第32話 伝説の真相⁉ 王立図書館への案内！
朝の陽射しが差し込む中、リリカとステラはセルフィの案内でメルヴィルを訪ねた。二人は尻尾のことで少し不安を抱えながらも、メルヴィルなら何か知っているかもしれないと期待していた。
「おはようございます、メルヴィル様。今日は少しご相談がありまして…」
セルフィがメルヴィルの部屋のドアをノックし、開けると、メルヴィルはすでに仕事に取り掛かっている様子だった。顔を上げた彼女は、二人の姿を見ると微笑みながら立ち上がった。
「おはよう、リリカ、ステラ。それとセルフィも。今日はどうしたの？」
リリカとステラは少し緊張しながらも、腰から生えている尻尾を見せた。
「これが急に生えてきて…」
尻尾を見たメルヴィルは、少し驚いた表情を見せたものの、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。
「あら、かわいいわね。でも、この尻尾はただの装飾じゃなさそうね」
メルヴィルはじっくりと尻尾を見つめながら、その感触を確かめるように手を伸ばした。
「もしかすると、六光の騎士との戦いで力が覚醒したのかもしれないわね。実は、猫耳メイド魔法使いの伝説には尻尾があるという記述もあるの」
メルヴィルの言葉に、リリカは目を輝かせながらも不安そうに尋ねた。
「じゃあ、最終的には猫になっちゃうのかニャー？」
冗談半分のその質問に、ステラはすぐに口を挟んだ。
「リリカ、やめて。そんなわけないじゃない。メルヴィル様、実際のところどうなんですか？」
メルヴィルは微笑みながら首を横に振った。
「猫になるわけじゃないけど、この尻尾はあなたたちの力が本来の姿を現した証拠かもしれないわ。伝説の猫耳メイド魔法使いにも尻尾があったと言われているし、それは特別な力の象徴だったの」
リリカとステラはその言葉を聞いて、互いの尻尾を見つめ合った。何か自分たちの運命が変わろうとしているのを感じたが、その全貌はまだ掴めていなかった。
「実は私も、猫耳メイド魔法使いの伝説について調べているところなの。どうやらこの国に古くから伝わる物語には、いくつかのバリエーションがあって、その中に共通して尻尾の描写があるのよ」
メルヴィルは資料の山から一冊の古びた本を取り出し、二人に見せた。そこには、猫耳と尻尾を持つ魔法使いのイラストが描かれていた。ステラとリリカはその絵に見入った。
「この本に描かれているのが、伝説の猫耳メイド魔法使いよ。あなたたちに似ているでしょう？」
その絵は、まるでリリカとステラそのもののように見えた。二人は顔を見合わせ、運命的な何かを感じずにはいられなかった。
「でも、この猫耳メイド魔法使いの登場は600年前とされているの。そして、彼女は魔導士との戦いでこの国を救ったと言われているのよ」
メルヴィルは本を開き、さらに詳しく説明を続けた。
「ただ、記録にはリリカやステラのように二人組だとは書かれていないわ。この国が『光の国』と呼ばれるのも、猫耳メイド魔法使いが光の魔法で国を守ったからなの。だから、この国のシンボルに猫耳が使われているのもその由来なのよ」
リリカとステラはその話を聞いて、自分たちの尻尾がただの偶然ではないことを確信した。猫耳メイド魔法使いの力が覚醒し始めているのだと。
「これからどうなるのか、もっと知りたいわ」
リリカのその言葉に、メルヴィルは静かに頷いた。
「それなら、王立図書館に行ってみましょう。そこには、猫耳メイド魔法使いに関する研究資料や文献が揃っている特別な書庫があるの。普通の人は入れない場所だけど、私の案内なら問題ないわ」
セルフィの先導で、三人は王立図書館へ向かった。図書館は広大で、歴史と知識の宝庫のようだった。セルフィは慣れた足取りで館内を進み、やがて厳重に管理された扉の前で立ち止まった。
「ここがその特別な書庫です」
セルフィが鍵を使って扉を開けると、そこには厳粛な雰囲気が漂う小さな部屋が広がっていた。棚には古い書物が並び、その全てが猫耳メイド魔法使いに関するものだった。
「この部屋は、限られた者しか入れない特別な空間なの。この中に、あなたたちが知りたい情報があるかもしれないわ」
メルヴィルがそう言うと、リリカとステラは真剣な表情で資料に目を通し始めた。書物の中には、過去の猫耳メイド魔法使いたちの伝記や、彼らが持っていたとされる力の詳細が書かれていた。
「ここには、たくさんの情報がありそうね。でも、全部読み解くには時間がかかりそう」
ステラがそう言うと、メルヴィルは微笑みながら頷いた。
「ええ、でも焦らなくていいの。少しずつ、あなたたちのことを理解していきましょう」
リリカは一冊の本を手に取り、表紙を眺めながら静かに呟いた。
「私たちが本当に何者なのか、きっとここで分かる気がする…」
三人はその場で調査を続けながら、猫耳メイド魔法使いの真実に迫ろうとしていた。王立図書館の特別な書庫で、彼女たちは新たな一歩を踏み出していった――。
