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第29話  お茶とお煎餅⁉ 二人きりの約束!

 パーティーが終わり、夜も更けて猫耳ハウスは次第に静かになっていった。賑やかだった会場も、ゲストたちが帰り始め、セルフィとレオンの手際の良さもあり、片付けは順調に進んでいた。


「今日はありがとう、リリカ、ステラ。素敵なパーティーだったよ」


 アレクが満足そうに微笑み、エリオスと共に玄関でリリカたちに感謝を伝えた。


「こちらこそ、来てくれてありがとうございました。また一緒に楽しい時間を過ごしましょう」


 リリカの言葉にアレクは頷き、エリオスも笑顔で応えた。その後、リリカの提案で、ステラがアレクとエリオスを送っていくことになった。


「ステラ大隊長!くれぐれも二人をよろしく!エリオス、アレク、気をつけてね!」


 ステラは二人を連れて外に出た。涼しい夜風が心地よく、三人は穏やかな会話を楽しみながら歩いていた。


「パーティーは本当に楽しかったね。リリカとステラが一生懸命準備してくれたおかげだ」


 エリオスが満足そうに言うと、ステラは微笑んで答えた。


「みんなが楽しんでくれたなら、頑張った甲斐があったわ」


 しばらく歩くと、二人の宿舎に到着した。


「ありがとう、ステラ。無事に送ってくれて」


 エリオスはステラに礼を言い、アレクも軽く頷いた。


 エリオスが部屋へ入ると。アレク振り返りステラに提案した。


「ステラ、少し時間あるかな?美味しいお茶があるんだ。リリカのお煎餅も一緒にどうかな?」


 アレクの誘いに、ステラは驚きで目を見開いた。突然の誘いにどう答えようかと一瞬考えたが、アレクの真剣な眼差しを感じて、断る理由は見つからなかった。


 アレクの優しい笑顔に安心して頷いた。


「えっと……少しだけ、お邪魔しようかしら」


 声が少し震えているのを感じながらも、ステラはアレクに続いて歩き出した。アレクの部屋に入ると、その豪華で落ち着いた雰囲気に少し緊張しながらも、ステラはゆっくりとソファに腰を下ろした。


「リリカが作ったお煎餅、どんな味がするのか楽しみだね」


 アレクが手際よくお茶を淹れながら、優しい声でステラに語りかけた。その様子を見ていたステラは、心の中でドキドキとした鼓動が高まっていくのを感じた。


「ええ、きっと美味しいと思うわ」


 ステラはぎこちない笑顔を浮かべつつ、お煎餅を一枚手に取った。香ばしい香りが漂い、一口かじるとサクサクとした食感が広がった。


「本当に美味しいわね。リリカはまあまあかなって言ってたけど」


 アレクもお煎餅を味わいながら、ステラの様子を見守っていた。ステラが少し頬を赤らめているのに気づき、彼は静かに微笑んだ。


 二人はお茶を飲みながら、リリカや今日のパーティーについて語り合った。穏やかな会話の中で、アレクはふと真剣な表情になり、ステラに視線を向けた。


「ステラ、君とこうして話せるのはとても嬉しいよ」


 アレクの言葉に、ステラはますます照れてしまい、視線を落としてしまった。彼女の頬はさらに赤く染まり、その様子を見たアレクは、さらに言葉を続けた。


「ステラ、次は二人きりで会えないかな?君ともっとゆっくり話がしたいんだ」


 その言葉に、ステラの心はさらに大きく揺れた。彼のまっすぐな申し出に驚きつつも、どこか嬉しさが込み上げてきた。


「え、ええ……ぜひ。私も、アレクと二人で過ごす時間、すごく楽しみかも」


 声が少し震えながらも、ステラは素直な気持ちを伝えた。アレクの部屋を後にする際、彼女は自分の頬がまだ熱いことに気づき、そっと手で触れてみた。


 部屋を出て夜道を歩くステラは、これまでになく心が高揚しているのを感じていた。アレクとの距離が縮まったことに少しの不安と大きな喜びを感じながら、彼との次の約束が楽しみで仕方なかった。


 静かな夜道を歩きながら、ステラはこれからのことを思い描き、自然と笑みがこぼれた。リリカとの日々、仲間たちとの絆、そしてアレクとの新たな関係、すべてが彼女にとって大切なものになっていくことを感じていた――。


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