の詳細を受け取り、少し緊張した様子で聞き入っていた。


「今回の任務は、王国の外れにある古い遺跡で魔物が活性化している問題を解決することよ。この遺跡はかつて栄えた魔法都市の跡地で、強力な魔力がまだ残っているの。魔物たちはその魔力に引き寄せられて集まっているみたいね」


 メルヴィルが説明を続けると、リリカは真剣な表情で頷いた。


「つまり、その魔物たちを鎮めて遺跡の魔力を封印するのが私たちの任務ですね?」


「その通りよ。初めての公式任務だから、くれぐれも無理をせず、慎重に進めること。セルフィが同行するけど、あなたたちが中心となって行動するの。自分たちの力を信じて、しっかりと任務を遂行してね」


 ステラも力強く頷き、リリカと共に決意を新たにした。そこに、セルフィが案内役として同行することになり、さらにレオンが何故かお世話係として参加することになった。


「何で僕が…」


 レオンは少し不満げな顔をしたが、セルフィにすぐにたしなめられた。


「レオン、あなたは護衛隊の一員であり、任務のサポートが重要なのよ。それに、リリカ様とステラ様のお世話係としての役目も大事なんだから」


「はいはい、わかりましたよ…」


 レオンは渋々ながらも同行を受け入れた。リリカとステラは猫耳ハウスを出発し、セルフィ、レオンと共に遺跡へと向かった。


 セルフィは地図を頼りに進行ルートを確認し、レオンは周囲を警戒していた。


「道が細いし、足元も滑りやすいわ。気をつけて進んでくださいね」


 セルフィが声をかけると、リリカは頷きながら足元を注意深く見つめた。ステラも魔力を集中させ、周囲の魔物の気配を探っていた。


「本当に遺跡に魔物がいるのかな…」


 リリカは森の入口で呟いた。遺跡に向かう道中、森は薄暗く静寂に包まれていた。セルフィが先頭に立って進行ルートを確認し、リリカとステラは後に続いた。セルフィは手にした地図を見ながら、しっかりと道を案内していた。


「ここを抜けると遺跡が見えてくるはず。でも、近づくほどに魔力が強くなっています」


 セルフィの言葉に、リリカとステラは一層気を引き締めた。


「リリカさん、ステラさん、ここから先は足元も危険です。慎重に進んでください」


 レオンが注意を促し、二人は頷きながら歩を進めた。やがて木々の隙間から巨大な石造りの遺跡が姿を現した。遺跡の外観は古びており、苔やツタに覆われているが、威圧感のある佇まいだった。


「すごい…思った以上に大きいわね」


 リリカはその壮大な光景に息を呑んだ。ステラもまた同じように見上げていた。


「この遺跡、いったいどれだけの歴史があるのかしら」


 ステラの問いかけにセルフィは軽く微笑んだ。


「伝説によれば、ここはかつて強大な魔法都市だったと言われています。何百年も前に滅びたけれど、魔力が今も残ってい、それが魔物を引き寄せているんです」


 リリカとステラはその説明を聞きながら遺跡の入口に立ち、深呼吸をした。


「それじゃあ、行きましょうか」


 リリカが一歩前に出ると、ステラも続いた。セルフィは慎重に周囲を確認しながら、先頭を進む。レオンは後方で護衛隊と共に警戒しながら二人を守っていた。


 遺跡の内部は薄暗く、冷たい空気が漂っていた。壁には古代の紋様が刻まれ、床には石のタイルが敷き詰められている。所々で崩れた跡もあり、慎重に歩を進める必要があった。


「ここ、本当に静かね…」


 リリカが呟いたその時、遠くからかすかな音が響いた。まるで何かが動いているような音だった。セルフィは立ち止まり、耳を澄ませた。


「リリカ、ステラ、何かが近づいてくるわ。気をつけて」


 セルフィの警告に、二人は身構えた。リリカは炎の魔法で周囲を照らし、ステラは水の結界を展開して防御を固めた。暗闇の中から現れたのは、大小様々な魔物たちだった。


「やっぱりいたのね…」


 リリカは気を引き締め、炎の矢を放った。炎の矢は魔物に直撃し、一体が倒れた。しかし、まだ他の魔物たちが次々と襲いかかってくる。ステラは水の壁を展開し、魔物の攻撃を防いだ。


「リリカ、手を抜かないで!ここでしっかりと倒しておかないと、先に進めないわ」


 ステラの声に、リリカは頷き、さらに魔法の威力を上げた。炎の魔法が遺跡の暗闇を照らし、魔物たちを次々と焼き尽くしていく。ステラも冷静に水の魔法でサポートし、二人の連携は見事だった。


 やがて、全ての魔物が倒され、遺跡は再び静寂を取り戻した。リリカとステラは息を整えながら互いに笑みを交わした。


「やったわね、ステラ」


「ええ。でも、まだ奥に何かがあるかもしれない。油断は禁物よ」


 二人はさらに奥へと進んだ。遺跡の内部は迷路のように複雑で、時折道を間違えそうになりながらも、セルフィの案内で進んでいった。


「次は左です。ここを曲がれば、遺跡の中心部にたどり着くはず」


 セルフィの指示通りに進むと、やがて広間にたどり着いた。広間の中央には、古びた祭壇があり、その上には奇妙な石が置かれていた。石は微かに光を放ち、不気味な雰囲気を醸し出している。


「これは…古代の魔力の源かしら?」


ステラが石を見つめながら呟いた。その時、突然石が激しく輝き始め、広間全体が光に包まれた。


「みんな、気をつけて!」


 セルフィの叫び声が響いたが、石の光は収まらず、ますます強くなっていく。リリカとステラは即座に魔法を展開し、防御の構えを取った。


「この光、ただの石じゃないわ…!」


 リリカがそう叫んだ時、光の中から再び魔物が現れた。だが、先ほどの魔物とは違い、その姿はより巨大で恐ろしいものだった。


「リリカ、これは普通の魔物じゃない!何とかして、魔力を封じ込めなきゃ!」


 ステラの言葉に、リリカは決意を新たにした。


「そうね。ここで止めなきゃ、次に進めないわ!」


 二人は再び力を合わせ、古代の魔力に対抗するべく立ち上がった。遺跡の探索はまだ始まったばかり。これから、彼女たちはさらなる困難に立ち向かうことになるのだった――。



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