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第196話 吉野家デビュー⁉ 猫耳メイドたちの帰り道!

 猫耳メイドカフェ「ニャンニャンメイド」の初日の営業を無事に終えた夜、梨々香、沙織、瑞穂の三人は、店を片付けた後、歩いて帰路についていた。


 街には明るいネオンや街灯が灯り、賑わいを見せる繁華街を抜けていく。


 心地よい夜風が、今日の疲れを少しずつ和らげてくれる。


 「ふぅ~、初日からこんなに忙しくなるなんて、正直思ってなかったよ!」

 

 沙織が両腕を思い切り伸ばしながらそう言うと、瑞穂も肩を回しながら笑った。


 「本当にな。俺も最初は、こんなに来るとは思わなかったよ。お昼時から厨房に籠りっぱなしだったから、店内の様子をあんまり見られなかったけど、どうだった?」


 「もう、大盛況だったよ! お客さん、みんな笑顔で写真撮ったりして、本当に楽しそうだった。瑞穂目当ての女子高生達に瑞穂くんとは?とか聞かれてたよ!」

 

 梨々香が楽しげに言うと、瑞穂は少し照れくさそうに頭をかいた。


 「いやいや、猫たちが人気者だっただけだろ? 特にチャチャ、ずっと子供たちに囲まれてたし」


 「それはそうだけどね。でも、瑞穂君目当てのお客さんも結構いたんだよ? だって、瑞穂君、エプロン姿でデザート運んでるところ、女子たちがずっと写真撮ってたよ?」

 

 沙織がからかうように笑いながら言うと、瑞穂は驚いた表情で振り返った。


 「えっ、マジで? そんなの全然気づかなかった……。うわ、なんか恥ずかしいな」

 

 瑞穂がため息をつきながら頬をかくと、梨々香と沙織は顔を見合わせて笑った。


 「でもさ、それが宣伝になるかもよ? 今日撮った写真がSNSにアップされたら、次からもっとお客さんが増えるかもしれないね!」

 

 梨々香が冗談交じりに言うと、沙織もそれに同調した。


 「確かに! 『イケメンバイト君がいる猫耳メイドカフェ』って噂になったりして!」


 「やめてくれよ……。俺、そんな目立つの得意じゃないんだからさ」

 

 瑞穂は苦笑いを浮かべながら、肩をすくめた。


 「まさか、梨々花と一緒にいたいからなんて……。とても言えない」


 瑞穂は二人に聞こえないように囁いた。


 三人は笑い合いながら夜道を進んでいく。


 街灯の下、今日一日を振り返るその様子は、どこか和やかで温かい雰囲気に包まれていた。


 「でも、本当に楽しかったな。あっという間に時間が過ぎていったよ」

 


 梨々香が感慨深げに呟いた。


 「うん、忙しかったけど、みんなで一つのことをやり遂げる感じがすごく良かった。叔父さんも、厨房で黙々と頑張ってたしね」

 


 沙織が笑顔で言うと、瑞穂も頷いた。


 「本当だよな。あれだけ料理が次々と出てくるの、すごかったよ。叔父さんって、普段は穏やかだけど、やっぱり頼れるな」


 「うん。叔父さんがいてくれるから、私たちも安心して動けるよね。でも、瑞穂君もかなり頑張ってくれてたよね。厨房で作るスイーツ、どれもすごく美味しかった!」

 

 梨々香が瑞穂に微笑みかけると、彼は少し恥ずかしそうに目をそらした。


 「えぇ!いつの間に? いや、でもそんな大したことないよ。むしろ、梨々香たちがしっかり店を回してくれたから、俺も集中できたんだ」


 「でもさ、私たちだけじゃあそこまでできなかったよ。瑞穂君がいてくれて、本当に助かった」

 

 沙織も感謝の気持ちを伝えると、瑞穂は少し照れくさそうに笑った。


 『ああ、やっぱり瑞穂君……。いいなぁ……。笑顔もキュン!とくる』


 瑞穂の想いを知る沙織は複雑な心境だった。


 「ありがとな。でも、これからが本番だろ? 今日の勢いに甘えずに、もっと良い店にしていこうな」


 「うん、そうだね!」

 

 梨々香が力強く頷くと、沙織も同じように笑顔を浮かべた。


 ふと、梨々香が立ち止まり、静かな夜空を見上げた。街の喧騒が少し遠のき、涼しい風が三人の間を通り抜けていく。


 「今日、たくさんの人が笑顔になってくれて、本当に嬉しかった。このお店、もっとたくさんの人に愛される場所にしていきたいな」


 その言葉に、沙織と瑞穂も立ち止まり、梨々香を見つめた。


 「きっとできるよ。だって、梨々香が中心になって作ったお店なんだから。私も全力でサポートするから!」

 

 沙織が力強く応えると、瑞穂が微笑んで言った。


 「あ~腹が減った。ねえ?俺、奢るから牛行かない?牛?」


 「もう、なに急に!大体ギュウって何?ギュウって?」


 梨々花が軽く拳を振り上げて笑う。


 「いやいや、ゴメン。俺、忙しくて賄い食べそびれてお腹ペコペコで……。そこの吉野家入らない?ダメ?」


 「そういえば私入った事ない……。梨々花は?」


 「私もないなぁ……。でも瑞穂の奢りならいいよ。沙織は?」


 「もちろんいいよ!二人で吉野家デビューしようよ!」


 「やった!なんか俺今日は胃袋が吉牛でさ。スイーツ作りながら脳内吉牛だったんだよ。実は……。」


 猫耳メイドカフェ「ニャンニャンメイド」の初営業を終えた梨々香、沙織、瑞穂の三人は、初日からの忙しさに達成感を感じながら帰路につく。大盛況の中で、瑞穂の意外な人気ぶりも話題に。帰り道、瑞穂の提案で三人で吉野家へ行くことに。吉野家デビューを果たす梨々花と瑞穂であった――。

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