第31話 目覚めたら変身⁉ 突然の異変!
猫耳ハウスの片付けが終わり、レオンはセルフィに見送られながら帰宅した。リリカとステラはゆっくりと一息ついた。賑やかだったパーティーの余韻も薄れ、二人は静かな時間を楽しんでいた。
「今日は本当にありがとう、セルフィ。おかげで片付けも早く終わったわ」
ステラが感謝の言葉を述べると、セルフィは微笑みながら軽く頭を下げた。
「こちらこそ、お疲れ様でした。それと、明日からメルヴィル様による勉強会が始まるので、お二人ともお忘れなく」
セルフィがそう告げると、リリカは少し驚いた表情を見せた。
「え、もう明日からなの?なんだか急だね」
セルフィは頷きながら答えた。
「はい。メルヴィル様から直々にお声がかかったそうですので、お二人のスケジュールに合わせてくださるとのことです」
リリカとステラは顔を見合わせ、少し緊張しながらも勉強会への参加を楽しみにする気持ちが芽生えていた。
「勉強会ってどんなことをするのかな?魔法の新しい技術とかも学べるのかな」
リリカが期待を込めて呟くと、ステラも頷いた。
「そうね、メルヴィルさんの勉強会だからきっと有意義な内容になるわ。楽しみにしておきましょう」
翌朝、ステラは目を覚ました時、すぐ目の前にリリカの寝顔があった。リリカは毎晩のようにステラのベッドにもぐりこんでくるため、この光景はもはや日常になりつつあった。
「また来てるのね…」
ステラは軽くため息をつきながらも、リリカの顔をじっと見つめた。つやのある小麦色肌に、ツヤツヤと光る黒髪。そして、ステラよりもひと回り小さい猫耳が揺れている。
「なんでこんなに可愛いの…」
思わずつぶやいたその言葉は、ステラの心の底から湧き上がるものだった。すると、その時、ドアが軽くノックされ、セルフィが顔を覗かせた。
「朝食の準備ができましたよ」
ステラとリリカが一緒のベッドで寝ている姿を見たセルフィは、少し驚いた表情を見せたが、すぐにニヤリと笑った。
「これはリリカ様が…ですね?」
セルフィはすぐに察して、まるで理解したかのように納得していた。ステラは少し照れくさそうに頷いた。
「そうなの。毎晩こうやって来ちゃうのよ」
セルフィはくすくすと笑いながら、「リリカ様ならありですね」と納得したように言った。ステラは赤面しながら、リリカを起こそうと優しく肩を揺さぶった。
「リリカ、起きて。朝ごはんの時間よ」
リリカは少し寝ぼけながらも目を開け、ステラの声に応えてゆっくりと起き上がった。二人がベッドから立ち上がろうとしたその時、セルフィが二人の様子をじっと見つめた。
「えっ、ちょっと待ってください…!」
セルフィの驚いた声に、ステラとリリカは同時に振り返った。セルフィの視線の先には、二人の腰から生えているものがあった。それは、絡み合うように揺れる尻尾だった。
「尻尾が…生えてる!?」
ステラは仰天して自分の尻尾を見つめ、リリカもまた自分の尻尾に気づいて目を見開いた。
「なんで!?昨日までこんなのなかったのに!」
二人は尻尾を触ろうとするが、それはまるで自分の一部のようにしっかりとついていた。ステラとリリカの尻尾は絡み合い、まるで互いを引き寄せ合うかのように動いていた。
「これは一体どうなってるの…?」
ステラが半ば呆然としながら呟くと、セルフィは冷静さを保ちつつも驚きを隠せない表情で二人を見ていた。
「お二人とも…実は、猫耳魔法使いの伝説を知っていますか?」
セルフィの言葉に、ステラとリリカは顔を見合わせた。セルフィは続けて話し始めた。
「王宮にある古い本に、猫耳魔法使いのことが描かれているんです。そこには、かつて猫耳と尻尾を持つ魔法使いたちが存在し、特別な力を持っていたと記されているんです。その絵にも、お二人にそっくりな姿が描かれていて…」
セルフィの話に、ステラとリリカはますます驚きと不安を感じた。
「じゃあ、この尻尾はその伝説と関係があるの?」
リリカが不安そうに尋ねると、セルフィは頷いた。
「そうかもしれません。伝説によると、猫耳魔法使いは特別な時にその力が覚醒し、尻尾が現れることがあるそうです。ですが、詳しいことは私には分かりません。メルヴィル様に相談してみましょう。もしかすると、お二人の尻尾のことやその意味について、何かご存知かもしれません」
ステラとリリカは頷き、セルフィの提案に従って急いで準備を始めた。尻尾が生えた理由を解明するために、二人は王宮のメルヴィルを尋ねるのだった――。




